第28話 vsアリサ2
結局いつも通りの23時過ぎになってしまいました。ごめんなさい
「あんたがその姿をユウに見せたくなかったのは、そうゆう顔をしちまうからか?」
「え、」
カケルの指摘によって初めて自分が笑っていたことに気がついたアリサは、すぐに笑みを消して剣を構えた。
「まだやんのか、さっきのでもう決着はついただろ?・・・?」
決着はついた。そう言ったカケルは立ち上がったアリサを見て首を傾げた。アリサは着ていた鎧をカケルの蹴りによって砕け散っていたが、腹部には傷一つなかった。鎧のおかげで内部へのダメージが最小限に済んだと考えていたカケルだが、先ほど血を流しているのを見ていたカケルは不思議に思っていた。
「傷が治ったのか?」
「ええ。この姿の私は吸血鬼の力を得ることができる。傷が治るのもその内の一つ」
「なるほどな、洞窟の時の話をユウから後から聞いたけど、その力があったから傷が治ったのか」
「・・・ユウから何を聞いたの?」
「明らかに深手あってたのにいつの間にか治ってたって聞いたぜ?本人はマナのおかげって言ってたけどな」
「・・・そう」
アリサは安堵したのか先ほどから感じる殺気が一瞬和らいだのをカケルは感じ取った。しかしアリサはすぐに
アリサは先ほどとは違い洞窟で狼型の魔物を仕留めた時の様にカケルの周りを高速で移動し始めた。
「本当に速いな」
「速いだけじゃない。混成魔法"泥濘の領域"」
アリサがそう唱えるとカケルの足元が沼地に変わり、カケルは反応が遅れ沼地に足を取られ身動きができない状態に陥ってしまった。
「おわっ沼か!?」
「まだまだ!束縛する鎖」
さらに束縛する鎖を唱えカケルの上半身を鎖で捕らえ完全に動きを封じた。しかしアリサは油断をすることなく慎重にカケルの出方を伺っていた。
(魔物を一撃で倒したこの人なら恐らくこれくらい簡単に破壊することができる・・・問題はそんなあの人を私がどうやって攻略するかだ)
アリサの予測通り、カケルは束縛する鎖を引きちぎり、地面を殴り、クレーターを作りながら沼から脱出をした。更にその衝撃によって一瞬怯んだアリサの隙をのがさず、アリサの懐に近づき剛腕を振るった。
「しまっ!」
「速さにはそこそこ自信があるからな!」
「くっ!」
カケルの拳を辛うじて剣で受け止め、続く攻撃もギリギリで捌きながらアリサは突破口をから開こうと思考していた。
(この姿じゃなかったら腕が簡単に吹き飛んでたかもしれない。でもこのままじゃあいずれ押し切られる何とかしないと!)
カケルとこの闘技場で手合わせをして、明確な弱点があることはアリサは見抜いていた。しかしその弱点をつける事すら困難な程の威力と速さで拳を振るうカケルに防戦一方になるしかなかった。
「オラァ!」
「っあ、あ!?」
遂には押し切られ再び壁に激突したアリサは鈍い痛みに耐えながらも再び剣をとりカケルに向かいあった。
(やっぱり強い、多分私が今まで相手してきタどんな存在よりも強い。今ノ私じゃあこの力を最大限に引き出シたとしても恐らく勝つことはできなイかもしれなイ。けれど・・・モット、戦いたい)
アリサは今心から幸福感に満たされていた。勝ち目のない敵であり、自分と同じ人間である彼と戦っている。しかも彼はまだ本来の力の半分も出していないだろうとアリサは感じていた。
同じ人間がこれほどまでの力を手にした。それはアリサにとってこれ以上ないほどの喜ばしい事だった。自分もいつか辿り着ける強さを持った存在、そんな人と戦えている。
アア、タノシイ。ふつふつと湧き上がる何かにアリサは疑問を抱く事すらせずカケルに飛びかかろうとした。
「ふぅ、よしまいった!」
「・・・は?」
その時だった。唐突なカケルの敗北宣言にアリサは唖然とした。それもそのはず、あのまま戦い続けていたらどちらが勝ったかなんて明確だった。それなのに自分から負けを認めたカケルはそのまま観覧席の方に上がりユウ達を呼びに行こうとしていた。
「ま、まって!」
「ん?」
「何で、あのまま戦えばあなたは確実に勝っていたのになんで!?」
「んー、、、まぁ一番はよく考えたら、ユウにはやっぱ荷が重いだろうなって思ったことかな」
先程まであった気迫が感じ取れず、逆に穏やかな声色で答えたカケルに毒気を抜かれアリサはその場に座り込んでしまった。
「疲れてんだろ、そこで待ってろよ。俺はユウ達連れてくるから」
そう言って闘技場の扉を開けてカケルは出て行った。一人残されたアリサは吸血化を解除し、しばらく心を落ち着かせることにした。
――
廊下に出てユウ達を呼びに行く途中、カケルはアリサのあの姿について考えていた。
(あのまま行けば、多分やばかったな)
カケルが途中で辞めたのにはもう一つ理由があった。アリサの使った吸血化の危険性に気がついた為だった。
(多分元来の性格から来てるところもあるっぽいが、ありゃ力に呑まれかけてるな。もしくは、変にあの力との相性がいいから暴走しかけてるからだな)
アリサ自身気がついていなかった事だが、アリサは途中からカケルとの戦いの最中、ずっと歪な笑みを溢していた。
「あ!カケルさん!」
「ん?ユウ?」
考えながら廊下を歩いていると目の前に見知った顔を見つけた。
「どうだったんですか?」
「あぁー負けたよ」
「え!?ま、負けたんですか?カケルさんが?」
「正確には棄権したんだけどな。とりあえず他の奴ら呼んで闘技場集めてくれよ」
「え、あ!は、はい!すぐ呼んできます!」
その後、闘技場に集まったユウ達はカケルとアリサの戦いの結果を聞き試合は聖光の守護者の勝利で幕を閉じた。
「まぁ確かに僕にはまだ速いかもしれませんね」
「だろ?」
「珍しく頭回ってるじゃない」
「成程、そうゆう理由での棄権という事でしたか・・・では、今回はユウさん達ではなくアリサさん達に依頼するとします。ですがせっかくですからユウさん達には別の依頼の方してもよろしいですか?」
「え、は、はい。僕たちは全然いいんですけど」
「ありがとうございます!では少しこちらに」
リアーナ姫に言われるがまま少し端に寄ったユウ達は姫様からある提案を出された。
「え、ええー!?」
「ふふっ。よろしくお願いしますね」




