表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/35

3の5

 映画などでありきたりな展開だと、我ながらに思う。

(映画っての、見た事ないけど)

 映画とは人間が嗜む娯楽の一つ。知識によればこれはお決まりなパターンらしい。

「お清めされる前に逃げなくちゃ」

(とはいえ、退魔の呪法がかけられてる。どうすればいいのかしら)

 逃げるとするのならば牢屋を開けた日照を負傷させ、その隙に逃げるしかない。それか日照を人質にとり、越久夜町への逃げ道を作らせるか。

 ふと自らの隠し持っている闇──収納スペースに入れた資料を思い出した。

(何かヒントがあるかも)

 資料を出現させ、手に取る。

『日仏村の成り立ちや歴史について』

 日仏村(ひふつむら)について。

 日想観が強い村。日仏村と呼ばれる前、人が居着く前はヒツ(古語)と呼ばれていた。涙を流す場所。遺体を捨てる場所だった。中世前から人が住み始める。

 昔からヒツに遺体を捨てると、ごっそり無くなっていると不思議な噂があったが。

 ──その昔、遠い山奥にヒツと呼ばれた地域があった。ふいに山伏式神の記憶に確かな会話がよみがえる。

「なあ、知ってるか?ヒツがいなくなったらしいんだよ」

 旅人が握り飯を食べながら同行者に言う。山伏式神は当然、奴らを食おうと群生したススキに身を潜めていた。

「え?ヒツの化け物か?」

「そうとも。何でもヒツを祀るってんでよ。この村より先にある集落に移動させたんだと」

「はぁ〜…何のために」

「知らねえ。ヤツらの考えてる事は分かんねえよ」

(ヤツら?誰だったっけ?)

 旅人らを食い殺し、自らは忘れてしまっていた。確かに越久夜町がまだ村で、貧しく、人々も神仏や魔を信じていた頃。ヒツと読んでいた山があり、そこは『姥捨山』や『口減らしの山』と村人が噂していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ