第36話 討伐作戦開始
馬車内
「ぼ、僕達のやった修行って本当に役に立つんでしょうか・・・」
「さぁ?知らね」
ゴブリン達の住処に馬車で向かっている僕達は現在、聖光の守護者の馬車に乗せてもらっていた。
「そ、それにアリサ傷はもう良いのかい?」
「うん。もう完全に治ってるよ。ユウこそ、大怪我したって聞いたけど大丈夫?」
「僕は全然大丈夫だよ!むしろ元気すぎて疲れるかれるくらいさ」
「それは良かった」
ユウとアリサが二人で仲睦まじく話をしている中、カケルとカイルは疎外感に苛まれていた。
「「はぁ〜何で俺の隣がおっさんなんだろうなぁ」」
「「不満なのかよ?」」
「てか俺はおっさんじゃねーよ」
「僕だってまだおじさんって年じゃないさ」
「カケルさん喧嘩辞めてくださいよ」
「カイル団長も訴えますよ」
四人でそんな会話を続けていると馬車が停車した。四人は作戦通りゴブリン達の住処近くに辿り着いたと考え馬車から出た。
「あそこが奴らの住処です。他のクランの人達もどうやら来たようですね」
ユウ達が振り返ると数台の馬車がユウ達の乗っていた馬車に続いて現れ、そこから何人かの人達が姿を現した。
「お、カケルやないか。やっぱお前は来たんやな!因みに俺達は白銀の狼に所属してたんやで?どや、驚いたか?」
「あーあ、めんどくさ」
「お前らクランに所属してたんだ」
カケルが白銀の狼に所属している転生者の二人と話をしている傍らでアリサの方では毒蛇の邪骨団の団長ゼフィルに突っ掛かれていた。
「よぉ?アリサァ」
「お久しぶりです。ゼフィルさん」
「俺とお前の仲じゃね〜か〜そんな他人行儀になんなよ」
「団長〜そんな女に構ってないでぇー私達の方の相手もしてよぉ〜」
毒蛇の邪骨団の団長ゼフィルが出て来た馬車から二人組の女性が今度は現れた。
「アリサなんてやっといてさ私達をもっと構ってよぉ〜」
「すまんなぁステイ、エウ、今回のぉ任務失敗をして王都を危機に陥れたぁ気持ちが知りたくてなぁ」
「「あぁーそれ私達も知りたーい。きゃははは」」
現れた二人はアリサを睨みながら挑発するかの様に笑っていた。
「相変わらずだね〜ゼフィル君のクランはさ」
「そうゆう貴殿も止めはしないのだな」
「やだなぁ今から止めようとしてたんだよぉ」
カイルは蒼炎の牙の団長アレスと横に並びながら話していた。その後ろにはアレスの蒼炎の牙のクランメンバーらしき三人が立っていた。
そしてユウこと僕は誰も知り合いがいない事から一人寂しく木陰でぼーと立っていた。
「お前達世間話はそこまでだ。敵の本拠地が近いのだぞ」
「・・・」
最後に降りて来たのは紅蓮の戦乙女団長のフェリオス・アルデシオンと狂戦の鬼刃団長ライガ・ディルドの二人とそれぞれのクランのメンバーが降りて来た。
「作戦をもう一度確認する。まずは他の場所の住処の入り口を塞ぐ、その後にここの入り口から我々がボスを叩く・・・が当初の作戦だったな」
そうあの会議の日、カケルさんと雷帝さん(名前は忘れた)が見つけたスパイによって相手に作戦が筒抜けだと知った僕らは新たな作戦を考えていた。
今までの作戦とはあまり変わってはいないが、僕達突入組はそれぞれに分かれて塞がった入り口から侵入することにしたのだ。
「理解したのならば直ぐに持ち場に着くぞ。転移魔法班!」
フェリオスさんの指示で僕達はそれぞれの場所に向かった。
転移後、直ぐに作戦は始まった。まず予定通り一箇所を除いた全ての場所を爆破して、それぞれの入口を塞いだ。
「ギギ・・・ギギ・・・テキキタ」
『よし作戦通りこちらにゴブリン達は集まって来ました!我々で迎撃を開始します!』
そして残した入口ならゴブリンが集まって来たらそこに待ち構えていたギルドのメンバー達でゴブリンの討伐に一斉にかかる。
クラン同士で足並みが揃わない事もあるだろうからある程度の配置場所を決めてもらい、それぞれのクランで役割も決めさせてもらった。
「作戦が開始したようですので、我々の魔法で皆さんをゴブリンの巣の方へ転移させます。ご武運を」
「あ、ありがとうございます」
そして僕らは次の作戦である、それぞれの塞がった入口から何らかの方法で住処に侵入し、ゴブリンの親玉を討伐するを開始した。
僕、カケルさん、なおっちさん、なっちゃんさん、そして白銀の狼の団長であるレオンさんのパーティーで侵入を開始した。
「お前ら、くれぐれも離れるんじゃねーぞ」
「は、はいよ、よろしくお願いしますれ、レオン団長!」
「なんやあいつ、えらい緊張してるな」
「そりゃ、緊張すんだろ」
「そうゆうカケルは全くしとらんやん」
「そりゃ潜り抜けた修羅場が違うんだよ」
「止まれお前ら、やっぱ何体かは残ってたようだな。とっとと突破して進むぞ」
二つに分かれた長い通路の先には何体かのゴブリンがこちらに向かって来ていた。
「直人!」
「ほいな!俺に任せとき、この魔眼があればどんな相手だろうと余裕のよっちゃんやで!」
そう言って前にでた直人の目が赤く光った。
すると突如、ゴブリン達とその周りの空間が捻じ曲がりゴブリン達が千切れ血しぶきがそこら中に飛び立った。
「ふふんどうや!俺の魔眼"空間歪曲"は!!!」
「なんかなっちゃんのスマホの方が便利そうだな」
「それは言わん約束やで」
「油断すんな!まだ来るぞ!」
レオンさんの言う通り奥からは更に多くのゴブリン達が現れた。
「まだそこそこい、まーたあいつかよ」
ゴブリン達の中にカケルがよく知ったローブの少女がそこにいた。
「今度こそ、今度こそ!お前を倒す!!」
「はぁー、悪りぃけどさ、もうお前に構ってやれる時間はないんだわ」
そう言ったカケルはローブの少女の目の前に一瞬で飛び、隙をつかれたローブの少女が一瞬の隙を見逃さず、そこに力強い一撃を与え殴り飛ばした。
「がっ!!?」
無防備なところに強力な一撃を喰らったローブの少女はゴブリン達の群れの方に飛ばされ意識を失った。
「ギギ・・・コイツ・・・ジャマ」
「ツカエ・・・ナイ・・・」
ローブの少女の下敷となっていたゴブリン達はローブの少女を乱暴に地面に投げて起き上がり、カケル達に向かっていった。
「・・・」
「か、カケルさん来ますよ!」
「え?・・・あ」
何かを考えていたカケルの目の前にはゴブリン達が棍棒を振り上げカケルを殴ろうとしていた。
しかしそのゴブリン達の棍棒はカケルには当たらず、逆にゴブリン達の脳天にほぼ同時に頭に矢が刺さりその場に倒れた。
「お、おおびっくりした」
「カケルさ無事ですか!?」
「え、ああ俺は無事だよ」
「お前ここが敵地って分かってるよな。ぼーとしてんじゃねーよ」
「あんたすげぇな。どうやったんだよ」
「どや凄いやろ。うちの団長は正面からの戦いは苦手やけど遠距離射撃と罠の作成に関しては全ギルド内トップの実力なんやで!」
「何でお前が誇ってんだよ。それに全ギルドは言い過ぎだ馬鹿」
「またまた〜、謙遜なさらんでええで」
「ねぇ、そんなどうでも良い話なんかしてないでとっとと進まない?こんな所とっとと出て行きたいし」
なっちゃんに言われた僕らは更に奥に進んでいこうとした時、カケルさんがローブの少女がいなくなっていたことに気がついた。
「あいつどこ行きやがったんだ・・・?」
「何してやがる置いてくぞ!!!」
「・・・やっぱおかしいよな。悪りぃ!俺別行動とるわ!直樹ユウは頼んだぜ!」
「直人やボケ!てちょ待てやどこ行くんや!」
そう言うとカケルはもう一つあった通路へと走っていき姿が見えなくなった。
「あんなアホ〜」
「まぁいいほっとけ。足並み揃えれねぇ奴なんざいた所で邪魔になる。それにあの実力だ、そう簡単にくたばんねーだろ」
そう言ったレオンさんに連れられ僕らは更に奥へと進んでいった。




