届かぬ物資ー破綻ー
魔人が槍の男性の一撃を最初と同じように腕で防ぐのと同時に、数本の矢が魔人目掛けて飛来してきた。
その場から離れようとする魔人に連撃を繰り出す槍の男性。
女性の攻撃が加わったためか、槍の男性の攻撃や矢を先ほどとは打って変わって、腕などで防ぐことはせず、回避するようになった魔人。
回避に専念している相手とはいえ、何度かは攻撃を当てることは出来ている。
しかし二人という人数的に有利であるにもかかわらず、何度か攻撃を当てることしか出来ていない。
「あまり効果がないように見えるが、攻撃は当たっている!このまま攻撃し続けよう!」
「!……えぇ、わかったわ!」
士気を下げないようにお互いに鼓舞し合う中、先ほどから黙っていた魔人が口を開く。
「なぁ」
「……なんだ?」
「お前じゃねーよ。後ろの女に言ってんだよ」
「……なによ?」
「さっきから俺に向かって矢を放っているが……あと何本残ってるんだろうなぁ?」
「!?」
魔人に言われて、指の感触だけで本数を数える女性。最初は数十本あった矢も残り数本しか残っていなかった。
「残り少なかったか?だったら……」
魔人は口角をかなり上げてニヤリと笑いながら、右腕を前に出す。
「この矢、返してやるよ」
「「!!?」」
魔人の手にはかなりの数の矢が握られていた。
ここで槍の男性たちは気付く。回避に専念しているのに、なぜ攻撃が当たっていたのか。
理由は簡単。攻撃が当たることを全く気にせず、矢を掴んだり、拾っていたからだ。
「ほぉら、しっかり受け取れっ!!」
魔人は手に持っていた矢を女性目掛けて、振りかぶって投げた。
矢の速度は女性が放った矢の速度よりも数倍早く、女性の技量では躱すことは不可能。
それを悟った女性は目を瞑る。
目を閉じている中、何かを弾く音と何かが刺さる音が聞こえてきた。
女性はゆっくりと目を開けると、まず自分の状態を確認すると、刺さっているはずの矢が一本も無かった。
とすると、あの音が何だったのか予想は簡単に出来た。
恐る恐る目線を前に向けると、「あぁ、やっぱり」と目を潤ませながら見つめる。
そこには——槍を水平に持ったまま立ち尽くす槍の男性が立っていた。




