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アカウントブレイク  作者: 雨音鏡
第3章第三弾アップデート――『ギルド』実装
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出発

陸斗たちは真瑠から言われた通り、関門所へ向かった。

関門所の役割は外の雪原への通行を管理、そして集会場としての役割がある。

陸斗たちは関門所に入ると周りを見回した。

真瑠の言っていた『リベラシオン・エグリース』のメンバーを見つけるためだ。


「あ、あれじゃない?」


先に見つけたのは柚季だった。

『リベラシオン・エグリース』のギルドメンバーには共通のマークが付いたフード付きマントを着用している。真瑠が最初に着けていたものと同じものだ。

マークとは、翼を広げた天使に『LE』の文字が付いているもの。

三人がマントのマークを確認すると、その人物へと接近した。


「すみません、もしかして『リベラシオン・エグリース』の人ですか?」


テーブルカウンターに腰掛ける青年に声を掛ける。彼は手にグラスを持ち、顔が若干赤い。おそらく酒を飲んでいたのだろう。


「ん?なんらテメーら?」


既に酔いが回っているのか上手く呂律が回っていなかった。


「えっと……俺たちギルドに入りたいんです。『リベラシオン・エグリース』に」


ギルド名を告げるとトロンとしていた眼に鋭さが宿った。


「許可証は持ってるか?」


この答えは事前に予想していた通りだった。

『リベラシオン・エグリース』は超大型ギルドで、入信者を厳しく制限しているのだ。

人が多くなれば仲間内で亀裂が入りやすくなる。一枚岩でなければ簡単に崩壊してしまうのだ。だがそれも、全員が同じ目標である儀式を受ける資格を得るためなら、となんとか分裂せずに済んでいる状態である。

そのため、余計な不和を生まないようにするためギルドメンバーが選んだ人しか今はギルドに入ることができない。

その話を聞いていたからこそ、真瑠から事前に許可証を三枚貰っておいたのだ。


「はい。……あ、ちょっと待ってください」


陸斗がポーチから許可証を出すと、突然振り返って青年から少し離れる。


「な、何よ。どうしたの?」


陸斗は柚季と美姫を連れて、ひそひそ話をするように集まった。


「今回、美姫には街に残ってほしい。理由は二つ。一つは、美姫は目立つ存在だ。これは言わなくても分かるよな?」


「まあ、こんな子供が変な宗教に入信しよう、なんておかしな子として見られるわね」


「美姫ちゃんが目立つと同行者の私たちも目を付けられる。そしたら調査が難しくなるってこと?」


「まあ、簡単に言うとそうだ。そして二つ目は、俺たちがギルド内で何かあった時に外からの応援が欲しい。ノブもこの街にいるっていう可能性は低いから、美姫にお願いしたい」


「わかったわかった。そんな理論付なくても陸斗から言われれば残るわよ」


なんとか美姫の理解を得られて陸斗はホッとする。


「ありがとう。じゃあ、何かあったら頼むよ」


「がってん!」


話がついたので再び青年の元へ行く。


「こそこそ話は終わったかい?」


酔った顔のまま鋭い眼差しで三人の顔を見て回る。

変な疑いを持つこともなく青年は再びグラスを傾ける。


「俺とこっちの柚季が入信希望です」


「ほう、じゃあそっちのちびっ子はなんだ?」


「ちびっ――!?」


「あ、えっと送り迎えですよ!今回で俺たち、別々の道を歩むことにして、その別れに、というわけで」


美姫の口を抑え、即興の言い訳をまくし立てると青年はまた鋭い眼差しを向ける。


「ま、ええけどよ。じゃあ、アンタら含めて今日は三人だな」


「三人?」


「はい……私です」


青年が肘掛けるカウンターの少し離れたところに小柄な少女が座っていた。身長で言えば美姫とあまり変わらないくらいだ。


「えっと……とりあえず俺の名は泰樹たいきだ。手短に自己紹介しな」


青年がまず先程の少女に目を向ける。


「私は紗亜弥です。十三歳です。よろしくお願いします」


「私は柚季。年齢も言う流れなのかな……。十七歳です」


「俺は陸斗。柚季と同じ十七歳です」


一通り自己紹介が終わると、泰樹がログウォッチを確認する。


「今が四時か……。こりゃ夕食には間に合わねーな」


泰樹は面倒くさそうにため息をつく。

自然と、紗亜弥と陸斗と柚季は一塊に集まっていた。


「これからギルド本部に移動する。だいたい移動時間は四時間くらい?一応乗り物に乗るわけだが、雪原の中じゃ寒さは変わらねぇ。だからまずはこいつを着てもらう」


泰樹はポーチから自分が着ているのと同じ濃緑色のマントを三枚取り出す。それをみんなに配ると、泰樹は木製の扉の前に佇む人物の方に向かった。

陸斗たちは急いでマントを羽織り、泰樹の所まで行く。


「よし、準備は出来たな」


泰樹が三人の装備を見て回すと、振り返り扉に向かう。すると、扉の端の人物――おそらく門番だ――に目配せを送る。


「開門!」


突如として門番が声を張る。当然声は関門所全体に響き渡り、周囲の人たちが揃って視線を向ける。

若干この状況に羞恥心を覚えるが、すぐにそんなことを考えられなくなる。


ゴゴゴ、と重たい音を立てて扉が開く。扉の隙間からは外の吹雪が入り込み、周囲の温度がガクッと下がったのを感じた。

開けられたのは最小限人一人が通れる分だけだ。


「よし、乗り物は外だから早く出ろ!急がねぇとここにいるみんなが凍え死ぬぞ!」


逆風を押し返しながら四人は門を潜る。


新キャラ紹介

大神おおが大樹たいき(27)

『リベラシオン・エグリース』のギルドメンバーで、役割は新規入信者の移送。酒が好きでだいたいいつも飲んでる。本人はめんどくさがりだが、仕事を投げ出したりしたことはない。

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