会議後
「さて、今日はこのくらいかな。皆、お疲れ様」
様々な議題を話し合った彼らだが、金髪の男性の言葉で一気に緊張が解けた。
そんな中一人だけまだ緊張を解いていない者がいた。
その者は立ち上がり、腰を直角になるくらい曲げながら言う。
「親方様。最初の無礼、大変申し訳ございませんでした」
「最初の?あぁ、あれかい?気にすることはないさ」
「いいえ!親方様が許そうともワシはワシを許せません!ここは腹を掻っ捌いてお詫びを!」
「私の声聞こえてる!?」
今まで凛としていたのだが、今は錯乱している男性は懐からナイフのようなものを取り出し、自分の腹を刺そうとしていた。
次の瞬間、持っていたはずのナイフが手から消えていた。
そしてカランと金髪の男性の前に音を立てて置かれていた。
「……影か」
「ちょっと!この家で変なことするのやめてくれる!?てか、警備のものはなんでこれ没収していないの!?」
連帯責任として、今日の警備にあたっていた者全員の減給を心に決めた金髪の男性。
「さっきも言ったように気にすることはないよ。君が言ってくれたことは君だけでなく、ここにいる全員が思ったことだろうし」
誰からも否定の言葉出ていないことが如実に語っていた。
「私相手に忖度なく言ってくれる人はごく僅かだからね……君達のような存在は私には貴重なんだ。だからこれからも変わらず接してくれると嬉しいな」
「親方様の寛大なお心に感銘を受けずにはいられません!」
「ボスちゃんはほんとに器が大きいよねー」
「さすがボス。ボスを信じてこれからも精進していきます」
金髪の男性の言葉に各々が称賛の言葉を送っていく。
「大袈裟だよ、君達」
そう言いながら金髪の男性は立ち上がる。
「それじゃ、皆。これからも宜しく頼むよ」
金髪の男性が踵を返すと、他の全員が最敬礼で見送りを行っていた。




