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 ──地球により生み出された魔より、宇宙から飛来した神仏の方が多い。

 知らぬ者の知識はそう語る。ならばこの星は乗っ取られているのも当然ではないか。

 山伏式神は次の項目に目を移した。

『ルシャ・アヴァダーナについて』

 かの魔物は人を操る。

 精神干渉ができるのか?そのため、幻を見せる事ができる。なぜならばかつて行なわれていた憑祈祷(よりぎとう)の名残で、人に取り憑く事ができるからだ。

 ルシャを降ろす名目で憑祈祷を行っていた主験者集団は既に食い殺されたように思える。ただし、まだ越久夜町に生き残った者の末裔がいるようだ。

 話を前の題目に戻すが、古来から非乃手山にいたというバケモノ・ヒツと呼ばれていた存在。それはやがて密教が普及すると大日如来と例えられ、盧舎那仏が信仰された。

 "何かしらの事情"があり、違う勢力の修験者たちがかの地にやってきて、西日信仰を解き始めた事が日仏村の始まりである。

 しかし、他に事件があった。

 隕石と亡命中の姫を修験者らがもって来ていたという。姫はどこの者かは結局分からなかった。

 隕石というからに、それは宇宙から飛来した何かだ。

 隕石は二つに割れ、現在の蛭間野町にたどり着いた時には惨事が起きていた、越久夜町へ向かった人達とさらに奥へ向かった人らに別れ──。

(そう。ツジツマがあうっちゃあ合うわね…)

 しかし何故、ルシャはそれを存じているのだろう?まさか、馬鹿正直に主験者らが話したのだろうか?

 人間どもが魔を容易く信用するわけがない。

(操った、とか?)

 山伏式神はさらに内容を読み進める。

 いつ頃かは知らぬが姫に隕石に宿る人ならざる者が寄生してしまった。

 もう一つの隕石は厄介事が起きる前に、秩父青石によく似ていたため─修験者は板碑用の石材だと越久夜町の村人に売ることにした。

 その石は周りの石を"秩父青石"にできる力を宿していた。

(なるほど。私は、そこから生まれた。って言いたいのね)

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