第四話
今回からスワハラ皇国の士官候補生の視点になります。
二度目の海戦より時間を少し遡ります。
僕はレント・ヤガハラ。スワハラ皇国海軍の士官候補生の一人だった。
士官学校卒業後本来乗るハズだった新型戦艦ミズキがカマリン諸島沖の海戦で沈んでしまい、新たな戦艦が完成するまで駆逐艦に乗ることになるのかと思っていた。
が、ある日校長に呼び出された。
「レント・ヤガハラ候補生、入りますッ」
「入れ」
失礼しますと言い扉を開け入室すると僕の他に三人の同期の候補生がいた。
僕は左端に並ぶと校長は話し始めた。
「諸君もう知っていると思うがリミール王国救援に向かったスワハラ皇国海軍の艦隊が壊滅してしまい、貴君らが乗る艦が無くなってしまった」
この話か、そういえば僕以外の三人も確かに救援艦隊に組み込まれた戦艦に乗る予定だった。
「代わりに別の戦艦に乗って貰うことになる」
なるほどでも本国には旧式の戦艦しか残っていない。
機関は蒸気、主砲も巡洋艦と同等。新型でも勝てなかったセイリス相手に立ち向かうのは自殺と同じだ。
「現在急ぎで戦艦の建造を進めているが完成はまだまだだ。そのため諸君には旧式だが残存する戦艦に乗って貰う」
やっぱりだ。父さん母さん僕はもう・・・
絶望を僕は感じたが、
「・・・予定であったのだが変更となった」
え、どういうこと?
戦艦以外の艦に乗ることになるのか?それとも地上勤務?
僕を含め皆がちょっとどういうことかわからないようだ。
「諸君はスワハラ皇国に新たな同盟国ができたことは知っているな」
「異世界の国家、大日本帝国ですか?」
右隣の候補生が口にした国家は半年ほど前に現れた異世界の国家だ。
ワールドゲートと呼ばれるシステムを使いやってきた大日本帝国の艦隊はスワハラに対して国交の樹立と人類連合への参加を要請してきた。
スワハラは国交は結んだが人類連合という組織への加盟は見送った。だがセイリスとの関係に問題があった時期であったこともあり相互防衛条約を締結していた。
「そうだ。近々こちらに派遣される艦隊に君たちは乗艦してもらう」
大日本帝国からの艦隊。と聞いて誰も喜ばなかった。
なぜならスワハラに駐留する大日本帝国の艦隊は駆逐艦や巡洋艦は確かにスワハラより優秀だ。戦力増強として増援が来たが戦艦は無く、砲塔を持たず広い甲板があるだけの軍艦が四隻増えただけ。最初に出会った時も戦艦はなかった。
世間やマスコミから大日本帝国は戦艦を持っていないのではないのかと思われていた。
「心配することはないこれを見ろ」
校長から資料を渡された。
「これは・・・」
「大日本帝国から提供された戦艦の資料だ」
資料には大和型戦艦と書かれていた。
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