「ひと目見たときから好きでした」そう言ってきた彼女は………
「ひと目見たときから好きでした。私と付き合って下さい」
桜が舞い、蝶が羽ばたきだす春。
俺、赤坂正輝は桜並木に囲まれた道の真ん中で告白を受けていた。
黒く、艶のある彼女の長い髪が風に煽られて桜と共に舞い上がる。
その頬は赤く染まり、恥ずかし気に顔を俯かせている。
俯いていても分かるくらい綺麗なその顔には、俯いても分かるくらいの気恥ずかしさと不安が見て取れる。告白とは勇気のいる事なんだと、頭の片隅で考えながら、目はしっかりと彼女を見据えていた。
「──ごめんなさい」
「っ⁈……どうして」
彼女の表情には気恥ずかしさの変わりに、今度は驚愕と絶望感に塗られていた。
どうして、彼女のその言葉が頭の中で反芻される。どうして、告白を受け入れられないのか。
彼女の顔は驚くほどに整っていて、プロポーションも服の上からでも分かるほどに抜群。正直、物凄く俺のタイプにピッタリ。ドストライクだ。
確かに見た目の上では彼女の告白を受け入れる理由はあっても、断る理由は無い。
それでも、受け入れることはできない。
「いえ、解っては、いるんです。どうしてなのか。なぜ、あなたが私の告白を──想いを受け入れてくれないのか」
でも──
「それでも、どうしてもダメですか?」
「……ごめん」
「……そう、ですか」
ああ、確かに見た目の上では彼女の告白を断る理由は無い。性格に問題がある?――そうではない。
そうではないんだ。むしろ、彼女の性格に悪い所を俺は知らない。
それでも、告白を受けられないのは。
「本当にごめんなさい。でも、でもさ──」
彼女の見た目にも性格にも問題は無い。いや、正確には
「──俺達初対面だろ?初対面で付き合うのは……」
何も知らないのだ。
そう、目の前の告白してきた彼女の性格はおろか名前すら知らないのだ。
性格に問題があるとか無いとか、それ以前の問題だ。いや、ここまで綺麗な子だ。もしかしたら名前くらいは聞いたことがあるかもしれないが、それでも、やっぱり今俺は彼女の名前を知らない。
本当に、今のこの状況だって彼女が目の前から歩いてきて呼び止められて告白されたのだから。
「だから付き合うのは無理──」
「じゃあ、初対面じゃ無かったらいいんですね。つまり、お友達から始めましょう、と」
「え?」
彼女から発せられたのは悲しみの声では無く決意の籠った強い声だった。
「これからどんどんアタックしていきますから、覚悟していてくださいね? 赤坂君」
そう言って、微笑んだ彼女に思わずドキッとしてしまう。
チョロいなぁ、俺。
「ああ。よろしく」
「ひと目見た時から好きでした」そう言ってきた彼女は、出会って数分の初対面の美少女でした。
いかがだったでしょうか。『「ひと目見たときから好きでした」そう言ってきた彼女は………』。人生で初めて短編小説を書いてみました。
短編小説を書こうと思ったら意外と難しく……。特に、短い話でオチを付けるのがとても難しくて。まあ、それなりに楽しく書けたので気が向いたら他にも短編を書いてみようと思っています。それではまた、ご縁がありましたら。
面白い、続きが読んでみたい!と思って下さった方は是非、ブクマ、評価をおねがいします。