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第17話 たかがその程度

 マナと狼型の魔物の戦いは熾烈を極めていた。それこそユウが割って入る余地がないほどに。ただやはり魔物の力は想像を絶する程の力で、マナが使う魔法はどれも魔物にはさしたるダメージを与えていないように見えた。


 「このままじゃあまずいかも・・・でもどうやってマナさんを助ける?」


 僕が今持っている物だってそれこそ折れた剣と食べ物、飲み物、あとは縄くらいだし・・・


 「しかもこの腕、マナさんを助けるにしても片腕じゃあどうにもならないしな・・・」


 ユウが考えていると魔物の攻撃によってマナが崖まで吹き飛ばされた。マナは魔法によって自身を咄嗟に守ったが立ち上がるのもやっとの状態まで追い込まれていた。


 「ま、まずい。こうなったら縄で、えーとあそこだ!」

 「掴まってください!」


 ユウは近くにあった岩に縄を括り付け崖の下に投げた。マナもそれに気付き縄を掴んだが魔物もそれに気づいたらしく、獲物を逃さんとマナに狙いを定め鋭い爪で切り裂こうと走った。


 「まずい!魔物が向かってきてます!何とかかわしてください!」

 「そんなことわかってるわよ!大地よ・我が叫びに応え・その鼓動によって・地を裂き・我が怨敵を堕落させよ!ーーー"大崩落(ランド・ブレイク)"」


 そう唱えると魔物の足下が突如として崩壊し魔物はその穴に落ちていった。その隙にユウはマナをなんとか引っ張り上げ崖から離れた。


 「ハァ…ハァ…な、何とかあいつから逃げ切れましたね」

 「じょ、冗談じゃないわよ!な、何で魔物がここにいるのよ。ハァ…ハァ…完全に調査ミスじゃないのハァ…」


 それから魔物がいた場所を避けながら二人で崖を降り、歩いていると少し離れたところに身を隠せるくらいの岩場があり、2人はそこで休むことにした。


 「はぁ…ほんと最悪、まさか魔物がいるなんて・・・それとあんた何でいんのよ」

 「え!?あ、僕ですか?ぼ、僕はマナさん達が行方不明となっていたので心配して助けにきたんです」

 「え?あ、ふ、ふん!あんたなんかに心配される程こっちだってやわじゃないわよ」

 「あはは、確かにマナさんの魔法すごかったですもんね・・・羨ましいですよ。ところで他の皆んなはどこにいるんですか?」

 「私が知るわけないじゃない。あいつら私を囮にして直ぐに尻尾巻いて逃げたんだから。次あったら覚えときなさいよあいつら!」


 怖い顔をしてマナさんは拳を握りしめながら燃えていた。僕もバン達に裏切られて魔物に襲われたから変な親近感を僕は持っていた。


 「ともかくまずはここから出ることが先決ね、あなた転移のクリスタルかなんかある?」

 「え?ごめんなさい。僕も焦ってて何の準備もせずに来てしまいました・・・」

 「はぁー!?あんたバカなの?何でダンジョン行くのに準備せず来てんのよ!?どうすんのよ!!」

 「え、ええーそんなこと言われても・・・てゆうかマナさんは持ってないんですか?」

 「わ、私はその・・・おとしたのよ・・・」

 「僕のこと言えないじゃないですか!!!」

 「仕方ないでしょ!魔物と戦ってたのよ!?落ちたって拾ってる時間ないでしょ!」

 「うった、確かにごめんなさい」

 「いやいいわ。私こそごめんなさい」

 「とにかくまずは食事ね」


 そうゆうとマナさんは空中に魔法陣を作りその中から食事や飲み物を取り出した。


 「ほらあげる。食べましょ」

 「あ、ありがとうございます。でも僕も一応あるんですけど・・・」

 「なら次はそれを食べましょ。あ、あとその腕見せてみて応急手当てくらいはしとくから」

 「え、あ、そっかすっかり忘れてたや」

 「あんた、いい根性してるわね・・・」


 その後、マナさんに折れた腕の手当てをしてもらってから、食事を一通りしてまた移動することにした。


 「とりあえず隠蔽魔法かけといたからある程度のモンスターになら気づかれずに行けるわ」

 「ありがとうございます。それにしてもマナさん沢山の魔法を覚えてますね。見たところ僕と同じくらいの歳なのにすごいですね」

 「まぁね。私がいた街では天才魔法少女だったから魔道立学園では主席だったしね」

 「まどうりつがくえん???」

 「魔法使いを育成する学校よ」

 「へぇそんなところで凄いですね」


 それからしばらくの沈黙と共に静かな洞窟を歩いているとマナさんが立ち止まりしゃがみ込んだ。


 「しゃがんで!魔力探知に何かが引っかかったわ」

 「え?」

 「いいからしゃがんで!!!」


 そういって僕の頭を掴み地面に押し付けた。マナさんは洞窟の先を身をできるだけ低くしなが見ていた。


 「・・・まさかあれって」

 「ど、どうしたんで・・・え、あれって!?」

 「どうなってんのよここは!何であんな数の魔物がいるのよ!あり得ないでしょ!?」

 「じゃあさっきの魔物はこの群れから離れた魔物だったってことですか?あり得ないですよ!魔物がこんな数いるのだって既にあり得ないのに!?群れを作って生活をしてるなんて・・・」

 「とにかく急いでさっきの岩場に戻るわよ!もうあそこで身を隠して助けを待つしかないわ」


 そうして、僕達がさっきの岩場に戻ろうとした時だった。狼の魔物の群れの方で微かだが声が聞こえてきた。


 「待ってくださいマナさん。今声しませんでしたか?」

 「声?そんな筈ないでしょ」

 「いや今確かに聞こえました。バン達かも知れない。助けに行かないと!」

 「何言ってんのよ。例えそうだったとしてもあの群れに囲まれたら無事じゃ済まないわ!」

 「だとしてもまだ生きてます。助けないとマナさんは先に戻っててください!」

 「何言ってんのよ。死ぬわよ!?あんたが行ったところで意味ないわよ!それにあんたあいつらに見捨てられたんでしょ!?なのに何で・・・」

 「・・・それでもですよ。確かに僕は魔物に襲われた時に三人に見捨てられました。でも()()()()()()()のことで僕があの三人を見捨てて言い理由になんかならない!僕にとってあの三人は大切な幼馴染なんだから!!」


 そう言ってユウはマナの静止を振り切り群れの方へ走った。

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