名もない傷に涙という光を
-10週間後-
俺はあれから、セナの葬儀をすることが出来なかったので、セナを家に持ち帰った。
セナには、虫がわき、腐臭が出ている。
「セナ。来週の3日間どこ行こうか?2人だけでゆっくりできるところがいいだろ?な??」
狂い始めた。
亡くなった直後はパニックで、素直に受け入れる事ができなかった。今では何もかもが受け入れられない。
多分、匂い、身体、という2つの様子から夢であって欲しいという事が強くなってるからだ...。
この10週間。目から涙が止まった事はない。
この10週間。何も摂ってない。
俺の身体も心もボロボロだ。
仕事にも行ってない。
俺ってワーカーホリックじゃなかったっけ?
行かなきゃなーーーーーーーー。
電気もガスも止まってるし。
でも、セナから離れたりでもしたら、また居なくなってしまいそう。
(どうしよう。)
「俺もそろそろセナの所
に行けそうな気がするぜ...はははっ」
そんなことを言っていたら、部屋にチャイム音が鳴り響く。
誰が来たのやらと思いながら玄関に向かう。
「はい。どちら様?」
「どうも署の者ですが」
目の前には2人の警察の服を着た人が立っていた。
「どうしました?」
「あなたの家から、異臭がするとの通報があったので..」
警察の言葉を遮るように答える。
「そうかもしれませんね」
「ちょっと上がらせて貰っても良いですか?」
「どうぞ」
警察の人を家に入れる。
途端に口を押さえ始める。
「うっ」
(どうしてしまったんだ。俺は...)
「これは死体?!」
1人が口を驚きながら開いた。
「棺桶?」
「どうゆうことだ?」
別に質問された訳ではないが、疑問に答え始める。素直に。
「お金が無かったんだ。それにセナがいない
と生きていけないんだ。」
「それでそのままに?」
「えぇ。そ...うで...」
バタン
意識を失った。
(カロリー消費し過ぎた...?元々ないか...)