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Page  作者: 時ノ宮怜
2頁-丘の漣-
13/16

浮かぶ人Ⅴ

 たった半刻。

 とは言え確かに過ぎ去った時間の分だけ、傾きを見せる太陽。

 それは真白に世界を照らし、世界に色どりを与えるものではすでに無くなっていた。

 世界を横から照らす太陽は、白ではなく赤に世界を染めていた。

 ただでさえ、灼熱の炎の中を歩いていると錯覚する気温をしているのに、視覚から入ってくる情報もそのほとんどが赤に染められては、気分だけでも爽やか...…とすらいかない。


 外に出るたびに想う。

 こればかりは本当に嫌になる。


「さて、話は聞けたし...…...…とりあえず、ゆき達に連絡かな」


 真っ赤に染まる街並み。

 しかし、太陽はすでにその半分を地平の彼方に埋めていた。

 それはつまり、もう外にいるのには適さない時間という事だ。

 元々、図書館に来た時点で日はだいぶ傾いていた。

 川村さんのおかげで思ったよりも速く用事を済ます事ができたとは言え、流石に夜に片足を入れるには十分な時間ではあった。


 そんな時間で、私としては一刻も早く家に帰りたいわけだけれど...…

 あの好奇心が第一になっていそうな友人と拾った迷子の二人を思うと、連絡ぐらいはいれといたほうがいいと理性が訴えかけてきた。


『こっちはいい感じだけど、そっちはどう?』


 文明の利器による、超光速の連絡を行う。

 こうしておけば、いくらゆきが好奇心だけで生きているとはいえいつかは見るだろう。

 たとえ、事前に連絡をしたとしても3割ぐらいしか出会うことが出来ないほど、文明の利器の存在価値のない子だとしても、連絡するのとしないのとじゃ大違いなのだから。


 とりあえず、折角図書館を出たというのにいつまでも図書館前にいるのもなんだか変な感じがするから動こう。

 とは言っても、目的地なんてないし...…...…理由もなくコンビニに行こうかな。


 コンビニ、それはあらゆるニーズに70点ぐらいで答える器用貧乏を極めたような店。

 田舎や、商店街の残る街ほどその需要は少なくなり、同時に周囲に一軒は無いと非常に不便と言える万能の店。

 そして、若者の集う場所であり、目的もなく目指す場所であり、無駄に時間を使うのにもってこいの場所。

 適当にスマホをいじりながら時間を潰していても怒られない場所。


 でも、こういう場所に何も買わずにずっといるのも気が引けてしまうのは、私だけじゃないはず。

 小心者なのかもしれないけれど、一般的日本人なら結構な割合がそう感じるんじゃないだろうか?

 ともかく、私は何も買わないのにこんな誰もいないコンビニの無駄に広い駐車場で、適当に過ごすメンタルを持っていないので、無駄遣いと分かってもアイスを買ってそれを齧る。


 齧りながらスマホを眺めているが、先ほど送ったメッセージに対する既読がいっこうに付かない。

 正直、さっさと帰りたいから早く何かの連絡が欲しい。


『ゆき?そっちはどう?』

『はやく帰りたいんだけど』

『帰っていい?』


 手持ち無沙汰という事もあって、メッセージを送った後の既読が着くかどうかの待ち時間はちょっとずつ短くなっていく。

 だんだん、コンビニの前で待つのも落ち着かなくなってきてそわそわと心が浮つく。

 当然、その心はポジティブなものではなくて、ただただ本当に居心地が悪くじっとしていられない。


 う~ん。

 既読が付かない。

 もう、電話してやろうかな。

 ...…...…。

 うん、そうしよう。それで出なかったら、もう帰ろう。

 そうと決まれば、電話をしよう。

 いっそ出なくていい。

 私はちゃんと、連絡したし、返さなかったゆきが悪い。

 確かにちょっとは心配だけど、ゆきももう子供じゃないし、クセイアもいるし、大丈夫でしょ。


 そう思って、ゆきへ電話をかけようとしたタイミングで、私のスマホにかかってくる着信。


「っわ!」


 余りにもタイミングが良すぎてビックリしてしまう。

 しかも、相手が今まさにかけようと思っていたゆきだ。


 なんだか、私の行動を視られていてタイミングを計られているのかと疑ってしまう。

 その心が無意識に周囲を見渡したが、周りは順調に暗くなる誰もいない駐車場で怪しい人影すらない。

 とりあえず、この電話に出ようか。


「もしも」

『もしもし!ちよ!?』


 電話に出ると思ったよりもだいぶ切羽詰まった様子の声がスマホから響いた。

 余りにも急で大きな声に驚いて、スマホを耳から離してしまう。


『あれ?もしもし!?もしも~し!?ちよ~?』

「急に大きな声を出さないでよ、耳が死ぬかと思った...…」

『それどころじゃないよ!ちよ!!大事件だよ!』


 どうやら、ゆきは思ったよりもだいぶ興奮しているようだ。

 まずは話を聞かない事には落ち着くことはなさそうな空気をひしひしと感じる。


「大事件って...…...…何があったの?」

『私とクセイアも…女の子を拾った!』

「はい?」

月一なのにこんなに短くてごめんなさい

もう12話過ぎてたんですね...…月一更新で12話!?

もう一年たったのか...…一年連載して、作中時間が1日もたってないのか...…

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