表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編集

ひみつ

作者: 瑠音



この事は誰にも言わずに、絶対に秘密にしておいて欲しいんだけど、聞いてくれる?







あのね、私には実は好きな人がいるの。


その人は私より3つ年上で、本当に素敵な人。


落ち着いた雰囲気や、知識が豊富なところ。

他にも、スラッとした体や、きれいな黒髪。

ふいに見せる表情は、すごくミステリアスで……知らない内に彼に夢中になってしまっていたんだ。










だから私は勇気を出して伝えたんだ。


あなたの事が好きです。って。


でもね、フラれちゃった。


彼は、何度も何度もごめんねって謝ってくれた。


どうして?と聞くと、好きな人がいるんだって言ってた。


今までそんな事聞いたこと無かったから、本当にショックだった。

毎日毎日、涙を流す日々だったな……。


でも、きっと彼が好きになる人だから、私より遥かに素敵な人なんだろう。そう思った。


そう思って何度も諦めようとした。


だけど……


ダメだった。



どうしても彼の事が好きで好きで……


彼以外考えられなくて……











それから何年か経った後、私彼にもう一度告白した。



私、やっぱりあなたの事が諦められなかった。

好きなんです。って。


その時、彼は本当に困った顔をしていた。


彼はまた前みたいに何度も何度もごめんねって謝っていた。


どうして?と聞くと、好きだった人と付き合えたんだって。


そんな事初めて知ったから、本当にショックだった。

また前みたいに毎日毎日、涙を流し続けた。



でも、彼と付き合えた彼女は本当に幸せなんだろうな。


あんなに素敵な人、なかなかいないから。


だから幸せになってほしい……。


そう思って、私は自分の思いを断ち切ろうとした。



だけど……












ある日届いたんだ。


おしゃれな封筒に包まれた、1通の手紙。


すごく嫌な予感がしてたまらなかったけど、知らない内にその封筒を開けてた。


それを見て、私は絶望した。





彼、結婚するんだって。






式の日時と場所が書かれた手紙。


それを見て私は絶望した。


諦めるなんて言いながら、結局諦めることなんて出来なかった。


ずっと好きだった。



もう涙なんて流れなかった。

かなり前に枯れ果ててしまったんだろうね。






私はきっとこれから先も、彼以外を愛すことは出来ない。


彼の幸せを願うことさえも出来ない。


私は、もう壊れてしまったんだ。












この事は誰にも言わずに、絶対に秘密にしておいて欲しいんだけど、聞いてくれる?
















彼が今、目の前で動かなくなっているの──。















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 愛と執着は違うの、頭ではわかってるんですけどね。せつないですね。
2019/10/28 04:47 退会済み
管理
[一言] 読ませていただきました。 彼のことが本当に好きなんだなと思っていたら、ラストが衝撃的でした。
[良い点] 空白の使い方が上手い(笑) 不穏ゲージの操り方が上手い(笑) [一言] 王道ラブストーリーだ……って、ええ!? こんな感じのも書くんですね…!このジャンルも好きです(笑) 不穏ゲージを大…
2016/11/15 12:56 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ