第30話 王都に蠢く不穏
とある森
ユウとリアーナが共に王都を回っている頃、アリサ率いる聖光の守護者はリアーナからの情報の元、ゴブリンの住処があるとされる王都から少し離れた森まで来ていた。
「ここがゴブリンの住処・・・」
「あーあ、聖光の守護者に入団して初めての任務がゴブリン退治なんてなぁー」
「文句を言う物ではない。ゴブリンは狡猾で油断ならぬ相手だ。いくらお前が天才と言っても油断したら簡単に殺されるぞ」
「わかってるんですけど、やっぱりなんかもうちょっとそれこそドラゴンとかの討伐とかがよかったですよ。紫雲さんだってわかるでしょ?」
アリサと共に先頭に立ち皆を率いているのは、つい先日ユウと戦った少年であるリュカとそのリュカに紫雲と呼ばれた背が高く、紫色の髪に東洋の袴を着こなす女性であった。
「まったく・・・それよりアリサ、他の者達も既に他の住処に到着したのか?」
「えぇ、今連絡が入ってみんな到着したそうよ」
「よし。ならば速攻で奴らを叩くぞ」
「ええ、もちろん。みんなこれからゴブリンの討伐を行うけど、決して油断しないで」
「「「は!」」」
そうして洞窟の中に入り、アリサ達はゴブリン達の討伐を開始した。しかし、洞窟内ではゴブリン達の姿は一切なくもぬけのからだった。
「・・・どうなっているの?」
「ここがそもそも住処じゃないってことじゃないですか?」
「姫に虚偽の情報をつかまされたと言うことか?」
「そうゆうことですよ。流石ムラサメさん!」
「姫が何故そんなことを我々にやるんだ」
「さぁ?」
「憶測でそんな事を話するな!」
「えーでもだってー」
二人が言い合いをし始め、それを他の人達が止めている時、アリサは考えていた。
(どうなっているの?リアーナ姫がそんな事をするはずがない。じゃあリアーナ姫も誰かに騙された?まさか城に裏切り者がいる?)
他の部隊の方にも連絡を入れたが全てもぬけのからとなっていた。表な胸騒ぎを覚えたアリサは洞窟を出て王都に帰還しようと声を上げようとした時だった。
ドガァン!と言う音と共に洞窟が大きく揺れた。
「何事だ!」
「すぐに状況確認をお願い!」
「い、入り口が!」
「どうした!?」
「入り口が崩れ閉じ込められました!」
「え、うそ!?」
アリサ達が急いで入り口付近にまで戻ると先程までそこにあった大きな入り口は岩が崩れ塞がれた状態になっていた。
「バカな・・・」
「アリサさん、どうしましょ〜」
「外にいる部隊に連絡はつく?」
「は、はい!今繋げます!」
『アリサさん!?ご無事でしたか!』
『ええ、こっちは無事です。そちらの被害状況は?』
『こちらも無事です。ですが何故いきなり入り口が・・・』
『その事については我々で調べます。あなた達は急いで王都にまで戻ってください!妙な胸騒ぎがします!』
『し、しかし・・・』
『この程度なら私たちで何とかなります。急いでください!』
『は、は!お気をつけて!』
そうして外にいた兵達が王都へ帰還する準備を整わせ行ったのを気配で感じた後、アリサも急いでここから出るための準備をするのであった。
――
ギルド内
「ちょっと、ちょっと、どうゆう事ですか!?」
「え、えーとな、何のことですか?」
ユウは現在、リアーナの願いを聞きギルドの元へ訪れていた。そしてリアーナは隠していても隠し切れないほどのその類稀なる美貌によって、ギルド内の男性陣の視線を全て集めていた。
「とぼけないでくださいユウさん!あの人どう見てもリアーナ姫でしょ!!?」
「え、えーとそ、そんなはず、ないじゃないですかぁ〜」
「ユ・ウ・さ・ん〜!」
「え、えーと・・・ご、ごめんなさい!!!じ、実は・・・」
ユウはリリスの問い詰めに観念して、事情を話す事にした。リリスは長いため息と共に呆れた声でユウに問いかけた。
「ユウさん・・・貴方という人は本当に何をしているのかわかっているのですか!?」
「も、勿論わかっていますよ。で、でも断ることもで、出来なくて・・・だって姫様なんですよ!断れますか!?」
「ま、まぁそれは断ることは難しいかも知れませんが、よりにもよって何故ここギルド何かに連れてきたのですか!」
「な、何かなって言われても・・・来たいって言い出したんですもん」
ユウとリリスさんが困ってる中、リアーナは何も知る事なくギルド内の飲食を食べていた。
「これは中々いけますね!」
「はぁ…とにかく何とかしてここからは出てもらいましょう。ユウさん任せましたよ」
「うぅ…マナさんもカケルさんも連絡取れないし、今日は最悪の日だぁ…」
その時だった。外の方が妙に騒がしくなっているのにユウが気がついた。
「何だか外騒がしくないですか?」
「確かに、何かあったのでしょうか?」
「た、大変だぁー!!!そ、外に外にあ、あいつらがたいりょ、ぐぁ?!」
「!?」
こちらへ伝えにきた男を殺した突如として棍棒によって、頭を叩きつぶされ死んだ。そしてそこにいたのは人類にとって最大の脅威である存在であるゴブリンが大量にいた。
「な!?何でゴブリンがこんなにいるんだよ!?」
「お、おい!急いで武器を待って戦え!」
「ギ・・・ギギ・・・コ・・・コロ・・・セ」
「ギギ!」
迫り来るゴブリンを討伐するために、冒険者達は武器を持ちいてギルド内では戦いが始まった。
「り、リリスさん!急いでこちらへ来てください!早く!」
「い、いえ。私よりもリアーナ姫を優先してください!きゃっ!」
「ギギ・・・オ・オンナ・・・ト・トラエル」
「リリスさん!!!」
リリスの目の前に現れたゴブリンがリリスを捕えようとしたその時だった。
「全員止まりなさい!」
その一言によって、ギルド内にいる全員の動きが止まった。その声は美しく力強くギルド内を覆い尽くした。
「こ、これ、は?」
「ギ・・・ギギ・・・?」
「これ以上、この王都でこのような蛮行を行うのであるのならば!この私、フェルセリス王家第2王女であるリアーナ・フェルセリスが貴方たちを許しません!!!」
ギルド内全ての生物の動きが止まっている中、ただ一人、動きながら歩いていた。今日一日ユウが護衛をしていたリアーナであった。




