第31話 ゴブリン襲撃
ギルド内に溢れていたゴブリン達が皆一斉にひれ伏した状態になる現状に一同が驚いていた。何故なのかそれはリアーナ姫がこの光景を作った本人ということだからだ。
「リ、リアーナ、ひ、姫が?」
「こ、これ、は、ひ、光ま、魔法の、天声」
天声とは光魔法の一種であり、光の魔力を纏った声を発し光魔法に耐性のないものがそれを聞くとその言葉に絶対服従してしまう魔法である。
「て、てゆうか、な、なん、で、ひ、姫様がこんな、と、ころに」
「ギ・・・ギギ・・・」
「さぁ、皆さん今の内にゴブリン達を一掃してください!これだけのゴブリンがギルド内に現れたということは王都中に恐らく溢れかえっているかもしれません!急いでください!」
「は、はい!!!」
リアーナの一声によって、皆が一斉にゴブリンを討伐しようと動き出したその時だった。
バキッベキベキベキという音と共にギルドの天井が剥がされた。その音に反応して皆が一斉に顔を上げ驚愕した。
「な、なん、だよ、あれ・・・」
「で、でかい・・・」
「そ、そんなこんなゴブリン見たことないですよ!?」
ユウ達が見上げた先にいたのは、通常のゴブリンよりも何十倍もデカいゴブリンがいた。
「ギギ・・・ミミ・・・ツ・・ツ・・・ツブセ」
「?、何を言ってんのかよくわかんねーが、でかいって事は的がでかいって事だ!行くぜ、一気にぶっ潰せ!」
「そ、そうだ!あいつの言う通りだ!俺たちだって今までこんくらいのでかいのとはやってきただろ!」
「そ、そうだ。何ビビってたんだ俺たちは」
「みんなぁ!こんなのにビビんなよ!一気にやっちまおうぜ!」
皆が驚愕している中、一人の冒険者が声を上げ仲間達を鼓舞し、一斉に巨大なゴブリンに飛びかかった。
「ギギ・・・ヤ・・・レ」
「ギギィーーー!!!」
「な!?う、後ろに隠れていやがッごふ!?」
「そ、そガはぁッ!」
「な、何だこいつら、つ、つぇぇギャッ」
巨大なゴブリンの一言と共に背後から現れた両手に槍と盾を持ち、何かわからないモンスターの骨を兜にしたゴブリンが現れ次々と冒険者達は返り討ちに会い、床にその死骸が転がった。
「くっ、これ以上は死なせません!平伏しなさい!」
先ほどと同じく、天声の魔力によって動きを封じようとリアーナはしたが、骨の兜をつけたゴブリン達は止まらなかった。
「そ、そんな!?何故天声が!?」
「リアーナ姫危ない!!!」
「ギガッ!!!」
「くっ!!」
間一髪リアーナ姫を助けたユウはそのままリリスがいるところまでリアーナを連れて行き物陰に三人で隠れた。
「ユウさん!無事ですか?」
「いててっ・・・な、何とか僕は腕にかすっただけです。それよりもリアーナ姫はご無事ですか?」
「わ、私は何とかこの通り無事です。ユウさんありがとうございます」
「い、いえ、そんな、僕なんて全然・・・いてて」
「傷口を見せてください。気休め程度にしかならないと思いますが回復魔法かけときます」
「あ、ありがとうございます」
そういうと、リリスはユウの袖を捲り腕の傷を回復魔法によって癒した。
「それにしても何故私の天声が聞かなかったのでしょうか」
「そ、それは多分耳です」
「え?耳?兜をかぶっていたからって事?」
「いえ、た、多分な、なんですけど、鼓膜を潰したんです」
「そ、そんな!?それで天声が効かなかったと言うのですか?」
「はい、あくまで僕の仮説なんですが、リアーナ姫の天声はあくまで発する言葉で相手を縛るものだと思うんです」
「つまり、ユウさんは声が聞こえない相手にはその効力がないと言いたいんですね?」
「はい、現にあのでかいゴブリンには聞いていませんでしたし」
「最初はその魔法は一定範囲の存在で、自分の敵となる存在にのみ発動すると思ったんですけど、それだったら外にいたあいつにも効かないとおかしいから、声なのかなって」
「な、なるほど、そうだったのですね・・・」
(この方・・・)
リアーナは自身の魔法がそうゆうものだったと言うことよりもそれを知ることが出来たのがユウによってだったと言うことに驚いていた。
「これからどうしますか?」
「え、あ、まずは外に出るべきかと私達がこのままいても、皆さんの足手纏いになるだけなので逃げるべきかと」
リリスの問いかけによってリアーナは我に帰り、まずは現場を考え、状況把握も兼ねて外に出るのが先決だと考えた。
周りでは未だに戦闘が繰り広げられていた。ギルド所属の冒険者達も流石の実力でゴブリン達を押し返していた。
「ここで、私達が捕まったりすればそれこそ、こちら側の負けになります。ならば外に出て王城の騎士達に助けてもらう方がいいと思います」
「皆さんを置いて逃げるのは忍びないですが、今はそれしかないですね。ユウさんもその傷では戦えませんから私たちと来てください」
「は、はい・・・」
そうして、ユウ達はゴブリン達の隙を縫って外に出ることに成功した。しかし、外はギルド内以上にゴブリン達がおり、街の住民は皆逃げ惑っていた。しかしユウ達はそれよりもゴブリン達が街を襲うさながら女性を謎の魔具によって捕らえていたことに驚いた。
「あ、あれってどうゆう事ですか?ご、ゴブリン達が使用してるあれって、ま、魔具ですよね?な、何であいつらがあんなの持ってるんですか?」
「わ、わかりません・・・それにあんな魔具見たことも聞いたこともありませんよ」
「彼等の狙いは女性ということでしょうか、」
ゴブリン達は小さな子から年老いた女性まで、手に持った円状の魔具を押し当てて、その魔具に捕らえていた。更にゴブリン達も先ほどのように通常とは変わったゴブリンが多くおり、騎士のような格好をしたゴブリンやスライム上のゴブリン、魔法使いのような格好をしたゴブリンまで様々なゴブリンが街を襲っていた。
「先ほどの大きな奴と骨を被った奴もそうですが、今までに見たことがない個体が多くいますね」
「?、どうゆうことですか?」
「わ、わかりません」
その時だった、先ほどまでギルド内を天井から眺めていた、巨大なゴブリンがユウ達に気がついたようで叫びながら襲いかかってきた。
「リリスさん!リアーナ姫!危ない!」
ユウはすぐさま、リリスとリアーナを助ける為に動いたが、巨大ゴブリンはリリスとリアーナを狙うことなくユウを思いっきり殴り飛ばした。
「がはっ!!」
「「ユウさん!!!」
無防備なところに巨大な一撃を喰らってしまったユウは立つ事が出来ず近づいてくる足音を聴きながら、意識を朦朧とさせながらカケルとマナの事について考えていた。
(カ、カケルさん達は無事だろうか・・・マナさんもれ、連絡とれない、し・・・)
先程の巨大なゴブリンがとどめを刺そうと立ち上がらないユウを持ち上げ、握りつぶそうとしていた。
「くっ!止まりなさい!やめなさい!ダメ、あいつも耳を潰していて、私の天声が通じない!?」
「ユウさん!」
(ご、めんなさい、リリスさん・・・リアーナ姫・・・な、何とか、逃げ、)
ユウは目を瞑り死を覚悟した。しかしユウはいつまで経っても握りつぶされることがなかった。
疑問に思った、ユウが目を開けるとそこにはいつも自分がピンチの時に助けに来てくれるあの男がいた。
「よぉユウ。今回もまた随分酷い格好してんな」
「カ、カケ、ル、さんこそ、た、助けるの、おそ、いで、ですよ・・・」
カケルを見て安心したのかユウの意識はそこで途切れた。
「よくやったな、後は任せな」
そして、カケルは巨大なゴブリンと対峙した。




