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7話  彩花観察日記(記入者楓)



これは、長男の楓が、学校の課題で提出したレポートである。




テーマは、「ウチにいる珍獣」。




観察対象は・・・「二女、彩花」。










観察初日。うちの二女はさっそくものすごいことをやってくれた。


扉を破壊した。それは蝶番が壊れたわけでもノブが外れたわけでもない。


文字通り木っ端微塵に吹き飛んだ。それもTAS(対彩花専用)対策を施した鉄扉が、だ。


補足として、彩花は人間ではない。なんてことは無い。


正真正銘、俺や他の兄妹と同じく、母親の腹に宿り、そして生まれてきた人間である。


ただ他の家族よりも、破壊に特化しているというだけだ。おそらくフルパワーなら彗星くらい軽く破壊するだろう。太陽も行けるかもしれない。








観察二日目。このレポートの事は彩花に報告していない。別にプライベートなんてつまんないもんを報告するつもりは無いので別に問題は無いと思う。


昨日破壊された扉を修復し、一息ついたところでまた轟音が鳴り響いた。音のレベルからしてまたなんかぶっ壊したんだろう。


音のした四階へと行くと、部屋ごと破壊されていた。それもTASⅡ。鋼鉄よりも強度の高いオリジナルの物質(命名、モミジウム)でできた部屋がだ。


しかも俺の部屋側を破壊したため、俺も部屋まで突き抜けていた。今晩どうすりゃいいんだよ俺。どこで寝ろと??・・・って研究室で寝ればいいか。


彩花は・・・香織の部屋にでも行ってもらおう。








観察三日目。最近彩花から地味に視線を感じる。このレポートの事がばれかかっているのかもしれない。見つかったら軽く殺されるのでばれないようにしたいと思う。


結局夜中じゅう使って部屋を修復して、リビングで優雅にオレンジジュースを飲んでいた時のことだ。従姉妹である皓子と彩花がケンカを始めた。


皓子は普通の人間(俺たちも人間ではある)なので、彩花と取っ組み合いなんかしたら腕とか無くなる。


それは彩花も分かっているので取っ組み合いはしない。ケンカになると腕を後ろに組み、衝動的に殴りかからないようにしている(俺とかの場合はのっけからぶん殴ってくる)。


しかし皓子はまだ時折忘れるため、殴ってしまうことがある。


彩花だって神経くらいある。だから反射的に回避してしまう。


回避した先に、うちの第二の珍獣。徳光(金魚)がいる水槽があるのもわからずに、だ。


三日目の破壊物。金魚の水槽だ。








観察四日目。彩花だけでなく二男の静也からも視線が来るようになった。一体何だというのだろう。このレポートは研究室の最重要機密(俺の作りだした物の設計図など)が入っているセキュリティ室に置いてあるから誰も入れないはずだが・・・


金魚の水槽を買ってきて(これはTASしてない)金魚を放してやる。


今日は父親が休みなので一段と騒がしい。なりはデカイのに精神が子供だからなぁ・・・


ともあれ、今日は何も無さそうだから問題・・・大ありだ!!


案の定、彩花は風邪をひいていた。家族全員で手分けして周囲300メートルの住民を避難させ、俺と父さんで看病(という名の戦い)に向かう。


彩花は病気にかかると、手当たり次第に周囲の物を破壊する。


ひどかった時は家屋が全壊した。どころか周囲一帯が更地になった。


その時は自衛隊が壊滅寸前になって大変だったなぁ・・・


ともあれ、俺と父さんは大乱闘になるであろう自宅へと、一歩踏み出した








観察五日目。・・・もう、良いですよね??こんな晒し物にされるくらいなら、ひと思いに死んだ方がいいですよね??


何この状況。何で香織まで呪うような視線を浴びせてくるの??


・・・気を取り直して、五日目の報告。


結局俺と父さんがボロボロになっただけで済んだ昨日。風邪がすっかり良くなった彩花は昨日の元気を今日に引き継いだかのように元気いっぱいだ


対する俺はぼろぼろなので、結果だけ記しておく


今日の破壊物、地面。


割りやがりましたよ。地球。








観察六日目。あと一日で終わる。でもみんなの視線が痛い。痛すぎる。


もう結果だけ記したいけどそれじゃレポートにならないので頑張って書き記したい


地球を修復した翌日。テレビを見ていたら、彗星が三つほど気球に激突するというニュースが放送されていた。しかも三つともウチに激突するらしい。


みなさん、もうお分かりですね??


地球の公転軌道が大幅にずれたのは、うちの妹のせいです。








観察最終日。どうやらばれていたらしい。寝ていたら殺されそうになったので全力で逃げています。


というか既に右手がもがれてます。


どうやら最終日の破壊物は・・・俺になりそうです。








レポートをみた先生の一言




とりあえず再提出。

















~5日目~






「はぁ・・・・」


楓と悠生が同時にため息を吐く。


どちらもズタボロで、見るに耐えない状態になっている。


その一方で・・・


「あはは!!」


彩花は風邪が治ったためか、ものすごく元気だ。


はしゃぎまわってる。すごいはしゃぎまわっている。


それをジト目で見ながら、二人はコーヒーを啜る。


「お疲れ様。こんだけの被害で済んだのは二人のおかげだよ」


静也がねぎらいの言葉をかけるも、二人は何も言わない。


というか、言うだけの元気が残っていない。といったほうが正しいか。


その中でも楓はレポート(みんなには化学のレポートと言ってある)を書き続けているのはさすがと言ったところか。


「そういえばさぁ・・・」



何やら意味深な視線を楓に向ける彩花。意味深というか軽く殺意が見え隠れしている


「ん??どうしたんだ彩花。惚れたか??」


「死ねカス。」


「うん、泣いちゃうよ??・・・で??どうしたんだ??」


「そのレポートさぁ・・・」


「このレポートがどうした??科学のレポートだぞ。お前の好きな肉まんの情報は載ってない」


「そもそも肉まんはそんな好きじゃないから。そうじゃなくてさぁ・・・それを書いてるとき、妙に視線がこっちに向いているんだよね。何??」


「え??それ多分違う。単純に金魚見てただけだと思うぞ」


こんなこともあろうかと楓は金魚との間に彩花が入るように位置取りし、抜け道を作っておいたのだ。


「ふぅん・・・」


なおもジト目を続ける彩花。それに静也に香織。


「おい、そこの双子。何故お前たちまでそんな呪うような視線を浴びせてくるんだ。」


「いや、特に理由は無い」


「早く死なないかなって」


「香織最近俺に対して辛辣すぎない!?」


いつものことです。


「・・・まぁいいか。あとで殺せばいいし」


「お~い、本音出てるぞ」


「そんなことより外に行かない??」


そう言って降りてきたのは従姉妹である皓子だ。


「外??」


「うん、なんか神社の方でお祭りやってるみたいだよ??」


「あぁ、あの祭りか。毎年力比べやってんだよな。景品豪華だし」


勿論毎回ぶっちぎりで優勝しています。


「今年は何だっけ??」


「羊羹1キロ」


「乗った!!」


楓が速攻で喰いつく。


「阿呆、1キロとか喰いきれないだろ。生菓子だから足早いぞ」


「え??1キロとか普通でしょ??」


「・・・そうだねー(棒読み)」


なにはともあれ、お祭りに行くことになったなかむらけの面々。着物等は時間が無いので着ていない。


「ふぅん、まぁいつも通りだな」


はしゃぎまわる女性陣をのったり見ながら感想を述べる楓。悠生は既に「おっしゃ食いまくるぜぇ~!!」と言って走って行った。


「ん、どうした皓子。トイレか??」


「とりあえず一回死んで来て。じゃなくて、財布忘れた。」


「アホかお前は。で??どれに行くんだ。仕方ないから出してやる」


「とりあえず歩く。」


「了解。」


皓子と並んで歩く。静也達も財布を忘れたらしく、最終的に合流してきた。


そして・・・・・


「お、そろそろ始まるな。力比べ」


神社の御神木の前、そこで執り行われる力比べは、毎年様々な内容で競われる。今回は・・・


「おお、石割か。」


石割とは、その名の通り、巨石を砕く時間を競うものだ。素手でいくもよし、道具を使うもよし。ルールは無いに等しい。


「エントリーナンバー1番、田中さん!!」


司会のコールとともに現れたのは、ムッキムキのおっさんだった


田中さんはハンマーで挑戦し、結果は3分27秒だった。


それから次々に挑戦者が現れるも、ほとんどが3分を超えてしまった。


そして、最後の挑戦者は・・・・


「最後の挑戦者です。中村さんです!!」


彩花だ。


「おい、全員避難しろ。そこじゃ破片で怪我するぞ。」


司会者のマイクを奪い取り、避難誘導する悠生。口元にたこ焼きのソースが付いているが気にしない。


「さて、避難も終わったことですし、改めて行ってみましょ【ズガァァァァァァァン・・・】・・・終了です。かかった時間は・・・1秒」


相変わらずの圧倒的破壊力。それに悠生と楓が感心していると


「・・・ん??ゆれくるコール??震度・・・8!?」


「おい、衛星画像で視る限り、地球割れてんぞ!!」


「おい、マグマが滲み出て来てる!!逃げろ!!」


ざわついてからちょっとしない間にその場にいた全員が脱兎のごとく逃げ出した。


「おい、まさか地球割りしちゃったんじゃねぇか??」


「まぁそうだろうな。おい、マグマ来てるぞ」


その中でもいつも通りの二人。怖いもの知らずなんてもんじゃない。馬鹿だ。


「どうするよ??」


「そりゃあ治すしかないでしょ。」


「えぇ・・・メンドイなぁ・・・」


結局、家族全員で協力してなんとか治すのだが、それはまたいずれ・・・






















~6日目~




「はぁぁぁ・・・・」


昨日よりさらにボロボロな楓と悠生。というのも昨日の地球割りを治していたのだ。


セメダインで。




「お疲れ様・・・」


静也も手伝っていたため、今日は元気がない。


「あ、テレビ・・・」


恵美がテレビを指差す。一同の視線はテレビへと向かい・・・




『本日、NASAより地球に巨大隕石が三つほど向かっていることが分かりました。この隕石は日本の大海町に激突する模様です。』




「え、マジで??」


「・・・どうやらマジらしい。レーダーにも映ってる」


悠生の手にしている端末を覗き込むと、確かに三つほど何かが地球に向かっている。


「大海町ってここだよな」


「うん。」


「って事は激突するのはこの辺りだよな??」


「多分。」


「うん、のんきに話してる場合じゃないよね。全員集合。家族会議だ」


楓の一言で、リビングに全員が集合した




悠生「さて、状況確認。静也」


静也「・・・隕石が三つほどこのあたりに激突する。以上」


悠生「やる気ないが突っ込んでいる余裕は無い。次にどうするかだ、いい案があるやつは??」


楓・彩花「「ぶっ壊す」」



悠生「黙ってろ馬鹿二人。他には??」


皓子「まって、壊すのは案外いい案じゃない??」


悠生「出来なくもないがリスクが大きすぎる。万が一破片が飛び散ってみろ。被害が広がるだけだ。」


皓子「確かに・・・」


楓「破片は全部俺が破壊する。」


悠生「だめだ。子供にそんなことはさせられない」


楓「じゃあどうすんだよ。このままじゃ俺たち以外皆死ぬぞ」


皓子「(生き残れるんだ・・・)なんとかして隕石の軌道を逸らせればいいんだけど・・・」


楓・悠生「それだ!!」


皓子「??、??」


悠生「つまりだ・・・・」




以下、悠生の作戦


「隕石の破壊はリスクがあるが、押し返すならリスクは無い。よって、俺の作戦はこうだ。彩花の力をフル活用して、砲丸を投げてもらう。宇宙ってのは抵抗がない。全力で打ち込めば砲丸のエネルギーで押し返せる。それを三回、正確に真ん中を打ち抜かなきゃならないから、楓、お前のSライフルでペイントしてくれ、そこに向けて投げ込む。それと、皓子は避難してろ。俺たちならともかく、肉体強度が人並みのお前じゃ危険だ。徳光、母さんは皓子についてやってくれ。香織は周辺住民の避難。それと避難した人たちの安全を確保しといてくれ。静也は香織のサポート。いいな!!










それから5分・・・・






「さて、見えてきたな」


人気のなくなった町。風が吹き荒れ、スナイプするには最悪のコンディションだ。


楓はサイトを覗き込み、隕石を捕える。


「距離は・・・5000ってとこか」


「到達時間は??」


「少なくとも10分。まだ重力にひっぱられてない今がチャンスだ。彩花、準備はいいか??」


「うん、任せて」


彩花は砲丸を片手に、隕石のある方向を見つめている。


「良し、ペイント完了!いけ!!」


「せぇ~・・・・のぉっ!!!」


彩花が全力で振りかぶる。


「・・・ってあれ??」


今まさに投げようとしたその時、地面が揺れた。その揺れは彩花の体制を崩し、砲丸を投げるどころかすっ転んだ!!




~ドゴォッ!!~


顔面から転んだ彩花の運動エネルギーは地球そのものにぶち当たり、惑星ごと動かした。


当然、その際に大地震が起き、世界は大混乱に陥るのだが、それは未来の話。


「この・・・!!」


楓がプランB、銃器による破壊をすべく隕石を探すが・・・


「・・・ない」


「ない!?どういうことだ・・・ってえぇ!?」


悠生が端末を確認すると、地球の起動が大幅にずれ、隕石を回避していた。


「怪我の功名ってやつだな・・・」


「一体何があったんだ!?」


静也達が駆けよってくる。楓が事情を説明すると


「何というか・・・結果オーライ??」


そんな返事が、返ってきた。








~最終日~


なんとか地球を元に戻し、その際楓のレポートが家族に露見したのが10分ほど前。




「ちょ、マジ危ないから!!死ぬから!!」


楓は彩花、静也、香織、皓子の追撃を避けるのに必死だった。


ちなみに彩花以外の動機は「面白そうだから」。


彩花が持ち前の力で、静也と香織は石を投げて、皓子は楓から奪った銃でスナイプして、それぞれ狩りを楽しんでいた


「えい」


ぶちっ


「・・・って腕もげたぁ!?やる気ない掛け声で何やってくれてんだよ!!」


「えい」


ぶおんっ


「うおおおお!?電柱破壊すんな!!」


「とう」


しゅいいいいいいいいん


「なんだなんだ!?どうやったら手首からそんな音が出るんだよ!!」


「とおー」


ひゅんっ


「拳が音速を超えた!?そしてさっきから地味に攻撃してるそこの三人!!うっとうしいわ!!」


「面白そうだから」


「というか日ごろの憂さ晴らし??」


「それにしても使いやすいね、この銃」


「皓子ぉ!!お前何で人のベレッタでヘッドショット連続してくれてんの!?何そのセンスは!!」


ふっ


「お前ついに掛け声すらしなくなったか!!無言で音速の拳繰り出すな!!」




それを見た恵美と徳光と悠生の会話


「今日も平和ね」


「あれを平和と言うなら平和だね」


「元気でよろしい」


















~レポート提出~


楓「先生、何であれ再提出なの??」


先生「え、お前わかんないの??」


楓「普通にレポートでしょ。自分なりにうまく書けたと思うんだけど」


先生「あれのどこがレポートなんだ。五十嵐のを見て見ろ。飼っている犬の観察日記だぞ。」


楓「あぁあの隻眼わんこか」


先生「隻眼なの!?」


楓「そんなことはどうでもいい。どこがダメなんだ??」


先生「何で家族の観察日記なんだよ。もっとちゃんとしろ」


楓「しっかり描いた結果がこれ何だけど??ほら、腕も片方ないし」


先生「たしかに・・・仕方ない、今回だけだぞ」


楓「あんがと先生。そりゃっ!!」


ぬるっ


先生「腕が生えた!?」


楓「さながらナ★ック星人のごとくな」















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