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「供物、ってそれ。やっぱ人じゃないワケ…」
ルシャという姫君はよっぽどの化け物らしい。鼻をつまみながらも扉があくのを待つ。
恭しくリスが観音開きの門を片方あける。
「ルシャ様。例の方が」
「こんばんは」
少女がちょこんと上座に座っていた。その後ろ──隠された簾の奥から「お上がりになって」と可愛らしい声がした。
「な、なにこれ…」
腐敗臭は強くなり、山伏式神は度肝を抜かれる。「供物って首?!」
「そうですよ」
リスが笑みを浮かべる。お堂にはズラリと生首が壁に飾りつけられ、腐敗した状態を保っていた。
「何故食べないの?!もったいないじゃない!」
「食べる?貴方は人を一々食べているの?童は観賞用が好きよ」
「観賞用は考えた事はなかったわ」
「ルシャ様。自己紹介を」
簾の奥からクスクスと笑い声がする。
「まずそちらから名乗られよ。旅人さん?」
「わ、私は…荒れ野の暴食魔神、または山伏式神よ」
「なるほど。童はルシャ・アヴァダーナ。こちらは童のヨリマシ」
「大層なお名前ね」
異界には異国情緒溢れる名の人ならざる者がいても不思議ではない。