表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
理の継承者  作者: 鈴本 流幸
第四章
54/78

青天の戦い ー決着ー

 名を呼ばれた守護反鏡(しゅごはんきょう)はガイの手を離れ、前方に移動すると符を中心に青白く光る陣が展開される。

 展開されたのとほぼ同時に黒い光線が守護反鏡にぶち当たる。

 瞬間、轟音が響き渡り周囲に衝撃波が広がっていく。

 守護反鏡が(えが)いた陣は迫り来る黒い光線よりも大きく、後方に全く通さない。

 それだけでなく今も続いている衝撃波さえも通すことはない。

 しばらくすると轟音や衝撃波が小さくなり、そして脅威だった黒い光線は消えて無くなった。


「そ、そんなバカな!?」


 勝ちを確信していた魔人たちは地面に膝をついたり、尻餅をついていた。

 それぞれに共通しているのは放心状態であること。これが致命的だった。

 誰か一人でも気を持っていたら気づいていたかもしれない。

「数発撃てる」のであれば「もう一度魔導砲を放つ」ということ。

 そしてもう一つ。

 ——()()()()()()()()()()()()()()()()()


 黒い光線を防いだ後、守護反鏡に変化が現れる。

 青白かった陣が徐々に赤い陣に変わっていき、陣の色が全て赤くなった瞬間。

「黒い光線と同じ大きさの『白い光線』」が陣から現れ、魔者たちに向かって迸った。

 魔者たちは驚愕するも一言も声を出す間もなく、白い光線に魔導砲と一緒に飲み込まれ全滅した。

 白い光線はそのまま勢いを衰えなく突き進んでいき、廃都のほうで大きな爆発が起こった。

 陣が徐々に薄れていき、完全に消えるとガイの元に守護反鏡は戻っていく。

 戻ってくる守護反鏡を手で掴み、しばらく見つめるガイ。


「凄い符だったんだね、それ」


 アマネが後ろから声をかけると「えぇ」と懐に入れながら短く答えるガイ。

 ガイは周囲を見回し、ほかに魔者たちがいないことを確認するとアマネのほうを向く。


「もうこの辺りには魔者はいな——」


 ガイが「魔者はいない」と言う前に前方から声が聞こえた。


「あれだけの数が全滅ですか」


 (……いつの間に?)

 先ほど周囲を見回したときには確かに誰もいなかったのだが、今はそこに眼鏡をかけ、スーツを着た女性の魔人が立っていた。

 アマネとガイは突如現れた女性の魔人を警戒をするが、それを全く気にすることもなく女性の魔人は白い光線が通った跡に向かう。


「せめて魔導砲の情報くらいはと思いましたが、何も残ってないですね」


 白い光線を通った跡を調べた後、アマネとガイのほうを向くと「ふむ」と呟き、手帳を開き何かを書き始める。


「これをたった三人の人間がやったというのですか?信じられないですね」


 書き終わるとパタンと音が鳴るように手帳を閉じ、廃都のほうを向く。


「結果を伝えて、どうするか判断をしてもらいましょう」


 女性の魔人はアマネとガイに何をすることもなく、現れた時と同じように一瞬でその場から消えた。

 アマネとガイは念のため警戒を続けていたが、今度こそ何もないと判断すると警戒を解く。


「何しにきたんでしょう?あの女性の魔人」

「私たちを倒しにきたわけではないのは確かでしょう。あの言動から察するに……」

「情報収集、ですか?」

「えぇ、そうだと思います。……何はともあれ私たちは私たちの役割を全うしましょう」


 だから、とガイ。


「廃都にいきましょう。などと言わないように」

「わ、わかってますよ。も、もちろん!」


 ガイに先手を打たれたアマネは若干目を泳がせながら言うと、視線を廃都に向ける。

 (セイヤくん……)

 ただただ無事を祈るアマネだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ