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理の継承者  作者: 鈴本 流幸
第三章
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紙に書かれていたもの

 班長が見た紙にはこう書かれていた。



 『明日、太陽が真上にくるとき、かつての都にいる私たちによって人間は再び思い出す』



 班長を囲むように、同じく紙を見ていた同僚たちに動揺が走る。


「班長、これって……」

「あぁ。『赤い眼の人間』、『再び思い出す』、あとこれは俺の推測だが『商人が襲われた場所』も関係しているはずだ。これらから考えられるのは一つだ」


 同僚たちもざわめきだす。


「お前わかる?」

「もちろんだ」

「マジかよ。俺、全然わかんねー」

「はぁー。これだから男は。いやあんたたちは、か」

「なんだよ、お前わかんのかよ?」

「も、もちろんよ!えーっと、その、あ、アレよ!」

「お前もわかってねーじゃん」

「な、なによ!?」


 同僚たちとは反対に、班長は真剣な表情で気を引き締めていた。


「お前ら、今のうちにそんな感じの会話しとけよ?なにせ……明日の昼頃には、見回り予定の廃都(はいと)と同じことがどっかで起こるんだからな」


 同僚たちは班長が言ったことをすぐには理解できなかった。

 しかし徐々に理解しだすと、さらに動揺が広がっていった。

 班長は動揺して慌てふためく同僚たちを脇目に振れずに、商人に再び話しかける。


「そんなボロボロな体で、襲撃を受けた場所からこんな遠くまで……。良くこの紙を届けてくれた、ありがとう。頑張ってくれて、本当にありがとう。あんたの頑張りは無駄にはしない」


 班長にお礼を言われた商人は少し戸惑っている様子。

 どうしたのかと首を傾げていると、商人は話始める。


「いや……実は私も……不思議なんですが……目が覚……めた……ら、ここの近くいた……んですよ」


 班長は商人の言葉に眉根を寄せる。


「はぁ?目が覚めたら?」

「はい……あの、実は……」

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