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第3話 裏切られたので転生者と旅に出ることにしました。

「お前バカだろ?あんなところでしゃがんで雨に当たってたら風邪ひいちゃうぞ」


 僕はあの後、カケルさんに捕まり病院まで連れてかれた。


 「すいません・・・」

 「本当だわ!俺がいなかったらお前今頃あそこで倒れて死んじゃってたかもしれねーぞ?」


 流石にそこまではいかないんじゃないかと思いながら僕は別のことについて思いを馳せていた。


 「ったく、いつまで落ち込んでんだよ。捨てられちまったんならしょーがねーだろ?」


 僕の心を読んだのか、カケルさんは頭をかきながら容赦のない言葉で一応慰めてくれた。と思う事にしといた。


 「そうなんですけどね。それにわかってはいたんですよ。僕が3人よりも弱くて足手纏いになっていたことわ。いつも何をしても迷惑ばかりかけていましたから。」


 「それでもやっぱり約束を果たすことができないのが悔しくて。」


 僕はいつも足を引っ張っていた。だからこそ僕なんかではなくもっと強い人を仲間にするのは当然のことだ。それでもやはり悔しいし納得することができなかった。


「ふーん。お前のその約束ってなんなんだ?」


 僕は彼女との約束を言うかどうか迷ったが、この人にはもうすでに2回助けてもらった恩もあったことから約束のことについて話した。

 カケルさんは僕の約束を笑うことも否定することもせず。ただ一言なるほどなと言うだけだった。


 「ならよ、ここでウジウジしてる暇はないな」


 その通りだ。3人に裏切られたからって約束が果たせないわけではない。しかし僕には王都に行くまでの実力はない。せいぜい道中でゴブリンにでも出会い襲われて死ぬだろう。今から仲間を集めると言ってもどれだけ時間がかかるかわからない。

 しかしそんな考えは次の言葉で意味をなさないこととなった。

 

 「俺がお前とパーティーを組んでやるよ。そしたら何の心配もせずに王都まだ行けんだろ?」

 「それによ、王都までの道でお前を強くしてやれることだってできるしな。」


 正直この人が仲間になってくれるのならこれ以上ないほどに心強いし頼りになる。魔物を一撃で倒す程の力を持つこの人であれば王都までの道のりにいるモンスターなんてスライムと同じだろう。

 ただこの人がまさか仲間になってくれるなんて思わなかった。

 ・・・いやそれは嘘になる。正直仲間になって欲しいとは思っていたしなってくれるんじゃないかと言う期待も持っていた。


 「え、えっといいんですか?」

 「かまわねーよ。どのみち俺も王都ってところに行こうと思ってたしな。それにせっかく異世界来たなら旅しないと損ってもんだろ?」

 「まぁ後お前もほっとけないしな」


 恐らくだが、僕のことよりこの世界を見ることが目的なんじゃないかなと思う。彼くらいになると僕みたいなのが1人や2人いてもそんな変わらないのだろう。


 「んじぁそうと決まればお前はとっとと傷を治せ!治して直ぐに出発するぞ!」


 子供のようにキラキラした目で僕に喋りかけながら彼は病室からで出ていった。


・・・恐らくではなく確実にこの世界を旅することが目的だ。と思わせる根拠を力強く目が語っていた。


――


カケルside


ユウと別れ病院を後にした俺はユウと初めて出会ったダンジョンに向かった。このダンジョンに来た理由は二つある。その一つ目はユウの事についてだ。ユウは自身の実力は低いと本人が言っていた。それについてはカケルも納得がいった。それはユウの姿をみたら直ぐにわかる。

 しかしならあいつは俺と会うまでの間に狼の魔物から誰の助けも得ず逃げ続けた事になる。ダンジョン内の床や壁には魔物の爪や噛み砕いた後が様々なところで確認できる。とてもじゃないがユウがこれほどの攻撃から逃げ切ったなんて考えられなかった。


 「逃げ上手の才能があったのか?いやどうだろな・・・ないな」


 そんなことをぶつぶつと口にしながら歩いている内に二つ目の目的である場所に辿り着いた。


 「なるほどなこれは確かに絶景だな」


 芸術的なセンスが皆無なカケルでさえ息を呑む事を忘れるくらいにそこは神秘的で芸術的であった。

 そしてそんな場所の床に描かれている物にカケルは目をやり手で触れた。


 「まぁそりゃそうか。魔力は感じねーか。ここに来れば俺が呼ばれた理由がわかるかもと思ったんだけどな」


 カケル自身魔力探知のような細かな作業は苦手であったがそれでも多少の魔力は感じ取れると思っていたがそもそもこの場所の魔法陣には魔力が全くなかった。

 創作話にはよくある縁もゆかりもない地に飛ばされたカケルだが本人は死んでもいないし、女神にあったなどもなかった。昼寝をして起きたらいつの間にかここにいたのだ。昼寝してる間に殺されたとも考えられるがたかがナイフや銃弾で殺されるほどやわじゃない。

 なら、何故ここに来たのかそれを知っておきたかったから手がかりを探すためにここまできた。


 「ふぅーまぁいいか。いつかわかるだろ」

 

 しかしないものは仕方ないと考えを切り替えた。

 本人はあくまで気楽にこの事について考えていた。彼がユウの人生を大きく動かすことなど知らないまま今は異世界を楽しむ事に決めた。




 

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