学院時代の思い出、耐え抜いた3年間
「エレシアお嬢様、おはようございます」
「エレシア様だー」
「随分見ないうちに成長したね〜」
歩いていると農作業をしている領民達から声をかけられる。
にこやかな笑顔で挨拶されるとこっちも自然と笑顔になる。
「領民もお嬢様の事を心配してるんですよ」
「やっぱり味方がいる、というのは良いわね。 学院は風当たりが強かったから」
貴族学院に通っていた3年間は良い思い出もあるが悪い思い出もある、というか悪い思い出の方が多い。
一応王子の婚約者という肩書はあったけど不仲なのは周囲は知っていたので何かと陰口や嫌がらせを受けていた。
貴族学院は身分とかは関係無く平等に学問を学ぶのが方針だけどこの場合悪い方に解釈されてしまった。
『王子に愛されていない身分が高いだけの女』とか『金で婚約者の座を掴んだ』とか散々な言われようだった。
しかも王子自らが私の悪口を積極的に言っていたもんだから質が悪い。
ぶっちゃけ学院での居心地は非常に悪かった。
更に王妃教育もあったり落ち着く暇も無かった。
「そういえば私に対して積極的に攻撃してきた方々はどうなさったのかしら?」
「この1年で各家でそれなりの処分を受けたようですよ、跡取りの座を追われ実家を追放されたり、決まっていた婚約がダメになったり、修道院に入れられたりと」
そりゃそうだ、お父様を通して卒業後に厳重に抗議したんだから。
いくら学生だからなんでも許されると思っていたら大間違いだ。
学院は社会に出る為に必要な知識や教養を学ぶ場所でありそこで問題を起こしたら不適合者の烙印を押されるのはわかっている筈だ。
それがわかっていなかったからの末路だろう