最終話 家族の団欒
とある休日の昼下がりのなかむらけ。
時刻はお昼を回ったころ。悠生は野球中継を見ながらコーラを飲んでいた。
「お、山岡が打った。」
テレビの向こう側では、さわやかなイケメンがホームランを放っていた。
「・・・気に入らん」
悠生はチャンネルを回す。時代劇、ニュース、通販。特に面白いものは無い。
「母さーん・・・は楓と晧子と買いものか」
彩花も静也もまだ帰ってきそうにない。レンは優雅にお昼寝タイム。正真正銘一人だった。
「ひまだな。ついて行けば良かった。」
言ってみるが既に遅い。楓の運転する車は隣町まで行ってしまっている。
「なんか有ったかなー」
久しぶりにゲームでもしよう。そう考えた悠生は棚の中を探し始める。
「うーん、ないなぁ・・・・」
しかし、こういう時に限ってなかなか見つからない。探すこと10分。悠生は諦めた。
「ひまだ・・・死ぬ・・・」
常にテンションを上げていきたい人種の悠生は、退屈を嫌う。
そして、そんなときは大抵奇跡的なことが起こるのだ。
「いけねぇ、忘れモンした」
正確には、忘れ物した楓だった
「俺も連れてけぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「うおぉっ!?」
スピンしながら飛んできた悠生にびっくりする楓。あたりまえですよね。
「つれていってくれぇぇぇぇぇ!!!!!」
「わかった!!分かったから急いで準備してくれ!!」
「yes」
「全く、だから最初に言ったのに・・・・」
「準備できた」
「って早っ!?」
「あれ、お父さん??」
「ひまだからついてくるってよ。晧、つめてあげて」
「じゃあ私前に乗る」
「はいはい、悠生さん。ちょっと待っててね」
「はーい。」
なんだかんだ、この家族の仲は良い。昨今の家族に珍しく、洗濯物も一緒に洗うくらいに。いや、その家族の方が古いかな??
「それで、何処に行くんだ?」
出発してからすこしして、悠生は楓に聞いてみる
「隣町のホームセンターだよ。俺と晧子は学校の備品を、母さんは普通に買い物」
「ふーん。ゲーセンは??」
「子供かアンタは」「あ、服も買いたい」
「お前さっき買いに行ってなかったか??」
「女の子は服をたくさん買うモノなの」
「あら、そうですか」
「楓も買ったら??」
「気が向いたらな」
そんな風に談笑しつつ、目的地であるショッピングモールへと到着した悠生たちはいったん解散し、それぞれの目的のものを買いに行った。しかし悠生には買いたいものなどない。だから。
「ゲーセンでも行くか。」
お祭り気質の悠生らしいチョイスである。
町一番のショッピングモールなだけあってゲームセンターもかなり広く、多岐にわたるゲームが所狭しと並んでいた。
「ぬいぐるみかぁ・・・楓喜ぶよな、このやたらかわいいウサギのぬいぐるみ。」
悠生の視線の先には、かわいらしいぬいぐるみが景品のクレーンゲーム。それを悠生は
「よし、揃えよう」
そんな風に仲良く、そしてほほえましいくらいの平凡な家族。なかむらけはお互いを大切に出来る。
たとえ、すれ違っていても。
ずいぶん長い間、顔を見せなくても。
会えばまた、いつも通り。最高の家族になる。
それぞれが他の人を補完し、他の人に補完されて自分がいる。
どちらかが拒否すれば終わる。片方がいなくなれば無くなる。
そんな関係を、彼らは続けていく。
何十年も、ずっと。
これにて、なかむらけの最初の物語は終わりを迎えます。
次に始まるのは、世界線を越えたもう1つの「なかむらけ」のお話と、同じ世界線で繰り広げられる「外伝」のお話。
終わらないなかむらけの物語、もうしばらくお付き合い願います。




