修行一日目
「『青天の理』ってどんなものなのですか?形とか」
セイヤがラウに質問をすると、ラウは渋々と答えてくれた。
「わしが知る限りでは武器だったり、防具だったりと様々じゃな。
継承者自身が『青天の理』だというのもあったわい。どれが本当かはわからん」
ラウの説明が終わると、家に帰る者と修行をする者に分かれた。
ラウとアマネが家に帰る組、セイヤとガイが修行する組に分かれると思いきや、ガイも家に帰ると言ってきた。曰く「今日は調子が悪い」らしい。
言うときにおなかを押さえていたので、十中八九アレのせいだろう。
ということで、セイヤだけ『青天の理』を受け継ぐ試練を乗り越えるために修行を開始した。
(とは言ったものの、どうすればいいんだ?)
セイヤはとりあえず右手を前に伸ばした。しばらくそのままでいたが、特に何も起こらなかった。
(まぁそう上手くはいかないよな)
今度は近くにいた天子に両手を前に広げながらゆっくり近づく。
(そーっと、そーっと……今だ!)
勢いよくパン!と両手を合わせたセイヤ。ゆっくり手を開くと……何もなかった。
周囲を見ても天子は見た目が同じなので、今捕まえようとしたのがどれかわからない。
「くそー!絶対に捕まえてやる!うぉりゃあああ!」
セイヤは再度近くにいた天子を捕まえようとしたり、ジャンプして上にいる天子を捕まえようとしたり、地面を転がったりと意地になって天子を追いかけた。
その姿は「何もない広い草原に放たれた犬」をイメージしてもらうとピッタリだろう。
辺りが暗くなってきたころ、セイヤは大の字に横たわっていた。
「はぁ……はぁ……まぁ、初日じゃこんなもんかな」
結局一回も天子に触れることができずに、一日目の修行?が終わった。