第25話 王女様からの依頼
リアーナ姫は後日迎えに行くことをユウ達に伝えお城に帰って行った。リアーナ姫からユウ達が聞いた依頼内容はこうだった。
「え?ゴブリン退治ですか?」
「はい、ゴブリン退治です」
「そ、それはまた何で?」
「最近、王都周辺でゴブリンの被害が多発していて、業者や出稼ぎに来た人、ギルド入団希望だった人まで例外なく襲われて拐われているんです」
「王女様がわざわざこんな所まで来てお願いするほどなのか?てゆうかそれこそあんたの所の王宮直属騎士団の奴らに任せたらいいんじゃないのか?」
「王宮直属騎士団の方はあくまで城を守ることと、私達の護衛が主な役割なので、こう言った事は頼むことができないのですよ」
「なるほど、でも何で王女様がわざわざ来て、しかもこの二人に頼むわけ?」
当然の疑問だなとユウとカケルは考えた。そもそも一回ゴブリンから助けただけの関係なだけで、何か特別な事はなかった。それなのに何故、自分たちに直接依頼しに来たのか分からなかった。
「確かに当然の疑問ですね。私がここに直接来たのは、この事態を軽く見てないからです。近年、ゴブリンが何故こうも活発に活動しているのか、私は上位種の存在が関係していると考えています」
「じょ、上位種って」
上位種と言うワードを聞いた、ギルド内の冒険者達が一斉にザワつき初めた。
「まさか王都の近くにまで来てるってことですか!?」
「何でこうも問題が頻発して起こるのよ・・・」
ギルドにいた人達が不安な声を上げる中で一人だけ、この状況についていけてない男が声を上げた。
「上位種って何?」
その一言にギルド中の人間達が一斉にカケルの方を向いた。
「あ、あんた・・・上位種のことまさかしらないの!?」
「しらねぇな、聞いた事もない」
「僕もそう言えば、カケルさんに説明してなかったです」
「はぁ〜」
マナが頭を抱え、リアーナ姫はくすくすと笑っていた。
「いい?上位種ってのは、この世界において魔物を差し置いて最も危険な存在と言われている者たちのことよ!出会ったら最後、生きて帰る事はできないとまで言われてるわ」
「そんな強いのか」
「強いってもんじゃないわよ。チートよチート、情報が無さすぎるって事もあるんだけど、上位種相手が討伐されたっていう情報は初めて確認されてから今日まで一切ないほどよ」
「へぇ・・・おもしれぇじゃん。そんな奴がここら辺に来てるってことか?」
「はい、その通りです。話を戻しますと今回この付近に現れる可能性が高いと私が考えている存在は皆さんお気づきかと思いますが、上位種の一人"キングゴブリン"です」
「・・・ゴブリンが上位種なのか?あれが?」
カケルは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしながら拍子抜けしたかのように近くの椅子に座って呆れ果てていた。
「この世界はゴブリンにすら勝てないのかよ。何?この世界のゴブリンってアレか?あのゴブリン達並みか?呼んじゃう?ゴブリン特攻の人」
「それが何なのかちょっと分かりませんが、ゴブリンは通常個体でも非常に悪知恵が働いていて、それこそ歴戦の戦士でさえ、たった一匹のゴブリンに一瞬の隙をつかれて殺される事例が多発しています」
「ユウ勝てないじゃん」
「うっ、た、確かにこの前勝てませんでしたけど・・・」
「だからゴブリンはギルド内でもBランク以上の人しか依頼受けれない事になってるのよ」
「マジか、あそこにめちゃくちゃ討伐依頼きてるぜ?」
カケルさんが指差した僕達がいつも受ける依頼を確認するクエスト掲示板には多数のゴブリン討伐依頼が来ていた。
「この世界で最も多い個体が人間と言われていて、その次に多いのがゴブリンなのよ。あいつらの繁殖性異常だから討伐してもしてもきりないのよ」
「女王様、そろそろお時間の方が・・・」
「え、もうそんな時間なのですか、申し訳ございません。ユウさん達、もう少しお話しをしたかったのですが、この後用事があるので、また明日お城の方へ来てくださる事は可能でしょうか」
「え!?お、お城ですか!?」
「成り上がりぃ」
「ど、ドレス買わないと!」
「では、明日またこの時間くらいに迎えをよこしまふので今日は失礼いたします」
そう言うとリアーナ姫は護衛の騎士と共に馬車に乗りお城へ帰って行った。僕達は言いたい事が山程あったのだが、とりあえずは明日着ていく服を急いで買いに行く事にした。
「いつもの服でよくね?」
「「絶対ダメ!」」
――
馬車内にて
「姫、本当にあの者たちに依頼をするのですか?」
「何か不満でも?」
「恐れながら、あの少年はそもそも実力不足、魔法使いの方は多少の実力がありましたが経験不足、あの男に関してはそもそも上位種を知らないと言うとてもじゃないが姫様が期待なさるほどの実力があるとは思えません」
「貴方の言う事には一つだけ間違いがあります」
「と申すと?」
「ユウさんと魔法使いさんは確かにその通りでしょう。ですがあの男の方に関しては、私の見立てではこの世界でも五本の指に入る実力者ですよ」
「ご冗談を」
馬車内にいる姫を除いた騎士全員が同じ反応を示していた。その理由は姫という立場にいる方と戦士として日夜戦い続けている自分達では見る目はこちらの方が圧倒的に上だと言う自負からくる驕りであった。
「ならば明日、あの方と勝負をしてみますか?貴方達全員くらいなら難なく倒すと思いますよ?」
リアーナが何故今回ギルドにまで来てユウ達に依頼したのか、それはカケルの存在が大きかった。依頼をするだけならば聖光の守護者に依頼するのが当たり前なのだろう。しかしリアーナはカケルを高く評価していた。聖光の守護者に所属する誰よりも強く、それこそ上位種に名を連ねても遜色ないほどだと。
「まぁ、後はユウさんが可愛いからですかね」
「え?か、可愛い?」
「あのオドオドした態度可愛いじゃないですか」
「は、はぁー」
その時だった、ふとリアーナは先程ユウ達と親しく話していた魔法使いを思い出していた。
「・・・あの方の名前聞いてませんでしたね。どなただったのでしょうか
――
後日、ユウ達は王都の中央にそびえ立つお城へと迎えの馬車で向かっていた。
「おーでっけぇな!」
「な、なんだか、き、緊張しますね」
「それにしてもあんた達まさかあのお姫様と知り合いだったなんてね」
「そんなに有名な方なんですか?」
「有名も何も美人で、可愛くて、いつも笑顔で、王族であることを鼻にかけたりしない、王女様の中でもダントツ人気らしいわよ」
「そ、そうだったんですか」
「その手の奴と知り合いになるの多いよな。ハーレム形成中だな」
「そ、そんなの形成する気ないですよ」
「俺は入りたくないからな?」
「大丈夫です。たとえ作ったとしてもカケルさんは入る事ないですから」
「御三方、着きますよ!」
たわいもない話をしていると迎えの騎士の人が声をかけてくれて僕達は城門をくぐりお城へと辿り着いた。そこには大勢の騎士が入り口であろう扉までズラリと並んで敬礼をして待っていた。
「壮観だな」
「な、何だか、さ、更にき、緊張してきました」
「あんたが受けた依頼なんだからシャキッとしてなさいよ」
騎士達の間を通りお城へと足を運ぶとそこにはリアーナ姫と前助けた時にいた騎士ともう一人見知っ顔と複数の人が僕達を待っていた。
「え!?あ、アリサ!?」
「ユウ、悪いんだけど今回の依頼、私達聖光の守護者に譲って」
剣を僕達の方に向けながら、アリサはそう言った。




