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第1話その男の名は・・・

 ダンジョン内で狼型の魔物に襲われ魔法陣から現れた男の人から助け出された。

 狼型の魔物を一撃で倒した男の人は僕の目の前に立ち


 「でよ、ここってどこなんだよ?」

 「臭いし、汚ねぇし、暗いし、臭いから早くでたいんだが?」


 狼型の魔物のことなんて最初からいなかったかのように平然と語りかけてきた。しかし僕はすでに喋る気力すら無くなっていた。


 「おーい?あれ、お前大丈夫か?」


 僕に呑気な口調で話しかけてくる男の人の声を聞きながら僕の意識はここで途切れた。



――


 

 夢を見ていた。

 昔、彼女と約束したあの日を僕は見ていた。

 

 「いつか、僕とアリサとバン、ユリ、アカネと一緒に世界中を冒険することが僕の夢なんだ」

 「だから、そのためにももっともっと僕は強くなってみんなを守れるようにするんだ」


 「そっかじゃあ私はユウを守れるくらい強くならなくちゃね」


 そんなたわいもない会話を僕と彼女はいつも2人で話していた。

 あの日彼女が王都のギルドにスカウトされ村を出るまでは・・・


 「ん・・・こ、ここは?」


 気がついたら僕はいつもの見慣れた森を見慣れてない背中に背負われながら歩いていた。


 「お〜なんだお前起きたか」

 「びっくりしたぜいきなり意識失ったと思ったら血だらけだったんだからな」

 「一応よ、応急処置はしといたがあんま動くなよ。まぁとりあえず道があったから適当に歩いてるからどっか着くだろ」


 最初にこの男の人と会った時と同じように陽気な声で話しかけてきた。

 応急処置をしてくれたと言うのは本当のようで、

 痛みもひいて喋れるくらいには元気になっていた。


「あ、あのありがとうございます。で、でもどうして僕を助けてくれたんですか?」


 「あ?それはなんだ俺があんなところで血だらけになってる奴を助けない人手なしに見えるっていってんのか?」


 「あ、いえそうゆうわけではなく・・・」


 「まぁいいや、とりあえず村かなんかあんだろそこまで案内してくれや話はそれからだ。聞きてぇこともあるしな」


 そう言って男の人は僕を背負ったまんま付近にある村まで運んでくれた。



――


 

 村についてから僕はすぐに医者がいるところまで運ばれた。応急処置が的確だったこともあり、しばらく安静にしておけば良いということだったので僕はその病院でしばらくお世話になることになった。

 しばらくして、僕がベッドで寝ているとドアを開ける音と共にあの男の人が部屋に入ってきた。


 「よぉ!お前調子どうだ?」


 これまた陽気な声で僕の名前を呼んで病室に入ってきた。そしてすぐにうるさかったのか看護師の人に叱られていた。

 それを見ていた僕の方を見ながらやっちまったぜと言いながら病室にあった椅子に座った。


 「この世界のことは、村の奴らからあらかた聞いたぜ」

 「いやぁー中々ワイルドな世界に来ちまったもんだな俺もよ!」

 「おっと、まだ名乗ってなかったよな!俺の名はカケルってんだ!よろしくな!」


 僕が話す隙さえ与えずにカケルと名乗ったこと人は、話しかけてきた。


 「え、えっとカケルさんはもしかしてなんですけど、転生者と言うことですか?」


 転生者。この世界にほんのたまに現れる別の世界から来た人物がそう呼ばれている。転生者は皆んな強大な力を持っており様々な国で重宝されている。


 「ん?あーそれなぁ村の奴らからもそう言われたな。まぁ多分そうなんだろうな」


 彼の返答は若干曖昧のような気がしたが僕の目から見てもこの世界には内容な服装をしていることから、恐らく転生者と言うのは当たりなんだろうと思った。


 「まぁそこはどうでもいいだろ。問題はお前だよ」


 自身が転生者と言うことについては本人もよくわかってないからなのかすぐに話は切り上げられた。


 「え、ぼ、僕ですか?」

 「あ?だからそう言ってんだろ?お前何であんなところに1人で行ってきたんだよ。」


 まさか僕のことを言われるとは思わなかったが、それ以上に気になったのは僕1人で行ったと言うことだ。


 「え?僕1人でってどうゆうことですか?」

 「え?だってお前1人ででダンジョンいたじゃねーか。それを目撃したって奴から聞いたぜ?」

 「驚いたらしいぜ。お前弱そうななりしてんのに1人で行くなんて勇気あんなぁ、まぁ見習いたくない勇気だけどな」


 言うまでもなく僕は1人で入ってない。カケルさんが現れた時、確かに僕は1人であのダンジョンにいた。勘違いされるのも無理はないけどそれでも僕にそんな度胸がないことは見た目でわかる気もするけどな。


 「あ、あの!実は僕1人で行ったわけじゃないんです。仲間と一緒にいったんです」

 「ん?そうなのか?じゃあそのお仲間はどこにいんだよ?」


 「えっとそれが僕もわからなくて」


 仲間に裏切られたことは恥ずかしさもあってからなのか言えなかった。・・・ん?待てよ?彼が言った事について一つ疑問があった。


「ちょっと待ってください。僕が1人で言ったって誰がいったんですか?あのあたりは確かに安全な場所ではありますが、モンスターは普通に生息しているんで村の人だって近づかない所ですよ?」

「え、お前と同じ冒険者って言ってた女からだよ。なんかニコニコしてて不気味な奴だったよ」


 僕はそれが誰なのかすぐに理解した。それは僕と幼馴染で同じパーティーも組んだユーリャだ。

 だが何故1人で行ったなんて嘘をついたんだろうか?この人に僕を置いてったことを責められるのが嫌だったのだろうか?

 しかし、ユーリャはそこまで頭がいいというわけではない。彼女はどちらかというと頭は悪い方だったしそんな嘘がつける子じゃないはずだが・・・


「ん?ちょっと待ってください。ユーリャにあったんですか?」

「ちょっと待て、誰だそいつは?」

「仲間です!僕のパーティーメンバーなんです。そのニコニコした子が!」

 「マジか。確かにあったぜ。なんか色々袋に入れてたから旅出る準備でもしてたんじゃねーか?」


 僕は気がついた時にはベッドから出てドアを開け部屋を飛び出していた。


 「あ!おい!馬鹿野郎まだ安静にしてねーとだめだぞ!聞いてんのか!」


 彼の言葉を無視して僕は家を飛び出して3人の幼馴染がいるであろう村の入り口まで走っていった。

 空は雲に覆われており今にも雨が降りそうな天気となっていた。







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