紙に書かれていたもの
班長が見た紙にはこう書かれていた。
『明日、太陽が真上にくるとき、かつての都にいる私たちによって人間は再び思い出す』
班長を囲むように、同じく紙を見ていた同僚たちに動揺が走る。
「班長、これって……」
「あぁ。『赤い眼の人間』、『再び思い出す』、あとこれは俺の推測だが『商人が襲われた場所』も関係しているはずだ。これらから考えられるのは一つだ」
同僚たちもざわめきだす。
「お前わかる?」
「もちろんだ」
「マジかよ。俺、全然わかんねー」
「はぁー。これだから男は。いやあんたたちは、か」
「なんだよ、お前わかんのかよ?」
「も、もちろんよ!えーっと、その、あ、アレよ!」
「お前もわかってねーじゃん」
「な、なによ!?」
同僚たちとは反対に、班長は真剣な表情で気を引き締めていた。
「お前ら、今のうちにそんな感じの会話しとけよ?なにせ……明日の昼頃には、見回り予定の廃都と同じことがどっかで起こるんだからな」
同僚たちは班長が言ったことをすぐには理解できなかった。
しかし徐々に理解しだすと、さらに動揺が広がっていった。
班長は動揺して慌てふためく同僚たちを脇目に振れずに、商人に再び話しかける。
「そんなボロボロな体で、襲撃を受けた場所からこんな遠くまで……。良くこの紙を届けてくれた、ありがとう。頑張ってくれて、本当にありがとう。あんたの頑張りは無駄にはしない」
班長にお礼を言われた商人は少し戸惑っている様子。
どうしたのかと首を傾げていると、商人は話始める。
「いや……実は私も……不思議なんですが……目が覚……めた……ら、ここの近くいた……んですよ」
班長は商人の言葉に眉根を寄せる。
「はぁ?目が覚めたら?」
「はい……あの、実は……」




