幕間 ー決戦前夜の小さなひとときー
この日の夜。
何か飲もうとキッチンに向かったセイヤはリビングにアマネの姿を見つける。
「アマネ?どうしたの?」
「セイヤくん?セイヤくんこそ、どうしたの?」
「僕は何か飲もうと思って。アマネは?」
「私は……」
そのまま何も言わなくなったアマネを横目に、二人分のコップを用意し、飲み物を注ぐ。
アマネの隣に座ると、よかったら飲む?と片方のコップを差し出すと、アマネはありがとうと言って受け取った。
アマネは両手でコップをもって、こくこくと飲み、ふぅと一息つくと多少は落ち着いたらしい。
「私はその……緊張しちゃって。セイヤくんは緊張してない?」
セイヤはごくごく飲んでいたコップを口から離すと、はにかみながら答える。
「もちろん緊張してるよ。けど、今まで継承者として鍛錬してきたから」
それに、と。
「ガイさんや……アマネがいるから。負ける気も心配もないよ」
この言葉にアマネはふふっと笑う。
「もちろんよ!巫女である私がいるから、継承者のセイヤくんは無敵だよ!……ちゃんとセイヤくんの近くで支援するからね」
「うん、近くで。けど危ないから離れて支援してね」
「……どっちなの、それ?」
小さく笑いあう二人。
「じゃあ、少しでも寝ようか」
「そうね。あ、コップは私が片付けておくよ」
「そう?じゃあ、お願いしようかな」
セイヤは席を立つと、自分の部屋に向かう。
「それじゃ、また明日。おやすみ、アマネ」
「おやすみなさい、セイヤくん。また明日」
セイヤが部屋の扉を閉めるのを聞くと、アマネは小さくつぶやく。
「……ありがとう、セイヤくん」
この後はぐっすり眠れそう。そう思うアマネだった。




