第12話 ギルド
「それではお二人ともまたどこかで会える日を楽しみにしていますね」
「は、はい!」
「またなぁ」
そう言って僕達はリアーナ姫と分かれた。王都は僕が住んでいた村やレノバ村などと比較にならないほど賑わっており、人も活気ついていた。
「んで、これからどうする?直ぐにギルド行くのか?それとも武器の調達にいくか?」
「そうですね、一応ギルドには試験とかなく入りたい人は入れる方針なのでギルドに先いっていいですか?」
「そうなのか。俺はてっきり試験があると思っていたんだがな」
「そうですね。試験はあるにはあるんですが、それはクランに入る場合ですね」
「くらん?」
「ギルドに入った人達で作る大規模なチームのことです。そこに入る場合は試験を受けなければいけないところもあるらしいですよ」
「もちろんクランを作らずに自由気ままにやってる人やパーティ組んでクランは作らないって言う人もいますよ」
「そのクランとパーティに違いがあるのか」
「え、えーとそうですね。クランは10人以上でしか作れないって言う決まりがあるんです。パーティは何人いてもいいですし、申請もしなくていいんですよ」
「なるほどな、じゃあ俺たちはパーティを組むって事か」
「そうなりますね」
「なるほどな。じゃあギルド行くか場所どこ?」
「・・・どこでしょうか?」
とりあえず僕らは王都の適当な店でギルドの場所を聞くことにした。少しあたりを見渡して一際目立つ建物を見つけた。
「カケルさんあそこ入ってみます?」
「そうするか」
目立っていた建物の中に入ってみると、厳つい目をした人や武器の手入れをしている人、酒を昼間っからガバガバ飲んでいる人達など様々な人がいた。
「な、何なんでしょうかここ・・・」
「いや、どう見ても酒場だろ。情報を集めるには打ってつけな場所だな。幸先いいな俺たち」
そう言ってカケルさんは飲み物を販売している所まで走って行ってしまった。僕は渋々一人で受付らしき所まで行きギルドの場所を聞くことにした。
「す、すみませ〜ん」
「はーい、少し待っててください!」
そうして出て来たのは緑色の瞳で綺麗な黒髪をショートカットにした女性だった。
「お待たせして申し訳ございません。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「あ、え、えっと僕実はこの王都にあるギルドに参加したくて、でもどこにあるのかがわからなくて、それでここで聞こうと思いまして」
受付の女性は少し困ったような顔をしていたが、直ぐにくすくすと笑い始めた。
「お客様、ここがそのギルドですよ?」
「え、え、ええええええ!?」
「はいようこそ!王都が誇る世界最大のギルド!ヴァリオルト・アースギルドへ!」
まさかここが王都が誇るギルドだとは思わなかったこともあり、僕は思わず叫んでしまった。
「大丈夫ですよ。よく勘違いする人が多いんですよ。大きいだけで古臭い感じですからね」
そう言いながら受付の女性は先ほどと変わらずくすくすと笑った。
「あ、申し遅れました。私の名前はリリス・グレイウィンドと申します。えーと貴方は?」
「あ、す、すいません。僕の名前はユウって言います」
「ユウさんですね。とてもいいお名前ですね。ユウさんはギルドへ入団でよろしいですか?」
「あ、すいません僕だけじゃなくて、もう一人いるので、す、直ぐに呼んできます」
そう言ってカケルさんを探そうとした瞬間だった、ドンッ!と言う音が聞こえた。気になって振り返るとそこにはよく知った人が金髪で筋肉質な大男に絡まれていた。
「てめぇ調子にノってんじゃねーぞ!?この俺様を誰だと思って嫌がる?」
「知るかよ。誰だよあんた口くさい」
「な!?て、テメー表でやがれ!!!」
・・・あの人はこの数分間の間に一体何をしたんだろうか。早速揉め事を起こしていた。
「もしかして、ガワードさんに胸ぐらを掴まれている方がユウさんのお連れの方ですか?」
「え、えっと・・・そ、そうですね。ど、どうしよう」
「まずいですよ。ガワードさんはB級ランクの実力を持った方で雷帝の異名を持った方ですよ」
この世界のギルドに所属している人たちにはそれぞれにランクが存在している。ランクは最高でS、最低でFとあり、基本的にはギルドに入団した時はどんな人でも必ずFからスタートすることになっている。
しかし、例外もある。ランクがS、Aとなっている人からのスカウトや推薦などによって指定のランクでギルドに入団することが可能となっている。それ以外の人は基本的にギルドが定期的に開催している昇格試験を受ける必要がある。
そしてカケルさんと対峙している男はBランクかなりの実力者である事がわかる。そんな人相手にあの人は何をやらかしたのだろうか。
「おい、もう一度言うぞ?そこは俺様が座る席だ。お前みたいな奴が座っていいような所じゃないんだよ!!」
「そんなこと知るかよ。ったくどんな世界でも変なこだわり持った奴はいるもんだな」
「てめぇー!!やっぱり表でな!この俺に逆らう事がどんなことか教えてやるよ!」
「俺は用がないからパスで」
「もういいここでやってやるよ」
そう言ったガワードは両腕に魔法陣を発生させ、雷撃を纏わせた。随分とショボい理由だったが纏わせた雷撃は冗談では済まされない程の魔力を宿していた。
「後悔するんだな!この俺様に逆らったことを!雷撃拳!!!」
「いけません!ダメですガワードさん!ここでの喧嘩はルール違反となりますよ!」
そうリリスさんが叫んだが、既に遅くガワードはカケルさんに目掛けてバチバチと音を鳴らした拳を振り下ろしていた。しかしカケルさんは何食わぬ顔でそれを受け止めていた。
「な!?ば、ばかな俺の拳を!?」
「おい、おっさん。この酒場じゃあ、喧嘩はルール違反らしいぜ。あんたの為にも外出してやるよ」
そう言うと、カケルさんはガワードの腹部にいきよいよく蹴り込んだ。ガワードは吹き飛び壁を貫通して王都の街の壁にめり込んだ。
リリスさんを含め、これを見ていたギルド中の人達がありえない光景を見たような顔をしていた。
「そ、そんなあのガワードさんをい、一撃で・・・何者なのですかあの人は・・・」
「え、えーとあの人の名前はカケルって言ってい、一応転生者です・・・」
「て、転生者!?」
それを聞いていた人達は一斉にカケルさんに注目していた。
「おーい!ユウどうだ?ギルドの場所見つけたかー?」
「カケルさんあんまり目立つことしないで下さいよ!!!後ここがそのギルドですよ!」
「あ、そなの。じゃあとっとと入団しようぜ。いいんだよな?」
「え、あ、は、はい。ここで入団の手続きをしていただければギルドに入れますよ」
「じゃあ手続き済まそうぜユウ」
「い、いやその前にどうするんですかこの状況!」
「ほっとけば?」
「ほっとけるわけないでしょ!さっきからものすごい数の視線を感じるんですけど!?」
「えーじゃあ全員ボコすか」
「絶対に辞めてくださいよ!?」
そんな時だった。僕とカケルさんの間に剣が現れた。
「あなた達ですね。私たちのギルドで暴れたという人達は」
「え、この声まさか!?」
聞き馴染みのある声を聞き後ろを振り返ってみるとそこには僕の幼馴染にして、王都のギルドにスカウトされ旅だった最愛の人であるアリサの姿があった。
投稿が遅くなって申し訳ございません。




