不在
知り合いのお店に到着した二人。
まだ開店前のため、扉に鍵がかかっているかと思ったが、ガチャリと開いた。
おや?と思った二人だが、恐る恐るお店の中に入っていく。
「こんにちはー……どなたかいらっしゃいますか?」
セイヤは挨拶をしてみるが、返事は返ってこなかった。
よく耳をすましてみるとお店の奥のほうから話し声が聞こえる気がした。
声が聞こえる方に向かう二人。近づくにつれて、徐々に良く声が聞こえるようになってきたが、何か焦っているような感じがした。
どうやら話し声が聞こえるのは調理場のようで、二人はそこに足を向ける。
調理場に到着するとそこには副支配人、料理人が二人、ウエイターが一人、ウエイトレスが二人の合計六人がいた。
また何かを話そうとした副支配人だったが、セイヤとアマネの姿を見ると声をかける。
「セイヤさん!」
「やぁ、久しぶり。……何かあったのかい?」
セイヤはこのお店の支配人である知り合いのほかに、副支配人とも顔見知りだった。
「実は届くはずの物資がまだ届いてないんです」
普通は見ず知らずの人に話すようなことではないのだが、このお店のNo.2である副支配人が心を許しているように話しているため、
他の従業員たちはただセイヤと副支配人の会話を聞いていた。
「ただ遅れているだけじゃないの?」
「いいえ、私たちが依頼している業者は毎回時間を守ってくれる方達でして、今まで遅れたことはないんです」
「そうなんだ。それは心配になるね」
「はい、それを支配人に相談したんですが……」
「ん?えーっと……その本人が見当たらないけど?」
「そうなんです!『なら私が迎えに行ってくる』と行ったまま、帰ってこないんです!」
副支配人の言葉を聞いたセイヤは驚愕する。
「なるほど……それは君たちが焦るのも無理はないか」
副支配人は何かに迷い、そして悩んだ末に言葉を発そうとした。
しかしそれを手で制止するセイヤ。
「言わなくても大丈夫。今から僕たちが行く!」
この言葉に安堵した副支配人。安堵するのも一瞬で話を続ける。
「ありがとうございます!……あ、そうだ!えっと……君!アレを持ってきてくれるか?」
副支配人に言われたウエイトレスはバタバタと走っていき、数分もせずに筒状のものを抱えて戻ってきた。
持ってきた筒状のものを「ありがとう」とお礼を言ってから、広げる副支配人。
広げたものを見てみるとこの街の周辺地図のようで、この街と少し離れた場所にある街が赤い丸で囲んであり、赤い丸同士を結ぶように赤い線が引かれていた。線は真っ直ぐだけではなく、曲がったりと何かをなぞるように引かれていた。
「この赤い線が配達ルートとなっています。今の時間からすると……たぶんこの辺りにいるかと」
副支配人はそう言うと、この街の赤い丸から少し離れた箇所を指をさす。
「分かった、ありがとう。それじゃ、いってくる」
「お願いします。お気をつけて!」
セイヤは駆け出そうとしたが、手に持っていたものに気付く。
「おっと、そうだった……悪いけどこれ、預かってくれる?」
「それくらいお安い御用です!」
「ありがとう。今度こそいってくるね」
セイヤは踵を返し、駆け出す。
今までのやり取りをじっと後ろで待って聞いていたアマネもお辞儀をして、セイヤのあとを追う。




