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根拠のない励ましにすごく元気づけられたので、なんとなくそれを題名に、勢いに任せて書いてみました。

真っ黒に塗りつぶされた暗闇。少年はまるで、ぬいぐるみみたいに壁にもたれて座っていた。かすかにする自らの呼吸音もうるさく聞こえた。少年は悲しんでいて、涙を流した。


 するとその瞬間、周りがぐっと明るくなった。

いきなり、光が差し込むものだから、瞼をきつく閉じていた。


 「……」少年はあまりにも突然の出来事に、驚きが隠せないといった様子だった。

 「どうなってるの」


 

 あたりを見回すと、宙を金魚が泳いでいたり、でんぐり返しで移動する老人がいたり、太陽に腰掛けている巨人がいたり、地面に書かれた後悔を、必死に布で擦って消そうとしている女性がいた。


 

 唖然とする少年の後ろからガラガラガラ、と音がするので振り向いてみると、音がいっぱいに積み重なって山のようになっていた。少年は『音ってこんな形だったのか』と思った。

 視線の先では雨が局所的に降っていたのだが、その雨音が堆積したものなのだろうか。


 

 「すみません、あの、ここは現実ですか?」少年が尋ねたのは、舞うように宙を泳ぐ金魚だった。

 「想像と違ったかい?そんなもんさ」


 

 「そういうものなんですか」

 「信じられないなら、ここにいるみんなに聞いてみるといい」金魚は表情を一切変えずに言い放った。


 

 少年が金魚から目を離して周りを見渡すと、すぐそこには、かつて少年が通っていた小学校の校庭が広がっていた。


 

 「なんでこんなところに」ここは本当に現実なのだろうか。

 少年は地に足が着いていないかのような、ふわふわとした感覚のまま校庭へと向かっていた。


 

 「すみません、あなたはなぜ、でんぐり返しをしているんですか?」校庭ででんぐり返しし続けている老人に質問した。


 「生まれたときからずっとしているからだよ」

 「止めたくないんですか?痛くはないですか?」少年が問いかけるも、間もなく老人は遠くへ行ってしまった。


 

 ポツンと取り残された少年は、校庭の砂煙に巻かれながら、しばらく老人を見つめていると、こちらへ再び転がってくるのが見えた。


 

 「何度もすみません、あの、あなたは転がるのを止めようと思ったことはないんですか?」

 「そりゃもちろん、何回もあった。でも、結局止めなかった。意味があるからとか、楽しいからとかじゃなくて、単に生まれたときからずっとしているから、今も続けてるだけなんだ」


 

 「そうなんですか」

 「そうとも。じゃあ、私からも質問をいいかな?」

 「なんでしょうか」少年は少しだけ驚きつつも、その質問を聞いた。

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