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ピエロ会議

ユズカゲに案内されるまま、1つ2つと角を曲がっていく。

1歩、また1歩と歩みを進めるたびに、重苦しい何かが、私の体を押しつぶすかのようにのしかかってくる。

そろそろ悲鳴をあげてしまいそうだ。


2つ目の角を曲がった先には長い通路が広がっていた。

誰もいないその廊下の先は見ることができず、果てしなく続いているかのように錯覚する。


両脇には等間隔で扉が並び、ホテルの廊下を思わせる。

そのうちの1つ、右側に僅かに開けられた扉を見つけた。

どうやらここのようだ。

ユズカゲに促されるまま部屋の中に入ると、広めの部屋に長机がコの字で並べられていた。


シナーと紫音は、入ってすぐの場所に立っていた。

目の前にはシナーと同じピエロの顔がずらっと並んでいた。

ドッペルゲンガーかと思うほど似ている。


『やっと来たね』


シナーが振り向いて言った。


『ちょっと気分が悪くなっちゃって』

『大丈夫なのかい?』

『うん、もうだいぶ良くなった』


こいつも誰かを気遣うことができるんだ…

紫音は目の前を見つめているようだった。

前には高そうな服を着たピエロが3人座っている。

見るからに幹部か何かだろう。


『さぁ、役者は揃ったようだし、始めるとしますかね』


座っているうちの1人が喋り出した。


『議題は“これからの計画について”でしたよね』

『えぇ、まずはどうやって奴らを掃討するか…』

『追われ続けるのは後々面倒になる。できれば早く方をつけたい』


掃討?方をつける??訳が分からない。

が、何か物騒なことを企んでいるに違いない。


『そこで必要なのが、そこの奴が連れている“人間“だ』


不意に指を差されドキッとした。

私たちが必要?それは一体どういうことなのだろう。

なんだか怖くなって、隣に居たユズカゲを見た。

そこに居たのは、先程までいたユズカゲではなかった。冷たく、温もりを感じることができない。


『その前に、そこの2人は……”生者“だな?』


謎の力に圧倒された。

虚を突かれた、とでも言えばいいのだろうか。


『そうです。ですが問題ありません。この者達は』


シナーがいい終わらないうちに、部屋中に警報が鳴り響いた。

危険を知らせるそれは、圧倒され、考えるのを辞めていた私の脳内を正常に戻していく。


『奴らだ、追手(チェイス)だ!!』

『早く逃げるんだ!!!』


冷静そうに、坦々と話を進めていた罪人(シナー)達が慌てて部屋から出て行く。

私もついて行った方がいいのだろうか。

幹部達に続いてシナーとユズカゲも部屋を後にする。


『貴方たちも早く!!』


入り口で立ち止まっていたユズカゲが言った。

それとほぼ同時に、紫音が私の左手を取り、気付いた時には彼の右手に触れていた。

先程まで見る影もなかった黒い二重線が、いつの間にか現れていたことに気づいた。

視界が黒く塗りつぶされていく。

体の中に巡っていた不快感がしだいに消えていく。

不安や恐怖も一緒に消えていく。

私は元の世界に戻っていく。


目を開けると、窓から差し込む光に目が眩んだ。

別世界(あっち)に行く前と何も変わらない光景。

強いて言うならば、降っていた雨が止んだこと。

そしてーー





目の前から紫音がいなくなったこと。


「珠理ちゃーん、そろそろ検査の準備しよっか!」

目の前で起こっていることが理解できず、看護師さんの声など聞こえてはいなかった。





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