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4話  楓の追想







─────────楓の研究室










今日はあいにくの天気だ、大雨と言っていいほど雨が降り、洗濯物も乾きやしない


それに雨というのは、俺の中でもう一つ、特別な意味を持っている


・・・・・・もう、あの出来事から一カ月が経とうとしている


「・・・・で??俺を呼びつけておいてだんまりってどういうことだ??」


俺の心情を理解していない目の前の親友は、呼び出しておいて無言を貫く俺にいぶかしげな視線を向けている


「そろそろ、お前にも話しておかなきゃと思ってな」


「????」


「一ヶ月くらい前の、ある出来事について」






そう、あの日は、雨の日だったな、ちょうどこんな風な・・・・


















────────1ヶ月前












「はぁ・・・・」


溜息をつく、これで何度めだろうか。溜息をつくと幸せが逃げるといわれているが、そうなると俺のもとには2度と幸せが訪れないだろう。そう考えてまた溜息をつく。




「あのさ・・・さっきからこっち見ながら溜息ばっかついて何なの??そんなにあたしが視界に入っていることが嫌なの??」


俺の目線の先にいた香織が抗議してくる。俺としてはボケーっとしていたらただ目の前に香織が来てテレビを見始めただけなのだ、悪気があるわけじゃないし、視界に入ってても「ああ、妹だ」程度にしか思考しないから問題は無いのだが、向こうにとってみれば嫌だったらしい


「あぁ、気にすんな、別にお前が嫌で溜息ついてるんじゃないから」


そう言って、また窓を見る。雨。朝より強くなってるぞ、母さん大丈夫かな


我が家は基本的に休日にまとめて洗濯するタイプの家なので、今日みたいに雨だと母さんが涙目になるのだ


今度乾燥機でも作ってあげようかな


「そう言えばさ、今日どっか出かけるんじゃなかったっけ??」


思い出したように香織がこちらを向く、そう、そのはずだったんだが・・・


「こんな大雨で遊園地とか行けるわけないだろ」


俺と学校の友達数人で、遊園地に行くことになっていたが、あいにくの大雨。という訳で現在わくわくがたまりすぎてどうかしそうなのだ


「葉月さんが来るから??」


香織が不意にそんなことを呟く。


「・・・・何言ってんだ。五十嵐は別に関係ないだろ」


五十嵐葉月。俺のクラスメイトで、俺がもっとも気にかけている人間だ


というのもこいつ、人を疑うという事を知らないのだ。俺の知ってる限り、今まで5回襲われかけている。そのたびに俺やクラスメイトの水無月が目撃、相手をぶっ殺・・・亡き者にして事件解決することが多数ある。そのために俺、水無月、五十嵐、五反田(俺の悪友だ)、それに拓哉、まみを加えた6名で行動することが多くなった。そして、そのうちに俺は・・・・


「・・・・・・」


思考を止める。このことについて思考すると、毎回同じ所で止めてしまう。俺にとってその先が未知の領域だから、というのと、五十嵐は俺のことを「兄」みたいな存在として見ている。前述の通り彼女は人を疑うことを知らない。つまりそれだけ純粋なのだ。圧倒的な光、比べればだれでもやましくなる絶対的な、穢れのない無垢な白。


そんな彼女だからこそ、それを汚すようなことはしたくない


彼女が俺を「兄」的存在として見ているなら、俺はそうであり続けなければならない


「まぁいいか。とりあえずマッサージして」


無意識に、しかし確実な殺意を持って、香織の背中に踵落としを叩き込んだ。


「・・・・痛いんだけど」


「お前は俺を何だと思っている」


「う~ん・・・・兄??」


「疑問形とかふざけんな」


「だって・・・〔ぴぴぴ!!ぴぴぴ!!!〕・・・あ、携帯なってるよ」


仕方なく香織の背中から足をどかし、テーブルの上にある自分の携帯を開く。


「ん??水無月からだ」


メールを開く。そしてその10秒後、俺は家から飛び出した


水無月からのメールには、たった一言、こう書かれていた








「助けて」


























「・・・そうか」


今までの話を聞いて、拓哉が黙考する


「なんか変だとは思ったんだ、学校での違和感は、そう言うことか」


「ああ、悪いな、今まで話せなくて」


「別にいいさ。お前にも考えることがあったんだろ。それで??あの水無月が助けを求めるくらいだ、相当大変なことがあったんだろ??」


理解の早い友人は、先を促してくる


「あぁ、それで・・・・・」












――――――楠高校近くの工場跡








「中村!!」


俺の姿を見つけた水無月が叫ぶ。それにつられるように周囲の男たちがこちらを向く。全員顔に覚えがあり、同時にそいつらは共通の前科があった


「オイテメーら、今更集団で何しようってんだ!!」


共通の前科、それは全員が五十嵐を襲おうとし、俺、あるいは水無月にボコられた人間たちである


「よう中村君、なに、ただお話に来ただけだよ、この子たちにね」


リーダー格と思しきお世辞にもイケメンとは言いづらい男がその顔に邪悪な笑みを浮かべる。とりあえず一言、とても気持ち悪いです。


「お話だぁ??冗談もほどほどにしろよ、そいつは何だよ!!」


俺の視線の先に、倒れ伏している男がいる。そいつは俺たちのメンバーの一人で、俺の悪友である、五反田裕だった


「何で裕がボコられてんだよ・・・・事と次第によっちゃあゆるさねぇぞ!!」


「ん・・・・楓・・・??」


俺の怒鳴り声で、裕が意識を取り戻した。もはやズタボロと言っていいその状態に、怒りがふつふつと湧き上がってくる。


「裕!!無事か!?」


「この状態の俺を無事とするなら・・・そうだな」


裕はいつもの調子でそう言い、ゆっくりこちらに向かってくる。そしてすれ違いざまに


「・・・五十嵐が捕われてる。あそこの工場の中だ」


俺にそう耳打ちする。不自然なくらい冷静に、しかし明確な一つの感情が俺の体を支配する


「おい、五十嵐はホントに工場の中にいるんだな??」


「・・・あぁ、手を縛ってな」


「・・・まちがっても怪我とかさせてないだろうな・・・」


「腕を縛るときにちょっとあざになった」


・・・ホントはいい奴じゃないか??なんて疑問が頭に浮かぶが、それを口に出さず、代わりに別の言葉を投げかける


「とりあえず、お前たち全員死刑な」


『何ゆえ!?』


そりゃだって、仲の良いメンバーが捕われてるんだ、それくらいはしないと


「水無月!!五十嵐を頼む!!」


大声でそう告げ、戦闘態勢に入る。両手を背中に伸ばし・・・


「最初はこいつだ!」


俺が取り出したのはオートマ拳銃最強のデザートイーグル。それも二丁


『ちょっ!?』


俺が改造したモデルガン、〔DE楓カスタムMKⅡ〕の引き金を引き、二人を気絶させる。さすがに実弾は使う訳にはいかないので高圧電流を発生させるゴム弾だ


「お次はこちら!!」


俺のズボンの両腰に付いている楕円形の器具。それを指ではじき、針を高速で射出する。この針は俺のお気に入りで、対彩花対策が施されている言うなれば超硬針とでも呼ぶべきか。それを木に突き刺し、残りを糸で絡め取る。もちろん糸も対彩花対策済みだ




「・・・すげぇな、お前・・・」


裕が呆れたように呟く。どうやらある程度は回復したみたいだ


「だろ??」


両腰が固定されて動けなくなってはいるがな。さて、後は水無月を待って・・・


「ん??何だこれ、どういう状況だよ」


後ろから聞き覚えのない声。しまった、まだいやがったか・・・・


どうする??おれは動けないし、裕は戦える状態じゃない。水無月は五十嵐を救出に行ってていないし・・・




「そいつだ・・・糸出してるやつを、ぶっ殺せ・・・」


絡め取っているうちの一人がそんなことを言う。そんなこと言ってると、ブツ切りにしちゃうゾ★


とか言いつつしっかり絞めております★


「そうかい!!」


その声とともに、合計三回の衝撃を受ける俺。最初の一回は木刀。とはいっても安物だったらしく木刀の方が折れた。次に鉄パイプ。これも大したダメージを受けることなく終わった


「・・・がっ!!」


最後の一回。これは電気だった。高圧スタンロッド、それも違法改造の奴だ。少なくとも1000ボルトは超えている。さすがにこれには俺も呻くしかなかった






・・・何秒が経っただろうか、いまだに電撃を受け続けている俺は、皮膚を走り回る激痛としびれでほぼ何も考えられなくなっていた。


もしかして、このまま死ぬのか??


というか糸を伝って感電しまくってるけどいいのか??俺だから生きてるけど普通の人間なら死んでるかんな??あ、気付いた


「大丈夫か??」


聞くなら電気止めてからにしてあげて!!マジで死んじゃうから!!


「いいから・・・そい、つを・・・」


おお!!痺れてんのに喋った!!なかなか根性あるな・・・でも


「おい・・・さすがにあいつら死んじまうぞ、もう止めてやったらどうだ」


極めて普通に話しかける。だって慣れちゃったんだもん・・・


「おお!?こいつ化けもンか!?」


「だれが化け物だっての!!」


針を収納、感電から逃れて倒れる哀れな男たち。ちなみに俺いまだに感電中。




「さて、お前ら、覚悟はいいか??」
















自分の気持ちを理解した俺は、次にどうするか考える


「そりゃ・・・決まってるよな」


そんなの聞くまでもない。結果が見えているなら・・・・








それに向かって突き進むだけだ!!




「テメェ!!」


解放された一人が殴りかかってくる。鉄パイプへし折った俺にんな軟いもん効かねえんだよ!!


「黙ってやられてろ!!」


避けずに喰らう。しかし折れたのは腕の方だった。腰を捻り、後ろ回し蹴りを叩き込む。それだけで気絶し、結構吹き飛ぶ


「次!!」


唖然としてる不良どもに肉薄。一撃で沈め、さらにもう一人を貫手で沈める。


・・・軽く貫いた気がするんだけど・・・


まぁいいか、気にしなーい気にしなーい。指先に生温かい赤い液体ついてるけど気にしなーい


「次はどいつだ??」


脅しの意味も含めて、貫手を見せびらかすように掲げる。


「楓!!」


裕が俺を呼ぶ。見るとそこには二人で寄り添うように体をくっつけている水無月と五十嵐の姿があった。良かった、助けられたんだな


「・・・・・・」


・・・ところが、二人とも固まっている。その瞳にはありありと恐怖が浮かび、その瞳が見据える先は・・・・


「・・・あ、」


俺の掲げてある右手。真っ赤な血が滴っており、とてもショッキングな絵となっている


「これは、その、殺してないぞ」


・・・何言ってんだ俺は。弁解できてねぇぞ


「良くもカっちゃんを!!」


後ろから声がする。へぇ、さっきの奴カっちゃんって言うんだ。どうでもよっ!?


「邪魔だ」


左足を軸に半回転。右のかかとが突っ込んできていた奴のこめかみに直撃する。やっベ、本気で入っちまった。脳の血管切れて無いといいな


「こ・・・この化け物!!」


瞬間、怖気がした。振り向くと拳銃を構えている男が。しかも銃口が向いているのは俺ではなく五十嵐・・・!!


「てめぇ・・・!!」


拳銃を構えた男が口元をゆがめ、トリガーにかかった指に力が入る。撃鉄が作動し、銃口から弾丸が吐き出される。実際には一瞬なのだが、俺にはそれが見えた


マンガとかである様な超人的な肉体は・・・・まぁあるんですが


残念なことに俺の体は拳銃に・・・耐えられるじゃん!?


かといってコンマ何秒での行動なんて・・・はい、出来ます


自分が人間であるかどうかに多大なる疑問を抱きつつ、俺は銃と五十嵐たちの間に割って入り・・・・






「・・・・ちっ。さすがに父さんみたいにはいかないか」


弾丸を止めることはできなかったので、破壊した。針と相殺したのだ


父さんなら叩き落とすなりはじき返すなり出来たんだろうけど俺はまだそこまで強くない


「中村、くん??」


「怪我はねえか??」


「う、うん・・・」


「そりゃよかった。それと、お前ら目ぇ瞑っとけ。十秒くらいで片づける」


「え・・・??」


困惑する三人を見ないように前を向く。おそらく俺の顔はとてつもなく恐ろしいはずだ。だって怒ってるんだもん


「お前ら、拳銃向けたって事は、殺される覚悟できてんだろうなぁ・・・」


声のトーンが異常なくらいに低い。どんだけキレてんだ俺。


「ひっ・・・!!」


よっぽど恐ろしいのか、短い悲鳴を上げる。


「全員まとめて、殺してやんよ・・・!!」














──────楓の研究室










「それからのいきさつを、簡潔に話そうか




結果的に、俺は誰一人として殺さなかった。しかしほとんどの人間が意識不明の重体。たまたま通りかかった人が発見し通報。警察が止めに入るまで、俺は暴れ続けていた。結果的に、やや過剰(というか完全に過剰防衛)ではあるが正当防衛が認められ、俺は特に警察の厄介になることはなかった。しかし


五十嵐、裕、水無月の三人とは、あれから一度も話していない。それはお前も知ってるだろ??


そして五十嵐が失語症になったのも。俺のせいなんだ


あいつにはショッキング過ぎたんだ。水無月や裕ならともかく、あの子には見せちゃだめだったんだよ。何が汚しちゃいけない存在だ。何が無垢な白だ。結局汚したのは俺じゃないか」


「・・・もういい、分かった」


「そりゃそうだよなぁ!!純粋な奴の目の前で、平気で人を血まみれにしてんだもんなぁ!!・・・何が『兄的存在であり続けなきゃならない』だよ。守るべき対象にトラウマ刻んで、喋れなくさせて!!」


「もういい・・・!!」


「結局俺は何がしたかったんだろうなぁ!!『助けて』ってメールが来て、助けに行って、恐怖を刻みつけただけじゃねぇか!!助けるどころかむしろより一層状況を悪くした・・・」


「やめろ!!」


拓哉が怒鳴った、あの拓哉が。


同時に、俺の頬を涙が伝っていた。あれ??いつの間に泣いたんだ??


「・・・お前は悪くない、とは言わない。だけどそれは必要悪だ。嘆く必要はない」


「・・・どういう、事だ??」


拓哉の行っていることが理解できない。必要悪??何でだよ


「正直言うと、とっくに気付いていた。というか裕と水無月が教えてくれていた」


「・・・・・・」


「二人とも言ってたぞ。『楓は悪くない。』ってな」


・・・違う、俺が悪いんだ。だって俺のせいで・・・・・




ぴんぽーん




「「・・・・・・」」


シリアスムードをぶっ壊したのは家のインターホン。そう言えば家に誰もいないんだっけ


「・・・・・・ちょっと出てくる」


「いや、俺も行くぞ」


なぜか少し上機嫌な拓哉。こいつ実は楽しんでないか??


面倒なので涙を拭かず、そのままドアを開ける


「はいはい、どちら様ですか・・・・」


戦慄した。いいや、驚愕したといっていい


「お前ら・・・・・」


「ようやく来たか」


後ろの拓哉の声で気付く。さっき上機嫌だったのは、こいつらが来ることを知ってたからか・・・確信犯かよ


「よ・・・よう、楓」


訪問者は三名。五反田裕。水無月千裕。五十嵐葉月の三人だった


「・・・とりあえずあがれ、そこにいちゃご近所さんに迷惑になる」


「ええ、そうね」


一見いつもと変わらないように見える水無月だが、極力俺と目を合わせないようにしている。あからさま過ぎて悲しみさえ湧きでてこねぇよ


「・・・・・・」


そして、五十嵐は無言。そりゃそうだ、喋れないんだから


「・・・ココアとコーヒー、それにミロがあるけど、どれがいい???」


「何か久しぶりに聞いたわ、ミロ。ココアで」


「・・・・・・(ココア)」←携帯で表示している


「じゃあ俺はココアとミロを一対一で」


「何人んちで新作ドリンク作ってんだお前は」


とか言いつつココアを二つ、コーヒーを二つ、新作ジュース(!?)を作成してリビングに戻る












━━━━━━なかむらけ、リビング






「ホラ、出来たぞ」


「・・・・・(いただきます)」


「・・・上手い」


「何これ!?まっず!!」


「リクエストしたのはお前だ、全部きちんと飲め」


「だてに将来の夢料理人じゃないな」


「それとこれは関係ないだろ」


・・・ここまで来て気付いた、いつも通りに接することができている。学校での気まずい雰囲気はみじんも感じられない


「・・・さて、本題に入るぞ」


・・・と思ったらやっぱり無理してた様で、拓哉がいざあの日のことに入ろうとすると空気が緊張したのがわかる。


「何故このメンバーで集まったか、その意図はだいたいわかるだろ??」


拓哉は全員の顔を一通り眺め、そしてゆっくりと言葉を紡ぐ












「仲直りしろ」






『は??』




・・・一瞬、頭が真っ白になった


ナカナオリ??ちょ、ま、えぇ??


ここまで来てボケるの??マジで??


どうやら三人にとっても予想外だったらしく、ポカンと口をあけている


「ごめん拓哉、何で??」


「今までの不和をお互いに詫びて、関係を修復しようと『出来るか阿呆!!』・・・いい案だと思ったんだが」


冗談きつすぎるぜ。


「あー、まぁ、ごめんな」


このままでは埒が明かないので、先手を打つ。


「俺のせいで怖い思いさせて、俺はこれから先なるべく関わらないように生きるからさ。学校も転校する。だから俺のことは忘れてみんなで楽しくやってくれ」


・・・本当のことだ。俺は校長にはなしを通してある。


・・・・なぜか泣きつかれたんだが、どうしてだろう??


「五十嵐の失語症は・・・どうにもできない。だからこれ以上怖い思いをしないように・・・」


パァン!!!


「・・・・・五十嵐??」


五十嵐に頬をはたかれた。本来なら全然痛くないのに、痛い。


「わ・・・・が、・・・・な・・と、の・・・・と・・・・・・て・・・・の!?」


ほとんど聞き取れない。が五十嵐は必死になにかを訴えかけてきている


「な・・・・・・く・・の、せ・・・・・・ない!!なかむ・・くんは、わた・・・・たす・・・・ために・・ったんだ・・ん!!」


少しづつではあるが、聞き取れるようになり始めた。まさか、失語症が治るのか?


「わたしnら、平気だkら!!転校nんて、しnいで!!」


確実に、治っている。精神的ショックを、乗り越えているんだ


「そんなことしたら、絶交だから!!」


・・・今まで表面的な弱さしか見ていなかったんだ。と自分を恥じる。この少女は弱くなんかなかった。だれよりも強くて、温かい。守っていたんじゃなくて、守られていたのかもしれないな


「・・・五十嵐」


「まだ遊園地行ってないんだよ??結局あのことでお流れになっちゃったんだから、次こそちゃんと行こうよ!!」


「・・・そうだな!!せっかくだから楓のおごりって事にしようぜ!!」


「そうね、なんだかんだいろいろあったし、気分転換にちょうどいいかもね」


三人のやさしさに、心から感謝した。それと裕、お前は殴る


「そうだ!!今日楓の家に泊まらないか!?」


「いきなり何言ってんだ裕!!そもそも着替えとか・・・「持って来てるよ~」・・・てえぇ!?なんで!?」


「裕に言われたのよ、持って来いって」


「・・・第一父さんとかが許すわけ・・・」








『お泊まり??家で??』


「ああ、ダメだよな、というかダメって言ってくれ」


『構わんよ』


「・・・は??」


『だってこっちも泊まる予定だったし』


「こっち??何、もしかして俺以外そろってる感じ??」


『うん、今京都』


「・・・・・・あ、そうですか、俺だけハブッたんですね、・・・覚悟はいいか??」


『拓哉君に言われたんだよ、今日大事な話があるから出来れば一日家を空けてくれって』


・・・・・拓哉をジト目で見る。こいつ、実はやっぱり楽しんでるだろ・・・


「・・・まぁいいや、お土産よろしく」


『おう、任せとけ』


























「・・・で、何で俺の研究室で雑魚寝なわけ??」


時は進んで俺の研究室。全員持っていた寝間着に着替え、予備の布団を敷いて、なぜかみんなで寝ることになった


「良いじゃないか、修学旅行みたいで」


拓哉は優雅に紅茶を飲んでいる。・・・いや、犬のキグルミみたいなパジャマ着てる時点でお前のキャラ付けはギャグだから


「おれここ!!」


そして裕。お前はどっかの旅館にでもいるのか??何で浴衣なんだよ、おかしいだろ


「・・・ちょっと間空けておこうっと」


水無月・・・お前にいたっては何だそれ、お前の部屋じゃないんだよ??何そのだるだるな服は、適当に引っ張ってきたろ。絶対


「・・・すぅ」


・・・五十嵐については突っ込むまい。・・・何で猫??しかも凄い似合ってるし。・・・待て俺、本能に打ち勝て!!










ってなわけで一夜を過ごした俺たちは、関係を修復することができた。


しかし、校長にどう話したらいいんだろう??まぁいいか、最悪脅せば済むことでしょ




とかなんとかいいつつ、結局自分の気持ちを自覚したのに一歩を踏み出せていないのだが、まだ、このままでいい






この関係で、構わない


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