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第33話 ゴブリンに育てられた少女

 ギルド前広場


 王都中でゴブリンとの激しい攻防戦が繰り広げられている中、現在ギルド前の広場では人間同士が苛烈な争いを繰り広げていた。


 「うがぁぁぁぉ!」

 「うぉっと」

 「に、げ、るなぁぁぁぁぁ!」


 ローブの少女の地面をやすやすと破壊する一撃を後ろに飛び回避したカケルは、続け様にくる地面の破片から自分を守りながら地面に着地し、音速を超える速さで拳をローブの少女に放った。


 「ぐぅぅぅぅぅぅ!!?」

 「中々硬いじゃねーか」


 ローブの少女は斧で瞬時に拳を受け止めたが、その反動で後ろに飛ばされ屋台を壊しながら倒れ込んだ。


 「がはっ、まだまだぁぁぁ!」

 「待て待て!一旦落ち着いて話そうぜ?」

 「黙れぇぇぇぇ!!!」

 「は、話を聞けよ!!!おわっ!?」


 ローブの少女は傷を負おうが気にせず、カケルに果敢に向かっていった。


 「お前話ちゃんと聞けよ!」

 「黙れ!お前ら人間の話なんて聞くもんか!」

 「お前も人間じゃんって言ってんだろうが!!!」

 「私はゴブリンだぁぁぉぁ!そのふざけた口二度と聞かなくしてやる!!!斧技"パワーアックス"」


 そう叫ぶとローブの少女が持つ斧が光初め、カケルに向かって振りかぶった。振りかぶった斧からは斬撃が放たれた。


 「あっぶね!」

 「ま、だまだぁぁぁぁぁ!!!」

 「気をつけてくださいカケルさん!まだまだきます!」

 「おわ!?」


 ローブの少女は次々とカケル目掛けて斬撃を放ち続けていった。


 「ちょ、ちょっと待ってって!タンマタンマ!お前ゴブリンにも被害出てんぞ!」

 「うるさい!逃げるな卑怯者め!!!」

 「んなもん喰らったら、痛いだろうが!!!」


 周りを見ると、ローブの少女の斬撃によって次々と街は切り裂かれ破壊されていった。更にそれだけには留まらず、近くにいた人間やゴブリンにまでその被害は出ていた。


 「リリス!ユウを連れて逃げろ!こいつは俺が何とかぶっ倒すから!」

 「は、はい!カケルさんも気をつけて下さい!」


 リリスとリアーナはユウを連れてその場を離れた。残ったカケルは未だ止まない斬撃を紙一重で避けながらローブの少女に迫って行った。


 「うがぁぁぁぁぁぁ!」

 「くそっ!やめろって言ってんだろうが!!!」


 カケルは斬撃の嵐を避けながらローブの少女に近づき蹴りを繰り出した。


 「グッ!?が、がぁぁぉぁぁ!!!」

 「痛っっ!!?」


 しかし、ローブの少女もカケルに蹴られながらも斧によってカケルの腹部を斬りつけ両者は共に膝をついた。


 「ぐっ、ごほっごほっ、、」

 「っつ、痛ってぇ。くそっ!!しくじった」

 「ギギ・・・ヨク・・・ヨクヤタ」

 「ソイツ・・・ヤッカイ・・・ミナデコロス」


 カケルとローブの少女が戦っていた広場にはいつの間にか様々姿をした数多くのゴブリン達が集まりカケル達を囲んでいた。


 「ご、ごめん、な、さい。あ、いつ一人で、殺さなかった」

 「ギギ・・・キ・・・キズミセロ」

 「オマエ・・・ジュウブンヤッタ。アトハオレタチデヤル」

 「オマエ・・・サキカエテロ」

 「ま、まだわ、私もやれる!」

 「話してるところ悪いんだけどお前らいつからいやがった」


 広場以外のところを見ると未だ多くのゴブリン達が騎士達と戦っていた。


 「・・・お前らまさかずっと隠れてたのか?その子に戦わせてビビって物陰に隠れてたのか?」

 「ギギ・・・ソ・・・ソウダ・・・オ・・・オマエタオス・・・コイツガイタ・・・」

 「それでも下手したら死んでたかもしれないんだぞ?それにお前ら危なくなったらこの子助けたか?」


 カケルの問いに対して、ゴブリン達は顔を見合わせて答えた。


 「ア・・・アタリ・・マエ・・・ダ。ソウユウ・・・メイ・・・レイダ」

 (命令?どうゆう事だ?こいつらがあの子を仲間と思ってるのか?ゴブリンが?)

 「ソ・・・ソレヨリ・・・オマエ・・・ジブンノシンパイ・・・スル・・・スルベキ」


 そう一人のゴブリンが言うと全てのゴブリンが一斉に武器を構えてカケルに襲いかかった。


 「ギギ・・・シネ・・・」

 「舐めんなよ、てめーら程度なんざ小指で倒してやるよ!!!」


 カケルとゴブリン達が激戦を繰り広げようとした次の瞬間一筋の閃光がゴブリン達に向けて放たれた。


 「なんだぁ!?」

 「ギギ・・・ダレダ?」


 閃光が放たれた方をカケルとゴブリン達が見るとそこには二人組の男女が立っていた。


 「あちゃー!こりゃ酷い有様やわ!王国の騎士達は一体何してんねん」

 「ねーねー、そんなことよりさぁーこれどうよ、今度新発売のスイーツよくない?」

 「いやいや、今そんな状況じゃああらへんって、あのお兄さん助けたらんと」


 二人組の男女はそういうとゴブリン達と戦闘を開始し始めた。男性の方は剣を抜き素早い動きでゴブリン達の背後に立ち斬りつけ、女性の方はスマホを見ながらゴブリン達を見向きをせず立っていた。


 「おい!あぶねーぞ!」


 咄嗟にカケルが庇いゴブリンから守ったが、足元から謎の痛みがいきなりきて下を見てみると足をヒールで踏まれていた。


 「おいこら、何のつもりだ」

 「それ、こっちのセリフなんですけど?あんた邪魔しないでくれる?」

 「助けてやって、」

 「うっさいな、下がっててよ邪魔だから」


 そう言った女性のスマホがいきなり光を放ち、全てのゴブリンの頭上に矢が現れた。


 「ええー何それー」

 「さぁ?適当にインストールしただけだからわかんない。あ、ゴブリンさん達はバイバ〜イ」


 そういうと頭上にあった矢は一斉にゴブリン達に突き刺さり、全てのゴブリン達はその場で串刺しにされ絶命した。


 「ありゃりゃ、流石なっちゃん。俺の見せ場を全く作らせてくれんかったなー」

 「なおっちが遅すぎるだけっしょ」

 「お前ら何もんだ?」


 カケルは全てのゴブリンを一瞬にして片付けた二人の前に達素性を知るべく聞いた。


 「俺達?俺達はあそこのギルドに所属している冒険者や」

 「そうゆうあんたこそ、何者なのよ」

 「ん?俺?俺の名は・・・」


 カケルはその辺にあった石を拾い二人の間をすり抜けるように石を投げつけた。そして二人の後ろにいた巨大なゴブリンを倒した。


 「カケル。転移者だ!」

 「え、マジなん?俺達も転生者やで」

 「・・・マジ?」

 「「マジマジ」」


こうしてカケルはこの世界にきて初めて他の転生者に出会った。その時だった、串刺しにされたゴブリン達の所からローブの少女が這いつくばりながら現れた。


 「ぐっ!、み、皆んな、、くそっ!くそっ!」

 「ん?民間人やないか」

 「あーさっきチラッと見えたから助けといた」

 「いやあいつゴブリン側だぜ?」

 「「マジ?」」

 「マジマジ」

 

 カケルの以外なら言葉に二人の転生者は半信半疑だっが、ゴブリン達の亡骸を抱きしめながら泣いているのを見てそれが真実だと知り驚いた。


 「どうゆうことなんや」

 「ゴブリンの味方とかありえないし」

 「お前達は絶対に許さない!!!」


 怒りを露わにしながらローブの少女が斧を持ち飛びかかろうとした時だった。ピィーという音が王都中に響き渡った。


 「ぐっ!?撤退?なんで!?」

 「今のゴブリン側の合図かよ」


 音が響き終わった後、上空から次々と羽を生やしたゴブリン達が現れ王都中にいたゴブリン達を捕まえて空へ飛んでいった。そしてローブの少女もゴブリンに助けられ空へ上がって王都から全てのゴブリンがいきなり撤退していった。


 「・・・あーまぁ深追いはするもんじゃないか」

 「当たり前やろ、その傷でってさっきの傷は!?」

 「ん?そんなもんとっくの昔に治ってるよ」

 「何でやねん!重症やったろうが!」

 「俺は他の奴らと体の作りが違うんだよ」

 「な、なんやそれ・・・全然答えになっとらんやんけ!」


 そしてゴブリン達が撤退して数分後に王都の入り口前に人影が見え、カケルと転生者達は入り口前まで近づいていった。


 「・・・あれって?聖光の騎士団ちゃうか?」

 「おい、スマホ女・・・お前治療ってできるか?」

 「誰がスマホおんなってなんで?」


 カケルが言った意味がわからなかった二人はすぐにその意味を理解する事になった。王都へ戻ってきた聖光の守護者はたった7人であったのである。更には馬の背中にアリサが血だらけで意識を失いながら乗っていた。


 「す、すみません!急いでいるんでそこどいて下さい!」


 馬から飛び降りたリュカは急いでカケル達をどかし急いでギルドへ向かおうとして、王都の惨劇を目にした。


 「・・・な、何が起きて?どうゆう・・・」

 「落ち着けよ。よっ!久しぶり」

 「あ、あなたはアリサさんに負けた人!あ!それよりもアリサさんを助けて下さい!このままでは死んでしまいます!」

 「わかってる。おいスマホちゃんお願いできるか?」

 「誰がスマホちゃんよ!まぁできるからやるけど」


 そういうとアリサの治療を開始した。その間にカケルと関西弁の男性は何があったのかをリュカに聞くことにした。

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