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第16話 幼馴染が行ったダンジョンへ

 僕は王都を出てダッシュで青葉の洞窟に辿り着いた。周りは自然がまるで黄金のような輝きを放ちながら溢れかえっており、僕達が住んでいる王都とはまた違った凄みを持った場所だった。


 「ここにバン達がよ、よし!」


 僕は気合を入れて洞窟の中に入った。ダンジョンの中は苔のようなものがあるだけで特に危険な様子もなかった。と思った矢先、僕は床にあったスイッチのようなものを油断して押してしまい、床が開き落ちていった。


 ――

 ギルド内


 「その話は本当ですか!?ユウさんがバンさん達が行方不明になったダンジョンに行ったんですか!?」

 「そんな大きな声を出さなくても聞こえてますよ〜はい確かに教えたので行ったと思いますよ〜」

 「行かせてはダメでしょ!?彼はまだ入り立てでFランク何ですよ!?」

 「そうなんですか〜?私が聞いた時は飛び級で〜Bランクと言ってたんですけど〜」

 「そんなの嘘に決まっているでしょ!?」

 「あらら〜」

 「とにかくこの事をギルド長に伝えて下さい。私は大至急今手が開いている何人かの高ランクの方に連絡をとって見ます!」

 「わかりました〜」

 (何か胸騒ぎがしますね。ユウさん無事でいて下さいね)


 そう思いながらリリスは他の受付嬢とも連携しながら連絡をとり始めた。


 ――


 「ん、・・・こ、ここは?」


 水滴が顔に落ちたことによりユウは目を覚ました。辺りはとても広い空洞となっておりまるで人為的に整備されたかのような印象を与える場所だった。


 「バン達もここに落ちたのかな?いやでも僕やバン、ユーリャならともかくアカネやあの子がこんなトラップに引っかかるわけないしな。いやでも意外とベテランの人とかはこう言うベタなトラップに引っかかるかも・・・」


 そうやって一人でぶつぶつと考えていると腕に違和感を感じ、見てみると右腕が腫れ上がっていた。


 「え!?嘘?お、折れてる!?全然気が付かなかったよ!そりゃそうだ!だって僕今結構な高さから落ちたもんね!そりゃ腕の一本や二本くらい折れるよね!?どーしよーーーーー!!!」


 僕は一人で叫びながら、ふと今の自分の言葉に疑問を感じた。そして僕は一度冷静になり自身の体をもう一度確認してみた。


 「・・・傷がこれだけ?いやあの高さからなら死なないとしても最悪再起不能になるほどの怪我はおうよね?」


 しばらく考えていると少し離れた所から戦闘音のような音が聞こえ、そっちに歩いていってみると崖があり、下を覗くと誰かが何かと戦っているのが見えた。


 「誰だ?んーー?あれ?・・・あの子ってまさか・・・!?」


 見た先にいたのはあの時バンのパーティーにいた魔法使いの女の子だった。


 「でも戦っている奴って・・・」


 彼女が戦っているのは僕にとって最大のトラウマとなっている赤い瞳をしたあいつだった・・・


 ――


 ユウがダンジョンを訪れる三日前


 ギルド内でリリスに注意をされてからバン達は四人でダンジョンへ向かっていた。


 「チッそろそろ鬱陶しくなってきたなあの女。少し可愛いからってこの俺に口答えしやがって」

 「あっはは、そうだねー」

 「あれはお前が悪いだろ。まったく・・・だが彼女の言い方にも棘があったのは確かだ」

 「何言ってんのルール守ろうとしなかった、そいつのせいでしょ」

 「はぁ〜意味わかんねぇわ。俺がいるのになんでダメなんだよ?」

 「そんなんあんたが弱いからでしょ。いい加減に気がついたら?」

 「は?」

 「あとあんたすこぶる評判悪いの気づいてんの?それに最近の成果もそんなに良くないし、このままじゃあ遅かれ早かれあんたは降格になるわよ」

 「う、うるさい!うるさい!この俺が?降格なんてあるわけないだろ?だって宝具もゲットしたんだぜ?」

 「それ本当に宝具なの?魔力だって殆ど感じないのよ」

 「まだ完全解放出来てないからだって!だって言ってたんだぜ?鑑定士のおっさんがこれは宝具だってしかも最上位の物だってな!」

 「そいつは当てになんの?何処で見つけたの?王都じゃあ鑑定士なんて胡散臭いのも星の数ほどあるわよ」

 「はっ!何言ってんだ酒場で知り合った奴が言ってた王都であまり知られてないが腕は王都一と影で言われている奴のところまで行ったから本物だぜ!」

 「はぁ……もういいわ。先進みましょ」

 「おっとそうだったなこのバン様にはあんまり似合わないクエストだが仕方ねぇ行くぞ!」

 「わーいやっとだー」

 「やれやれだ」


 それから私達は少し進んだ時にあのバカ(バン)のせいで簡単なトラップに引っかかり、地下へと落ちていった。落下中に私が咄嗟に発動した衝撃を和らげる魔法によって最低限の傷で済んだが、落ちた先はとても広く今の私では上に上げるほどの実力がなかった為、仕方なく上に続く通路を探すことになった。しかし、三日経っても一向に出口は見つからず四人は消耗し始めていた。

 そんな時だった。バン達は最悪な相手と出くわした。


 「お、おいあ、アレってまさか・・・」

 「バカな、なんでまたアイツがいるんだ!?」

 「やばいねー」

 「は!?あんた達こいつと出会ったことあるの!?」


 私達の目の前には無慈悲な殺意をその目に宿した狼が立っていた。


 「ま、魔物!?なんでだよ?なんでまたアイツがいるんだよ!」

 「わ、わからない、だが今は逃げることが先決だ!早く逃げるぞ!」

 「わーいにっげろー」

 「ちょ、あんた達!?逃げるって何言ってんのよ!逃げ切れるわけないでしょ!?」

 「だ、だったらお前が囮になれ!そしたら俺達が逃げ切れるからな!命令だ!じゃーなー」

 「すまない!」

 「ばいばーい」

 「はぁー!?何言ってんのよ!?ちょ!ちょっと!!!あーらもう!最悪!」


 目の前に立つ魔物は、私じゃあ勝てない存在だと言うことが一目で理解できた。だからと言って一人で逃げ切れる程の相手でもない。


 「あんな奴らのパーティーなんか入るんじゃなかった・・・」


 後悔を口にしながら私は覚悟を決め、魔物の討伐をすることにした。


 「束縛する鎖(バインド)!!!」


 初級魔法だが強度は下手なモンスターでは拘束を解くことが出来ないほどの魔法を発動させマナは魔物の動きを封じ込めた。しかし魔物は意にも介さず平気で鎖を食い千切りマナへ鋭い爪で攻撃を加えた。


 「くっ舐めんじゃないわよ!土よ・我が身を守れ!"堅岩の盾"!!!」


 マナがそう唱えると地面より巨大な岩の塊が現れ魔物の爪への攻撃を破壊されながら防いだ。マナは微かな隙を見逃さず次の魔法を唱えた。


 「火の矢よ・我が敵を貫け!!!炎の矢(ファイヤ・アロー)!!!」


 数百の炎の矢がマナの周りに現れ、魔物に向けて放たれた。しかし、その矢は魔物には当たらず魔物はマナの後ろに回り込み先程と同様の爪でマナを吹き飛ばした。


 「ぐぅっ!?」


 苦悶の声を上げながらマナは近くになった壁の方まで吹き飛ばされた。


 「ぐっ!?ま、魔力防壁を何とか、ぐっこれでもここまでの痛みって・・・」


 たった一度の攻撃によって立つこともやっとの状態へ陥ったマナはそれでも魔物を睨みつけていた。


 「く、来るなら来なさいよ。首だけでもあ、あんたをくい、ちぎってやるわよ!」

 

 その時だった


 「捕まってください!!!」


 頭上から一本の縄が降りてきた。そして上を見るとそこにいたのは、あの時あいつによってバカにされながらも何も言い返さなかった男が立っていた。

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