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理の継承者  作者: 鈴本 流幸
第六章
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礼装不要のレストラン

 翌日、セイヤの知り合いのお店に向かった一行は予約時間になるとお店の中に入り、席に案内される。


「今日は無理いって悪かったね」

「とんでもない。セイヤから連絡が来たのは久しぶりだったからな、嬉しいかぎりだよ」

「そう言ってくれると僕も嬉しいよ」


 セイヤと知り合いは簡単な挨拶をすると、早速今回訪れた理由を話し出す。


「それで?今日はどうしたんだ?」

「あぁ、実は近々食事会があってね。その食事がコース料理みたいなんだ」

「ん?セイヤにはマナーについて教えたはずだけど?」

「うん、今回は僕というよりかはこちらの方々に教えてほしいんだ」


 セイヤに手で示されたアマネ、ラウ、アオイはそれぞれ会釈する。

 ガイは別の用事があるということで今回は来ていない。

 そんな三人を見た知り合いが話しかける。


「本日はお越しくださいまして、ありがとうございます」

「こちらこそ。とても素敵なお店で少し緊張しています。服装も場違いな感じで……」


 アマネたちの服装は礼装などではなく、普段通りの服装で来ていた。

 事前にセイヤに「服装は普段とは違って、礼装とかがいいかな?」と聞いたら「いやいや、普段通りで大丈夫だよ」と言っていたため、普段通りに来ていた。


「とんでもございません。確かにこのようなお店のほとんどが礼装などが基本となっておりますが、本店はそのようなことを気にせずお越しいただけるようなお店となっております」


 それに、と続ける。


「彼、セイヤの服装をご覧ください」


 言われるとみんなセイヤのほうを向く。

 言われた当人であるセイヤの服装を見てみると、黒のTシャツにズボンという普段通りの格好でいた。


「彼に比べると、皆さんの服装は十分な装いだと思います」

「「「確かに」」」

「いやいや……僕みたいな人でも気兼ねなく来れるお店にするって言って、出店したのは君じゃないか」

「本日はマナーについて学びたいとのことで宜しいでしょうか?」

「無視!?」


 セイヤのことは置いてかれ、話は知り合いと三人で進んで行く。


「私は美味しい料理を食べにきました」

「わしもどちらかというと料理を楽しみにきた感じじゃの」

「私ももちろん料理も楽しみですが、マナーについて学びたい気持ちが強いです」


 三人の気持ちを聞いた知り合いは、にこやかに回答する。


「かしこまりました。それでは料理を楽しんでいただくことを重点に、マナーについてもお教え出来ればと思います」


 知り合いはセイヤに視線を向けると、セイヤも目礼でお願いする。


「それでは、良いひとときをお過ごしください」

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