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某大手ダンジョンをクビになったので、実家のダンジョンを継ぎました。  作者: 雉子鳥幸太郎
第三部

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66/214

討伐が終わりました。

 スマホの目覚ましで目が覚めた。

「あ……やば、急がないと」

 昨日は討伐に参加してくれたダイバー達と、遅くまで打ち上げで盛り上がった。

 モーリーがあんなに酒が弱いとは思わなかったが……。

 結局フリーパスは、豪田さんの友達に進呈する事になった。

 まさか、店の酒を全部飲んでも酔わないとは……。


「ふふ」

 つい、ヘロヘロになったモーリーを思い出して笑ってしまう。

 二、三日泊まっていけばと訊いてみたのだが、用事があるそうで残念だが帰ってしまった。

 また、休みが出来たら京都へ遊びに行かねば。

 

 俺は用意を済ませて、ダンジョンへ向かった。

 外はどんよりと曇っていて、雨が降りそうな感じがする。


 急いで朝の準備をしながら、ふと、そう言えばパレスの写真をSNSに載せてなかったなぁと思い出した。思い立ったがなんとやら、地道な宣伝も大事だ。

 俺は一人頷いて、さっそくダンジョンへ入った。


 バーメアスが暴れまくっていたせいか、少しモンスが少なく感じる。

 まだ、復活していないモンスもいるだろうけど……。

 中位種辺りは、低位種に比べて復活が遅いからなぁ。 


 十五階のパレス前に着き、扉を開ける。


「あれ?」


 なんだかガラーンとしているぞ?

 いつもはそこら中に猫又が寝っ転がっているんだけど……。


 部屋の中をキョロキョロと見ていると、奥からケットシーが顔を見せた。

「ニャ、管理者ニャムか……。ふわぁ~、何をしているニャム」

 ゴシゴシと丸い手で顔を擦っている。

「い、いや、ちょっと。なんか今日は少なくない?」

「ニャ? ああ、すぐに戻るニャムよ……」

 ケットシーは面倒くさそうに答えた。

 俺はそのまま、ケットシーを入れて部屋を一枚撮った。

「ニャム? 何をしたニャムか?」

「いやいや、特に何もしてないよ」

「ニャムゥ……まぁ良いニャム、さっさと帰るニャムよ」

 ケットシーは追い払うように手を振ると、丸くなって寝てしまった。

 俺はそっと扉を閉めて、外に出た。


「うん、結構いい感じに撮れた」

 次に、ベビーベロスの様子も見に行く事にする。

 バーメアスが、もし十六階まで辿り着きベビーベロスを倒していたら……。

 うぅ、考えただけでも恐ろしい。

 

 十六階の奥に行くと、隅の方で丸くなっているベビーベロスがいた。

 一瞬、向かって右側の顔の耳がピクリと動き、顔を上げてこちらを見る。

 しかし、興味が無かったのか、すぐにまた寝てしまう。

「うん、元気そうだな」

 ベビーベロスを確認した後、別ルートから、メルトゴーレムや、イエティ達を見て一階へ戻った。


「ふぅ」

 ダンジョンは問題ないようだ。

 これも駆けつけてくれた皆のお蔭だな。

 

 デバイスで最終チェックをしていると、ビューに黄色い影が横切った。

「あれ? ラキモンかな?」

 ビューを操作して、影の後を追うと迷宮フロアで何かを拾っているラキモンが映る。

「また、拾い喰いしてるのか……」

 俺は元気で何よりですねぇと呟きながら、ビューを閉じてOPENに切り替えた。

 



 ――同日、京都・伏見ダンジョン。

 ダンジョンの岩壁にもたれて座る森が、頭を抑えながらため息をついた。

「あ~、アカン、飲みすぎてもうた……」


 すると向かい側に、涼し気な鼠色の絽の着物を着た若い男が音もなく現れ、森を見下ろすように立った。男は、背筋がぴんと伸びて、小柄だが凛とした空気を持っている。

「皆さん怒ってはりましたよ」

 高く通る声。すっと腰を降ろして、森に目線を合わせた。


 森は若い男を一度見て

「チッ、平次(へいじ)かい……、何やねん?」と、また頭を抑えた。

「何で招集に来はりませんのや?」

 岩壁に背をつけたまま森は答える。

「用事があってな。悪い、次は行くから」


 表情を変えず、平次は言った。

「……兄さん、招集以外で兄さんが何してはろうが、うちらには何の興味も、関係もありまへん。ただ、うちら京都十傑において――招集は絶対やないですか。もしかして、お忘れですか?」


「うっさい、わかっとるわ!」

 森は目を逸して言った。


「……わかってもろてるなら、ええんです」

 平次は微笑み腰を上げた。

 帰ろうとして、森の持つ剣に目を止め苦笑する。

「兄さん、それもええ武器やと思いますけど……。なんぼナンバーズが無くなったゆうても、兄さんなら、他にいくらでも手にはいりますやろ? 何なら、私が融通しましょか?」

「……ふん、お前にこれの何がわかんねん。ほっとけやボケ」


 平次は両手を袂に入れ、短く息を吐くと

「はいはい、ほな、気が変わったら言うてください。じゃあ、次は――」

 と言い掛け、突然(さい)を森目掛けて突き出した。

 瞬間、森は鞘を当て攻撃を逸す。

 ――ゴッと鈍い音が響き、釵が岩壁に刺さった。


「コラ三島ぁ……、何してくれとんねん?」


 凄む森の目を覗きながら平次は

「何や、兄さん元気やないですか」とにっこり微笑んだ。

 そして、釵を抜き、踵を返すと帰っていった。


「……食えん奴ゃ」

 森はそう呟くと、再びダンジョンを歩き始めた。

 所持DP   1,913,032

 来客 153人   76,500

 染色   2回      500

 石鹸   9個      900

 ガチャ 10回    1,000

―――――――――――――――――

        1,913,032

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