Brave New World
他の参加者達について、奥へ進んでいくと、森の中に突然、ステージが用意されていた。
「なんだありゃ?」
何もない、白いステージ。
また何か出てくんのかな……。
その時、突然、ステージにホログラム風のニコラスさんが映し出された。
『ハーイ! エッブリバディ! ニコラス・クロウリーでおま。あれ? ミナサン、元気ないですネェ~』
「どういうつもりだ! はやく説明しろ!」
「そうだそうだ!」
ニコラスさんに向かって野次が飛ぶ。
『申し訳ナースです、ではここからは日本らしく、腹を割って話しまショウ! ハイ、ミナサンの予想通り、ここはダンジョ~ンでぇースッ!』
花さんが俺の袖を引っ張った。
俺は二人と顔を見合わせて小さく頷く。
やはり……ってことはここから戦闘か?
どこに隠れるのがいいか……ステージの脇……ん?
見ると、ステージを囲むように森が広がっている。
嫌な感じだ……逃げるならステージに上がって、向こう側に行った方がいいな。
俺は二人に小声でそれを伝える。
二人は無言で頷く。
「ふざけたこといってんじゃねー! もういいから帰してくれ!」
「ゲームはどうなった! ゲームするんじゃねぇのかよ!」
野次は続いている。
『OK、OK! 安心してクダサイ、ゲームはもう始まってマァス! チョット、ここでお知らせデス、『powered by Oneiros. play key:BR99 code=Living Dead』、さぁ! モンスポォインッは必ずこの島のどこかにありマース、ガンバッテ集めてネェ。では……ミナサン存分にお楽しみクダサーイッ!』
ホログラムが消える――。
来るっ!
俺は花さんと紅小谷に合図をしてステージに走った。
『オオオオオ……』
『オオ……オオ……オオオオオオオオオ!!!!』
次の瞬間、森の茂みから無数の生きる屍が現れる!
「に、にげろ!」
「何だよこれ! 聞いてないぞ!」
「うぎゃああああーーー!!!」
阿鼻叫喚となる中、一部の冷静な経営者たちは、俺達と同じようにステージに向かって走る。
「ジョーンさん! 聞きましたか、さっきの!」
「ああ! オネイロスだった! プレイキーってのが気になる!」
「あれなんて言ってたの?」
「たしか……『BR99』でしたよね、あっ――⁉」
「ど、どうした?」
「ステータスです! これ、解除キーですよ!」
「なるほど……よし!『BR99』」
「わたしも! 『BR99』!」
目の前にステータス画面が表示された。
「装備は全部あるみたい!」
「おぉ! よぅし、みんな共鳴針はあるよな!」
「あります!」
「おっけー!」
「あとは……ん? ラキモン?」
画面にラキモンの文字がある。
あいつ……いつの間にアイテムBOXに入ったんだ⁉
走りながらで『ラキモン』の表示に指が触れてしまう。
『うっぴょーーーっ!』
「「え⁉」」
くるくると飛び出したラキモンが俺の頭に乗った。
「ラ、ラキちゃん……⁉」
「ジョンジョン! 何遊んでんのよぉ!! 早くしないと……変なの来てるわよっ!」
『『オオオォォォォ…………』』
『ダンちゃん……ピンチ?』
「チッ……くそっ! ルシール、ルシール……あったぁ!」
俺はルシール改の文字をタップした。
空中にルシールが現れる。
それをつかみ取り、そのまま迫り来るリビングデッドに向かって振り抜いた!
「おらあああぁぁーーーっ!!」
バギャッ! という鈍い音。
リビングデッドの頭部が砕け散った。
『ぴょ~! ダンちゃんすごいラキ~!』
ラキモンが頭の上で楽しそうに揺れている。
「ジョンジョン、雑魚に構ってる暇はないわよ! 走って!」
「おう!」
ステージの向こう側は浅い川が広がっていた。
川沿いを走る――。
俺のルシール改を見た他の参加者が目を見開く。
中には既に気付いている人もいた。
流石だな……。
「よし、そろそろ大丈夫そうだな、装備をととのえ……」
――突然、巨大なアナウンスが響く。
『――ハーイ、ミナサン! それではここでぇ~、一回目のhappy shuffleデェーーーッス! ご一緒に~、ハッピィー・シャッフゥー!!』
「うわぁっ⁉」
「なによこれ⁉」
「きゃぁ!」
目映い光が俺達を包む――。
「ん……お、おさまったか?」
「こ、ここは……」
ゆっくり目を開くと、俺はスクランブル交差点の中心に立っていた。
「……は? 渋谷?」
『ぴょ~?』
ありがとうございます!





