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ダンジョン亭深太郎 完

 斬る! 斬る! 斬る!

 深太郎、久々にテンションアゲリシャスです!!


 いやぁ~いいですね『OKEANOS(オケアノス)』!


 次世代ARがここまでとは……みなさん、想像以上ですよこれは!

 例えば「斬る時に稲妻のエフェクトが欲しい!」とすると、演出素材から探して適用するといった感じになります。


 操作方法も、目の前に現れるコントロールパネルをタップするだけでメニューが表示されます。

 直感的なUIですので、初見でも十分に操作できますよ~!


 そして、肝心のダンジョンですが……

 まずは、1~5階は洞窟タイプですね。特に目新しさは無く、オーソドックスな造りです。

 ん~ヒカリゴケはちょっとベタすぎるかなぁ~(^_^;

 ちなみにGKは、マッド・グリズリーでした。


 次に6~10階は迷宮タイプです。

 以前、仲間から聞いた話だと、ヴァンパイア・ロードが出たらしいのですが、恐らくガセネタでしょう。(その仲間はラキモンまでいると言ってましたw ガセは結構多いのです……(^_^; 情報を精査する力が問われる時代ですからね! 深太郎のオンラインサロンでは、厳選した確かな情報だけ共有させてもらってます!(o゜▽゜)o)


 この規模のダンジョンで発生するとは思えませんし、召喚したとなると恐ろしくコストがかかるはず。賢明な経営者なら中位種のヴァンパイアを召喚するでしょうね。


 さてさて、これで最後ですね。

 11~15階は密林タイプになっております。


 何だか普通かな~っと思っていたら、なんと、途中で珍しいものを発見しました!

 深太郎は知人の話でしか聞いたことがなかったのですが、ケットシーパレスというものがありました。

 これはケットシーが造るといわれていて、中々のレアもの……!

 小さなお城のような建物で、女性人気も高そうですね。

 いやぁ~よもやよもやですよ!(高ポイントです)


 あと、5階から別ルートもありました。

 氷原タイプのフロアとメルトゴーレムの待つ灼熱の洞窟。

 うん、バランスは悪くないと思います。


 後は……最下層のベビーベロス。

 これは驚きました。

 もちろん、逃げましたけどw(深太郎はあくまでレビュワーなので)


 変なコボルトもいましたね。かなり老体のようでした。

 ちなみに老体のモンスがいるということは、かなり環境が良いってことですからね、こちらもポイントは高いです♪


 てなわけで、意外や意外!

 正直、全く期待してなかったのですが、良い意味で裏切られました!

 ざっくり回っただけでも、バランス良く楽しめます!


 そして、今回の一番の収穫はなんと言っても看板娘の花さんです!(マジカワです♡)

 帰りの時に受け付けしてもらったんですが、芸能人顔負けです!

 ちょっと店主さん、こういうのは早く言ってよ~!(滝汗)


 深太郎は普段、例え企業のお偉いさんや経営者相手でも、自分から名乗ったり、名刺を渡すことはないのですが……はい、負けましたw


「あの、とても良いダンジョンでした。私、こういう者でして」

「ダンジョン亭深太郎……さん? どうもありがとうございます」

「あれ? 知りません? いやぁ、業界では結構知られていると思ってたんですけどねぇ、まだまだ力不足なのかなぁ~ww」

「あ……すみません、あまり詳しくなくて……店長に……」

「いえいえ! 貴方にお聞きしたいんですが、ちなみにこの後お時間ありますか? 良かったらお茶でもごちそうしますので、ゆっくりお話を聞けたら、なんて……」

「すみません、ちょっと……」

「ああ、いいんですいいんです! 女には無理強いしない主義だからね! 次回来たときに期待してますよ?(ウインク)」

「……えっと、それは……」

「あれ? ハズしたかなぁ? あははは! それとも彼氏さんに怒られちゃうのかな? 僕は気にしないタイプですけどね~(^▽^) おっと、あんま言うとセクハラになっちゃうなwww」


 いやぁ、困った顔もかわいいかわいい。

 すっかりファンになっちゃいましたw


 と、ここまでは良かったのですが……

 なんとここの店主がねぇ……、残念ですが冗談の通じない方だったようで。


「お客様、申し訳ないのですが二度と来ないでもらえます?」

「は?」

「お代は結構ですので、二度と来ないでください」

「いやいや、お前、俺が誰かわかってる?」

「知りませんが関係ないです。お引き取りください」


 中々、強気な店主です。

 平和主義な深太郎としては事を大きくしたくないのですが……。


「私はダンジョンレビュアーです、これ、記事にしますよ? いいんですか?」

「どうぞ、お好きなように。お引き取りを」


 いやぁ~店主、若い若いw

 一瞬、業界から消そうかとも思ったんですが、深太郎は大人ですからね。


「わかりました、帰ればいいんでしょ? ですが、こんな経営を続けていると痛い目を見ますよ?」

「ご忠告感謝します、お引き取りを」

「はは、今は何を言っても無駄なのかな? まぁ、気が変わったら名刺見て連絡くださいよ、相談に乗りますんで。じゃあ、後悔しないようにね」


 とまあ、最後は深太郎が折れる形で矛を収めました。

 一昔前ならパンパンですけどねwwヽ(゜Д゜)ノ

 深太郎も丸くなったもんです(深太郎の昔を知ってる人なら信じられないと思う)


 まあ、これとダンジョンの評価は別ですので。

 さ、お待ちかねの評価は……「D++」です!


 これから伸びていくダンジョンでしょうし、店主さんのお手並み拝見ですね♪


 以上、ダンジョン亭深太郎でした、潜潜(もぐもぐ)~w



 * * *



「さっきの人、怖かったです」

 花さんが眉根を寄せる。


「うん、途中から俺も怖かったな……」


 二人でカウンター岩に置かれた名刺を見つめる。


「これ、捨てた方がいいな」


 俺は名刺を手に取って細かく破って捨てる。


「まあ、ダンクロの時も変な人はいたから、接客業だと仕方ないよね」

「そうですよね、すみません、もっと上手く対応できたら良かったんですけど……」

「いやいや、花さんは何も悪くないから大丈夫! 俺ももう少し冷静に対応できたら良かったかな」

「ジョーンさんは毅然としてて……格好よかったですけど……」

「え……⁉」


 思わず顔が熱くなった。

 き、聞き間違いじゃないよね……。


「あ、あははは! そ、そうかなぁ~! さ、さて、気持ちを切り替えて頑張ろう!」

「はい、がんばります!」



 * * *



「は? 何この記事?」


 カフェで仕事をしていた紅小谷がノートPCの画面を睨んだ。


「ダンジョン亭……深太郎? 誰よ、このカス……」


 おもむろにスマホを手に取り、紅小谷は電話を掛けた。


「あ、もしもし、あのさー、ダンジョン亭深太郎って知ってる?」

『はい、ウチも何本か記事書いてもらってるライターさんですね』


「ふぅん、そうなの、じゃあ、今月で全部契約切ってくれる?」

『え⁉ な、何かありました⁉』


「ああ、大丈夫大丈夫、来月から書かせなきゃOKだから、お願いね、はいー」


 通話を終えた紅小谷が、またどこかへ電話を掛けた。


「もしもし? うん、久しぶり、あのさー、ダンジョン亭深太郎って知ってる? うん、あれ『さんダ』関連は全部NGだから、うん、じゃあ、またねー」


 紅小谷は次々と電話を掛けていく。


「もっしー、うん、あのさーダンジョン亭深太郎って……」

「ダンジョン亭深太郎NGで」

「NGリスト追加お願いしまーす、ダンジョン亭……」



 その日を境にブログは閉鎖し、ダンジョン亭深太郎の名を業界で聞くことは無くなったという……。

読んでいただきありがとうございました。

久しぶりにたくさん感想いただけて嬉しかったです。

また面白いネタが思いついたら書こうと思います。


皆様、良い週末をお過ごし下さい。

お付き合いありがとうございました。

ではまた!

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[気になる点] 斬る。斬る。(契約を)切られたダンジョン亭深太郎のD&Mに対するレジューコメントが気になる。 [一言] 紅姉御の怒りをかって『さんダ』関連の契約を切られたとは言え、複数の情報サイトと契…
[良い点] ダンジョンレビューより力入ってそうな花さんナンパと店側対応への描写は思わず蹴り出したくなるヒール感でしたね。 いっそもう酒飲んでダンジョン入って頂き支離滅裂なレビュー書いていただいても更に…
[一言] 姉御が動いたからオカンは黙ってたとか……ブルブル。
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