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ムヅミは弱気にコクリと頷くと、廊下を歩いていった。追うか否か迷う。探検とはいえ、良いように利用される危険性がある。
いいや、利用するしか彼らは考えていないだろう。親切にしてくるという事は裏に下心があるから。
人や魔だってその仕組みは変わらない。
(まあ、親切にされた覚えはないけど)
山伏式神にとって利用されても、捕食されなければいいだけだ。食われるほどバカではないが、何かも疑うほどのすれた人格じゃない。
(食われそうになったら食う、それだけよ)
どんなに取り繕った人の真似も剥がれてしまえばただの魔物。
それに。自分には雑魚を凌駕する力がある。だから心配ない。
(私は強いんだから)
「待ちなさいよ」
忍び足で彼女についていく。外に出る手間、窓から温泉街の様子が見えた。
昼間あれだけ閑散としていた景色は人で覆い尽くされている。(あれは人ではないわ…)
魂のない、不気味な塊に見えた。
人間と思わしき者たちは徘徊し、意志を感じさせずただ行進している。中には四肢を欠損している者もいた。
「おえっ。変な臭いがする」
人肉が朽ちた腐臭とはまた異なる嫌な臭い。人ならざる者も食わない、危ない腐敗臭だ。
山伏式神は鼻をつまみ、外に出るか戸惑った。
「貴方、どこに行きたいわけ?」




