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某大手ダンジョンをクビになったので、実家のダンジョンを継ぎました。  作者: 雉子鳥幸太郎
オブザデッドの孤島編 ~またも名刺を拾ったら~

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またも名刺……⁉

「……なんだこれ?」


俺はダンジョンの前に落ちていた名刺を拾った。

名刺にはメッセージアプリのIDと……、

「༼ꉺ✺ꉺ༽」 「༼❁ɷ❁༽」 「༼இɷஇ༽」

という謎の絵が描かれていた。


誰かお客さんが落としていったのかな……?

破り捨てようとして、手を止めた。

もしかしたらお客さんが困ってるかも知れないな……一応預かっとくか。

俺は岩カウンターに名刺を置いて、そのまま開店準備に入った。


「そろそろダンジョンも拡張して良い頃だと思うんだけどなぁ……」


客足も上々、売り上げも高水準をキープ出来ている。

だが……。


「はあ……」


タブレット端末に表示されたマップを見てため息をつく。

十六階層が出来てから随分経つが、一向にダンジョンが拡張する気配がないのだ。


どうやればダンジョンが活性化するのだろう?

コアはすでにダンジョンに定着しているしなぁ……。


地道に営業を続けながら待つしかないんだろうけど、このままじゃジリ貧になってしまう。

新しい変化がなければ、お客さんは満足してくれないだろうし……。


――と、その時スマホが鳴った。


「誰だろ……」


見ると紅小谷からメッセージが届いていた。


――――――――――――――――――――――

ジョンジョンへ


元気にやってんの?

あんたのことだから、どうせ頭打ちだーうわーとか言ってんでしょうけど、そんなこと言ってる場合じゃないのよ!

このたわけーーーーーっ!


これはまだオフレコなんだけど、業界関係者に通達があったの。

とある海外ダンジョンオーナーが、日本のダンジョンオーナーを集めて秘密のゲームをやるらしいのよ。


参加資格のあるダンジョンには、モンスの絵が描かれてる名刺が配られたらしいから、ちゃんと確認しなさいよね。

間違っても捨てちゃだめだから。


もし名刺があったら、連絡してよね。


――――――――――――――――――――――


俺は岩カウンターに置いた名刺を手に取った。


「あっぶねー……捨てるとこだった」


うーん、こんなぺらぺらの名刺がそんな凄いものなのか……。

ていうか、海外の人がウチまでわざわざ名刺を置きに来たのだろうか?

ゲート乗り越えたんなら不法侵入だぞ……。

まあ、前日に置いてった可能性もあるけど、とりあえず紅小谷に連絡してみるかな。


スマホで紅小谷にメッセージを送る。


「名刺、ありましたよ、っと……送信」


さて、今日も頑張らないとな!

デバイスをOPENにしようと手を伸ばしたところで、スマホに着信があった。


「おぉ、久しぶりー」

『久しぶりじゃないわよ! このたわけーーーーーっ!』


「ちょ、何で怒ってんだよ……」

『あ、ごめんごめん、ちょっとテンションが上がりすぎてたわ……それより、名刺あったの⁉』


「うん、今日、開店準備しようとしたら落ちてた」

『ククク……やったわね、ジョンジョン……』


紅小谷は悪代官的な雰囲気を出してくる。


「何が? 名刺に何かあんの?」

『クク……あんたも聞いたことあるでしょ、ニコラス・クロウリー』


「ああ、Circle Pitの……」

『そう、そのニコラスが今回の仕掛け人なのよ』


「え⁉ ああ~、だから俺のところにも来たのか……」

『は? 何言ってんの?』


「いや、ニコラスさんは知り合いっていうか、何度かD&Mに来てもらったことがあるから……」

『のえぇーーーーーーーっ⁉ あんたは何でそういう大事なことを言わないのよ! このたっ……まあいいわ。交通費はこっちで持つから、すぐに花さんと東京に来てくれる?』


「えっ⁉ いや……そんな急に言われても花さんだって困るだろうし……それにダンジョンどうすんだよ」

『あんた何眠たいこと言ってんの? こんなチャンス一生に一度あるかないかよ!』


「そ、そんなに? いまいち、その凄さがわかんないっていうか……」

『いいわ……よく聞いて。今回、全国から選りすぐられたダンジョン経営者が招待されているの。選ばれた時点でかなりの宣伝効果が見込めるわ。何たって、大きなニュースになるのは確定だからね』


「そうなの⁉ ニュースに……ていうか、集まって何すんの⁉」

『皆でダンジョンやモンスの知識を競う……『MONSU GAME(モンスゲーム)』が開催されるのよ!』


「モ、モンス……ゲーム?」


『ってことだから、詳しくはこっちに来てからね、じゃあ着いたら連絡ちょうだい、じゃねー』


「あ、おい⁉ 紅……」


ったく、いっつも一方的なんだもんなぁ……。

まあ、紅小谷にはいつも助けてもらってるし、協力はしたいところだけど、花さんだって急に東京なんて困るだろう。

しかも、この前沖縄行ったばかりだからなぁ……むぅ、平子兄に殺されかねない。


「おはようございまーす、あれ、ジョーンさん? どうしたんですか難しい顔して」


可愛らしい声に目を向けると、出勤した花さんがカウンターに荷物を置いていた。

少し肌寒くなってきたせいか、ドロップショルダーのカーディガンを羽織っていて、とても良く似合っている。

朝から眼福でしかない、生まれて来てくれてありがとう。


「あ、花さん……うん、まあ……ちょっと」

「……? あれ、それ何ですか?」


花さんが名刺に興味を持ったようで、顔を近づけてくる。


「あ、これね……実は……」

「あぁ~、なるほど! あってるかなぁ……」

「え?」


「これ、『ケバブ』ですよね? あれ、違いました?」


花さんが上目遣いで俺を見る。


「え、ちょ、ちょっと待って、何でケバブなの⁉」

「何でって……そのモンスの絵は、ケルベロスにバーバリアンプッシャー、ブリングファングですから、あ、このブリングファングは引っかけだと思うんですよね、顔のここに髭が無いじゃないですか? これ、ちょっとでも髭があったらリンネルファングですから」

「は?」


「いや、だから、ケルベロスにバーバリアンプッシャー……」

「そ、それはわかる、いま聞いたのが日本語だってことはわかるんだけど、意味がわかんなくて」


一瞬の沈黙の後、花さんが何事も無かったように続けた。


「名刺っぽいから、頭文字を取っただけなんですけど……やっぱ安易だったかもです、へへへ」

「うーん……俺に答えはわからないけど、ものすごくあってる気がする……」


俺が腕組みして唸っていると、

「その名刺が何かあったんですか?」と、花さんが聞いてきた。

「実はさ……」


俺は花さんに紅小谷から聞いた一部始終を説明した。


「なるほど……モンスゲームですか……」

「まあ、花さんも忙しいだろうし、今回は断るよ」


――ガッと花さんに腕を掴まれた。


「ジョーンさん、やりましょう! いえ、やってみたいだしゅ……ですっ!」


か、噛んだ……みるみるうちに花さんの顔が赤くなる。


「い、今のは忘れてください……っ!」

「え、えっと、な、何のことかなぁ! 良くわかんないなー!」


俺は白々しく斜め上を向いて声を上げた。

花さんが仕切り直すようにオホンと咳払いをする。


「すみませんでした。ジョーンさん、ぜひ参加しましょうっ! クイズって楽しそうですし、なんと言っても私の専門分野ですから、お力になれると思いますっ! それに珍しいモンスも見られるかもですし……」と、モジモジしながら言う。


たぶん最後のが本音だろうな……。


「そっか、まあ花さんが良いなら断る理由もないかなぁ、あ、でも、用意とかどうする? それとお兄さん達は……」

「兄なら大丈夫です、今は島中の売り場リニューアルでそれどころじゃないと思いますから。あとで着替えだけ取りに行ってきます」

「そっか、なら紅小谷に連絡しとくよ」


「うわ~楽しみですね!」


愛くるしい笑みを向ける花さん。

か、可愛くて死にそうなんだが……。


「お、おん……そやね」


なぜか大阪の男みたいになる。

それが俺の精一杯の返事だった。

まだ読んでくれる方がいるのがほんとに嬉しかったので……

亀更新で申し訳ないのですが、ぼちぼち書いていきます。

気長にお付き合いいただけると嬉しいです……!

よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新再開待ってました! ご自分のペースで、のんびり執筆して頂ければと思います
[良い点] ケバブパーティーか!? 噛んじゃった花さん可愛い
[良い点] まさかの奇跡の更新再開…嬉しい! なーんか妙な魅力のある作品でお気に入りだったのでエタったのが至極残念だったのです。
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