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「人食い魔なら仲良くすれば?アンタらと同じだし」

 リスは無表情のまま首を横に振った。目にも光はなく、ただの死体のようだ。

「コイツは厄介だから、相容れないね。全く異なる世界からきたバケモノだ。言語も違えば、価値観も違う。多分地球ではない世界から来たんだろう」

「なら、私もそうなるわね」

 宇宙から来たのは似ている。

「いいや、下級の魔物には分からないだろうが…太陽系がある異なる宇宙からきた異物だ。あんなヤツ、一生違う世界に閉じ込められていれば良いんだよ」

 吐き捨てると一歩近づいてきた。山伏式神は後ずさり、パキリと人の塊を破損させてしまった。

(あっ)

「これ以上犬一郎さんを侮辱するとはなかなかやるね」

「…犬一郎は何をしたの」

「ムヅミに利用されてルシャ様の異界を限りなく向こう側に放流した愚か者さ」

「え?え、えっ??」

 理解しようにも今はしたくなかった。だが、知識は知っている。この小さな村は太陽系がある宇宙とはかけ離れた、いわば操縦を失った幽霊船のように果てしない無をさまよっているのだと。

「うそ、私、地球から…」

「びっくりしたよ。断然されたこの村に山伏式神が、ルシャ様の片割れがやってくるなんて」

「で、でも!作業員のヤツらも!いたじゃない!」

「あれは日仏村がまだ地球にいた時の焼き回しだ。始まりも終わりもない、焼き回しだらけの馬鹿みたいな時間が蔓延っている」

 だからこの世界の血肉は腐り果て、腐臭を通り越した異臭になっていたのか。

「私にそんなの話して何がしたいの!絶望させたい訳!?」

「冥土の土産に、ってさ」

 ──山の女神を呼べ。早く。俺の足を食っといてそれはねえよ。

(アンタだれよ!?)

 ──俺はアルバエナワラ エベルム。の亡霊だ。

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