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某大手ダンジョンをクビになったので、実家のダンジョンを継ぎました。  作者: 雉子鳥幸太郎
第四部

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改装に着手します。

 蒔田に作ってもらった金型で、シモタッタラリングの試作第一号が完成した。

 ほんのり玉虫色の中にラメが輝く艷やかなボディ……美しい。

 指にはめてみると、とんでもなくお洒落に見えた。

「ふはっ!」

 こ、これはいいぞぉ~!

 よし、これより量産体制に移行する!

 リングの金型を用意して材料を注ぎ込む。型を邪魔にならないように隅に並べ、合間にチェック&量産できるようにした。


 現時点の材料から考えて、用意できるリングは計40個。

 ツメタロン液が30だから……計70の当たりが作れる計算だ。

 ガチャは一日に多くて50くらいだから……、割合的にどうしよう?

 今回用意したものを大当たりと考えて、今までの当たりに足す感じになるか。

「ま、やりながら調整するとして……」

 カプセルに入れた大当たりを、まずは一個ガチャに混ぜ、残りを箱に入れて棚の奥へしまう。


 そうだ、紅小谷に報告しておこう。

 俺はリングとツメタロン液を写真に撮って、メールに添付した。

 ついでにリングを持ってピースサインをした自撮りも送信。

『おつかれ~。ガチャの中身できたよ! 宣伝お願いっ!』

 これでよし、と。

 

 さて、お次はフロア配置だけど……。

 花さんと出したアイデアを記したメモ紙を広げる。

「問題は、難易度調整か……」

 藤堂さんは一人で攻略してしまったが、あれは例外。藤堂さんが強すぎるのだ。あのレベルに合わせてしまうと、十傑クラスのプロダイバーしか楽しめなくなってしまう。

 花さんもベロスロス直後は、やたらと難易度を高めようとしていたが、落ち着いてからはその懸念についても語っている。むしろ、難易度を下げてもいいのではと言っていたくらいだ。


 メモ内容

 ――――――――――――――――――――――――――――――


 ■D&M十六階層リニューアル案[より楽しめるフロア構成にする]


 ・ベビーベロスの餌場となる溶岩を(4ブロック)を溶岩泉に変更。


 ・迷宮エリアの壁を煉瓦壁(50ブロック)から、古代壁35ブロック、蔦付き石壁15ブロックに変更。※より複雑な配置かつ、デザイン性の向上。


 ・モンス召喚……季節の特色が出るような低~中位種を配置。

         ※要検討


 ・セーフゾーンの配置。


 ――――――――――――――――――――――――――――――


「うーん、モンスは後で花さんと相談するとして……」

 俺はタブレットデバイスから溶岩泉を選択してポチる。


 ・溶岩泉×1……2500DP


 現在配置されている溶岩を溶岩泉に交換。

 次に、迷宮エリアの壁を……。

 

 ・古代壁×1……750DP

 ・蔦付き石壁×1……600DP・


 全部で50ブロック購入し、昨日の夜考えた迷路図の通りに配置。

 今回は入り口を三通り選べるようにした。

 侵入経路によって難易度が変わる仕掛けだ。ククク……。

 

 そして、迷宮エリアと洞窟エリアの境目付近に、壁で囲んだセーフゾーンを作った。セーフゾーンと言っても、身を隠しやすい壁と、少し広めのスペースを用意しただけなのだが、これでもあると無いとではかなり違うだろう。


「よっしゃ!」

 配置を終え、ビューモードでフロア内を眺める。

 今までの煉瓦壁と違い、遺跡感がぐっと上がった気がする。洞窟エリアに抜けた瞬間に目に入るであろう溶岩泉の迫力。力強いマグマの胎動がダイバー達の闘争心に火をつけるに違いない。


 俺は鼻息を荒くして生まれ変わったフロアの勇姿を見つめた。

「マ、マーベラス……」

 溢れ出る喜びを噛み締めていると、タブレットにダンジョン協会からのメール通知が表示される。

「ん? 何だろう」

 協会サイトにアクセスし、お知らせページを開いた。


 ――――――――――――――――――――――――――――――


『ダンジョン協会から、大事な大事なお知らせです』


 ――春、きたる。

 この度、ダンジョン協会ではさらなる業界の発展を願いまして、ささやかながら一週間限定の特別イベントを開催いたします。


 イベント名:運命のダイス ~神様が振らないなら皆で振ろうSP~


 内容:期間中、管理者さま指定のフロアに、当協会が開発したモンス排出システム『サイコロワイヤルα』を設置致します。※排出条件:低~中位種のモンスに限らせて頂きます。


 参加方法:デバイスからCODE:3156を入力後、設置希望階層を選択するだけでOKです。


 参加費用:50000DP


 排出頻度は管理者さまのダンジョン構成、及び探索中のダイバーの装備レベルに合わせて、自動的に難易度処理が施されますのでご安心ください。

 どうぞ皆様、奮ってご参加頂けますようお願い申し上げます。

 尚、当イベント期間終了次第、システムは自動撤去されます。

 

 ダンジョン協会

 ―――――――――――――――――――――――――――――― 

 

「ま、マジかよ……⁉」

 凄ぇなダンジョン協会、こんなもん参加するに決まってる。

 俺は急ぎデバイスでCODE:3156を入力した。

 設置フロアはもちろん十六階層、これでリニューアルお披露目もできるし、召喚モンス代も浮く。一石三鳥だ。


「えーと、開催は来週から一週間か。急いで案内を作らなきゃ」

 協会サイトのD&Mのページで、イベント参加とリニューアルのお知らせを告知。紅小谷もさんダで取り上げるだろうし、集客が見込める分ガチャの反応もより多く見られるはず。

 だが、これだけのイベントとなると……他店も参加するに違いない。


 俺はダンクロ善通寺店のページを開いた。

「やっぱり……」

 ダンクロも早速、参加表明をしているではないかっ!

 ぐぬぅ……、負けてなるものか。とにかく準備を万全にしないと。

 俺は型からリングを取り出して、ヤスリを掛け始めた。

 戦いはもう、始まっている――。

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