第七話
誤字脱字がありましたらコメントにお願いします。
「ドラゴンが最初に現れたのは西暦1938年ドイツの都市ミュンヘン」
薄暗い会議室で映写機から写し出されている地球の世界地図を見ながら説明を受けた。
「当時ミュンヘンにはドイツ、イギリス、フランス、イタリアの首相が集まり話し合いが行われていた」
世界地図から一部を拡大した地図に変わる。
その地図には国名が書かれていたからミュンヘンに集まった四ヶ国が何処にあるのかが分かる。
さらに一ヶ所赤く塗られているけどここは?
「赤く塗ってある場所がズデーテン地方。ここはチェコスロバキアの領土だがドイツ系住民を多くドイツに併合されることを望んでいた。しかしチェコスロバキア側がこれを拒否、対立は激しくなり戦争一歩手前にまでなっていたと言われている。
欧州大戦の恐怖を忘れられないイギリス、フランスらが仲介に入り話し合いで解決させようとした。
これがミュンヘン会談だ」
また写真が代わり各国の代表の集合写真となった。
「会談はズデーデン地方をドイツに帰属させることで決まろうとした。これで戦争は回避されたと誰もが思った。しかし・・・」
写真が代わり今度は空を飛ぶドラゴンたちの写真だった。
「空に空間の裂け目が現れそこから大多数のドラゴンが出てきた。ドラゴンはミュンヘンの住民を蹂躙、生き残ったのは僅か、ミュンヘンは制圧され、裂け目からあるものが大地に突き刺さった」
写真が代わり柱のようなものが一本、都市に突き刺さっている写真となった。
「これは?」
モトバシが質問する。
「人類連合呼称“オベリスク”何かの結晶で作られた柱だ」
オベリスク、一緒に写るドラゴンと比べるとかなりデカい。
「数で勝るドラゴンは制圧地域を広げ、広がるに連れてオベリスクも各地に打ち込まれていった」
「このオベリスクはドラゴンにとって戦勝記念碑なのですか?」
僕も教官に質問すると首を横に振りそうだったら良かったのだがなと言う。
「このオベリスクは大地からエネルギーのようなものを吸い上げる装置だ。エネルギーを吸われた大地は一月以内に草木が枯れ、一年以内に動物や虫もいなくなり何もない荒野にしてしまう。厄介なことに荒野も徐々に広がり続ける」
「オベリスクはなんのためにエネルギーを吸い上げているのですか?ドラゴンの餌ですか?」
「分かっていない。吸い上げたエネルギーはオベリスク上空の裂け目に向けて放たれている。研究者たちの予想ではドラゴンの故郷である異世界に送っていると予想されている」
写真が代わり中国大陸と書かれた地図になる。
「欧州ではドラゴンの圧倒的な戦力に押されていた西暦1940年、中国大陸にもドラゴンが現れた。当時中国には中華民国があったが一部が分裂して軍閥となり統制が出来ていないに加えて大日本帝国と戦争状態だったこともありすぐに大規模反撃ができず、オベリスクの設置を許してしまう」
えっ?ドラゴンという敵がいたのに大日本帝国は戦争してたの?
「なぜ、人類共通の敵かもしれないドラゴンがいるのに国同士で戦争を?」
「主な戦場は欧州ではるか遠い日本には関係ないと考えていたからだ。加えて欧州諸国は中華民国に支援していたからドラゴンで支援どころではない今のうちに中華民国を降伏させようと軍部は考えたからだ」
今では愚かな行動だったと非難されている。
と教官は付け足した。
「話を戻す、中華民国に現れたドラゴンは日本占領域にまで進出、陸軍は応戦するが敗退。中国でのドラゴン出現と派遣されていた陸軍の壊滅の情報は天皇陛下に届き、中華民国との即時停戦と対ドラゴンの共同戦線構築を指示、陛下の命令では軍は従うしかない。停戦はすぐに結ばれ、多数の航空戦力を導入し、ドラゴンの進撃を食い止めることに成功」
多数の戦闘機、たしか隼っていう名前だったかな。
それがかなりの数が並ぶ飛行場の写真と配属になった兵士たちの写真を見る。
このような基地を中国大陸各地に設置されたらしい。
「しかし西暦1942年1月日本列島の大島にドラゴン出現と同時にオベリスクが打ち込まれた。」
日本列島と書かれた地図になる。
大島の場所は伊豆半島の東にある島だった。
「早急に対処しなければ日本本土はドラゴンに蹂躙されてしまう。オベリスク破壊のため全戦力を出し、海軍は空母6隻、戦艦8隻に加えて最新鋭の戦艦大和を導入、これが大和の初陣となった」
出撃する艦隊、飛び立つ戦闘機の写真。
ふと疑問に思ったことがある。
「教官、オベリスクの破壊はこれまで試みた国家はなかったのですか?」
教官の説明ではオベリスクは危険なモノだと分かるけど侵略された国々は防戦するだけなわけがない。
破壊しようとした国はあるはずだ。
「あった。何度も破壊を試みた。がどれも失敗した。理由はオベリスクに攻撃が通らないからだ」
は?全員が教官を見る。
「攻撃が通用しない?」
「オベリスクにはシールドと呼ばれる見えない壁がありそれが攻撃を防いでいた。シールドがある限りオベリスク本体には傷一つつかない」
だが破る方法はある。と言いさらに説明を続ける。
「このシールドは無敵にも思えるが、そうではないこれまでの攻勢でシールドは確かにオベリスクにはダメージはないがシールド自体にはダメージが通用する。証拠に多くのパイロットがシールドに亀裂が入っているのを確認している」
「つまり破壊が可能?ということですか」
「そうだ。当時はどれだけ攻撃を加えれば破壊できるかわからなかったから出せるだけ全ての戦力を出した。そして日の出と共に大島奪還作戦が開始された」
次回、作戦内容を少しと大和型量産を候補生らに説明する話になる予定。