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「見つけた!驚いた。そんなナリでも隠れられるのね」

 眼前にあのヨリマシが居た。魔の、赤い血を垂らし込めたような目をした少女は山伏式神を押し倒す。

「そっちの私はずっと野放しにされて、ひとりぼっちだったそうね?可哀想ぉ」

「あんた、ヨリマシじゃないの?!」

「いいえ。私は姫君であり、ルシャでもある。ヨリマシなんて必要ないのよ」

 首だらけのお堂の奥にあった簾が崩れている。

「あれは──」

 石のような物体が生え、磔にされた人らしき亡骸があった。「あれは私たちの母君。遠い昔、どこかのお国の姫だった物」

「私の、…母?嘘よ。だって…」

 人ならざる者は人からは生まれない。何かの間違いで生まれたとしても、人でない異能を宿していたとしても、人界の存在として生きていく事になる。

 反対に親となる人間が異界の者となり、異界で出産するのならば人ならざる者としての人生を歩む。

 反する世界を行き来するのは許されない。

「母君は私たちを孕み、流罪になった。一度流産した子供を、人間らにはそれが岩に見えた。だから彼女は捨てられ、逃げるためにこの地に来た──」

「なら、私は…本来、人間として生きるはずだった?」

「いいえ。私たちはね?人ならざる者でも特殊な種類だったから、人間にはなれなかったの」

 少女は血の気のない顔を歪ませた。

「宇宙からきた者は人にも、魔にもなれない」

(宇宙人って言いたいの?!)

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