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海を漂う  作者: tomo
9/28

三年6

 由利は自分の部屋の机に向かってさっきまで図書館で勉強していたことの復習をしていた。


 そうすることで記憶がより定着するのだ。


 ざっと全体に目を通し、出来なかった問題にもう一度挑戦する。


 そして、その中でも重要と思われる箇所を抜き出して紙に記し、また翌日にそれを含めた過去一週間分の紙を見返す。


 これは佐々木がやっている勉強法で、由利も真似てみると予想以上に効果があった。



 今日は有機化学の問題だ。


 化学というのは基本的に知識の問題が多くて、社会と同じようなものだ。


 本来は理論で全てが説明出来るらしいが、高校の学習範囲では無理なのだ。


 なので、歪んだ説明でまとめてしまっているものも多いというのが化学の先生の言い分だ。


 だから先生に聞いても、それは大学で化学を専攻しないと理解できないと言われてしまう。


 特に有機化学の範囲はそれが多くて、今日勉強したベンゼン環などがそれに当たる。


 ベンゼン環は正六角形らしいが、二重結合と単結合から出来ているならそれはありない。


 そこにこだわっていても仕方ないが、これは有名なことらしく受験問題にもなったことがあるらしい。


 だから知識として知っておくべきだそうだ。


 こういう知識を参考書片手にまとめていく。


 その作業を一通り終えて時計を見ると十一時を回っていた。


 今日はまだ早い方だった。


 遅い時は一時までかかることもある。


 せっかく早く終わったので、時間がなくて読めていない本を取り出してきた。


 こういう気分転換も受験勉強には大事なのだ。


 また小説を読むのは現代文の勉強も兼ねていて一石二鳥だった。



 ベッドに横になり、枕の上に本を広げた。


 いざ読もうと思ったが、ふと帰り道の佐々木との会話を思い出した。


 ウェンディとティンカーベルのことだ。


 恋のライバルか、と昼休みに高屋の会話に急に登場した小林のことを思い出した。


 お互いに全く面識はない。


 だけどもし、彼女と友達であったなら、どうなっていただろう。


 友達とまではいかなくても近くにいたとしたらどうだっただろう。


 自分はティンカーベルのように意固地なことをしてしまうのだろうか。


 ティンカーベルの気持ちも分かるのだが、逆にそんなことをするとマイナスにしかならない気もする。


 それをわきまえているからおそらくは自分はそんなことはしないはずだ。


 しかし、すぐに実際の状況と頭の中で描くことは全く違うということに思い至った。


 現実にはやっぱりティンカーベルのようになってしまうのだろうなと思った。


 いずれにしても空想の話だ。


 寝る前にネガティブになるようなことは考えないでおこう。


 そして、開かれたページにある文字に目を走らせた。


 そのまま物語の世界に吸い込まれていく。



 何ページか読み進めていくと、知らず知らずのうちにうとうとしていた。


 額が本にぶつかり、はっと目が覚めた。


 時計を見ると十二時を少し過ぎていた。


 一度大きく伸びをし、頭を軽くゆすった。


 うとうとしたままこの本を読むのはもったいない。


 それほど、この作家の本を読むのを楽しみにしていたのだ。


 また今度、時間がある時に続きを読もうと決めた。


 今日のところはもう寝ようと、部屋の電気を消して、布団をかぶった。


 ほんの数分で眠りに着いた。

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