第27話 vsアリサ
28話も今日中に出ますのでお待ちください
始まりと同時に動き出した二人は、カケルは拳でアリサは剣でそれぞれ攻撃を加えた。しかし二人ともその攻撃をカケルさんは受け止め、アリサはいなして回避していた。
「まさか、ユウの幼馴染と戦う羽目になるとはなぁ!」
「私は最初から貴方と戦うつもりだったから以外でも何でもない」
「へぇ、驚いたな。てっきりユウと戦いたいんだとばかり思ってたぜ?」
「確かにユウとも戦いたかった。けれども貴方の実力を知っているのは仲間内で私しかいなかった。だから私は貴方と戦うことにした」
「なるほどな!!」
「ッ!」
カケルは力技でアリサの両足をはらいのけ、アリサはたまらず地面に倒れ込んでしまった。カケルはすかさず倒れ込んだアリサに向かって拳を振り落とした。
しかしアリサは直前で回避し、カケルから一旦距離を置いた。
「おぉ、驚いたな今ので決まったと思ったのに」
「・・・あまり舐めないでもらいたい」
「別に舐めてないよ。あんたの実力が高いことは目見りゃわかるしな」
「それでまだ続けるかい?その足しばらくは痺れとれないだろ?」
カケルが指摘した通りだった。先ほどはらいのけられた両足は未だ痺れており、まともに動かすことができるまでには後数分はかかる状態だった。
「まぁ、その状態でもまだやるって言うんだったら容赦はしねーよ?」
「構わない。私もそのつもり、霧よ・霧散せよ!"ローラル・ミスト"」
アリサがそう唱えると闘技場が霧に包まれ、カケルとアリサの姿は見えなくなった。
「おぉ、何も見えねぇな。でも動けないのに使う意味あるのか?」
「意味のないことはしない」
「!?」
カケルの問いへの答えは、カケルの後ろから聞こえてきた。カケルが振り返るとそこには、先ほどとは違い白い髪と赤い目をしたアリサが立っていた。
「・・・えーと、イメチェン?」
「"吸血化"」
そう答えたアリサは先程よりも早くカケルに近づいてきた。
「これで終わり、"閃光連斬"」
「なんだ!?」
そう言うとアリサが持っていた剣が光り輝きだした。目を開けることが困難なほどの光にカケルは目を閉じてしまった。
アリサはその隙を逃さず、光り輝く剣によってカケルに斬りかかった。
「ッて!痛って、痛いってクソが!」
「無駄!」
殴りかかるもその拳をいなされ、隙を与えないほどの剣技でカケルを斬りつけていくアリサだったが、突然アリサは追撃の手を止め吸血化も解きその場で立ち止まった。
「ん?」
不思議に思ったカケルは、あたりを見渡したて霧が晴れて、ユウ達の姿が見えるようになったことに気がついた。
「あ!やっと見えてきましたよ」
「あいつ結構追い詰められてるじゃない」
「アリサせんぱーい!頑張れ!」
「お二人とも流石ですね。お互い一歩も引かない勝負になってそうですね」
カケルはユウ達の言葉をよそにアリサについて考えていた。
「・・・うーん?んー?」
「なんですか?」
「いやな、あんたの事について考えてたんだよ」
「どうゆう、」
「何で、さっきの白い髪の奴解いたんだよ」
カケルの質問にアリサは微かだが、動揺を隠した反応を見せた。
「あのまま行けばあんたが勝ったかも知れないだろ?なのにあれを解いた。それがよく分からなくてな」
「あなたには関係ない」
「そうもいかねーよ。あんた、なんたらのなんたらってところの偉い人なんだろ?今この状況がもし実戦だったら、あんたのしてる事は仲間をひっぱる立場の人間としては失格なんじゃないのか?」
「ッ、何も知らないくせに!」
「何も聞いてないもん知るわけないだろ?」
そう確かにカケルは何も知らない。しかし、カケルは元の世界で多くの敵と対峙してきた。その中で多くの人間と出会ってきたカケルはアリサの心の奥底に巣食う歪さを直感で感じ取っていた。
アリサは一旦冷静になり再び剣を構えた。
「あなたが言う通り、もしこれが実戦なら敵と問答をするなんてこともあり得ないことです」
「なら、幼馴染に見られたくないからって手を抜くのもあり得ないことだよな」
「ッ!?」
「あ、当たってたんだ」
カケルの思わぬ発言によってアリサは先ほどとは違いまで見てわかるほどの動揺をあらわにしていた。
「そこまで見られたくない姿なんだなアレ」
「あなたには関係ないことです」
「ふーん・・・おい!ユウとその他共!」
突如、カケルは大きな声を上げ、戦いを見ている人達に呼びかけた。
「悪いんだけど、今からもう少しハデにやろうと思ってるんだ。だからこの闘技場から出てってくれねーか!」
「え、ど、どうゆうことですかー!」
「言ったままの意味だよ!いいからでてけ!」
「あなた、何のつもり・・・?」
「別にただ手抜かれて負けて、その後ぐだぐだ言われたくないから出てってもらうだけだ」
「カケルさん、どう言う事なのですか?いきなり出ていけとは」
「言ったそのままの意味だよ」
「それでは説明になっていません」
「ったく、めんどくせぇな」
少しの問答があった後、カケルに言われた通りユウ達は渋々闘技場を出ることにした。
「あーあ、カケルさんとアリサの試合見たかったのになぁー」
「仕方ないでしょ。何か副団長の人と話してたから何かしら理由があるんでしょ」
「まぁ観られないのは残念ですが、終わったら呼ぶと言っていましたので、とりあえず別室でお茶でも飲みながら気長に待ちましょう」
そう言ってリアーナに連れられてユウ達は別室でお茶をするために闘技場を後にした。
「さて、これで邪魔はいなくなったな、ほらさっきの奴使っていいぜ?」
「・・・何故わざわざ」
「さっきも言っただろ?このまま負けても消化不良になりそうだしな」
「わかりました。本気で行きます」
そう言ってアリサは再び吸血化し、カケルに向かって走りだした。
カケルも向かってくるアリサに向かって闘技場の地面に落ちていた石を拾い投げつけた。凄まじい速さでくる石をアリサは剣で斬りつけたり、避けたりしながらカケルに迫っていった。
「"閃光連斬"!」
再びアリサの持つ剣が光り輝き始めた。しかし先ほどの刀身だけを輝かせていたのとは違い、今度は闘技場中を光に包む程の光を発していた。
「もらった!」
光り輝く闘技場を進んで、カケルにアリサは剣を振り落とした。しかし、その剣はカケルには当たる事なく地面に振り落とされていた。アリサは急いで周囲を見渡すと剣が振り落とされたすぐ横にカケルは立っていた。
「な!?」
「そう何度も喰らうほど馬鹿じゃねーよ」
そう言うとカケルはアリサの腹部を蹴り飛ばした。隙をつかれたアリサはカケルの蹴りをモロに食らってしまい血を吐きながら闘技場の壁まで吹き飛ばした。
「っ・・・、あ、ぅ」
「俺の勝ちだな。あの光やつは厄介だったがタネが分かれば簡単だ。光った瞬間にあんたは走り相手を斬りつける。想像以上に力技な剣技だったな」
闘技場の壁まで吹き飛ばされたアリサは腹部を抑えながら言葉にならない痛みを堪えていた。カケルはこれ以上戦うことはアリサには出来ないだろうと判断し、アリサを抱えるために近寄った。しかし、カケルは次の瞬間に見た姿にその足を止めた。
「なるほどな、ユウに見せたくなかったのはそうゆうことか」
カケルが見たのは、血を吐きながらも立ち上がったアリサの姿だった。勿論、自分の蹴りをモロに喰らって立ち上がったアリサには驚いた。しかしカケルが足を止めた理由はそれではなかった。
笑っていたのだ
自分の蹴りをモロにくらってもアリサは確かに笑みを浮かべ頬を赤らめていた。どこか14歳とは思えない妖艶な笑みをこぼしていたアリサを見てカケルは自分の直感が正しかったこと、ユウに見せたくなかった理由を理解したカケルは顔を天井に上げため息をついた。
「ったく、ユウこれは結構やばいタイプだぜ?」
カケルは今この場にいない少年に向かってそう呟いた。




