のんびりまったりと
着替えをすませ食堂に行くと既にお父様がいた。
「おはよう、エレシア」
「おはようございます、お父様。 今日は何か予定があるんですか?」
「領地の視察をする、暫く留守にしていたからな、現状を把握しなければならない」
この姿勢がお父様が領民から慕われている理由だ。
何せ我が家のモットーは『領民ファースト』なのだ。
常に領民に寄り添い困った事があればすぐに行動し解決する。
何故そこまで領民に寄り添うのか聞いた事がある。
『先代を見てきたからかな』
どうやらお祖父様は余り良くは無かったらしくてお父様は『決してああはなりたくない』と固く決意したそうだ。
更にお父様はこんな事を言っていた。
『民を蔑ろにする国が盛える事は無い、民は国に無くてはならない宝だ』
……お祖父様は何をやらかしたのだろうか。
もしくは当時の王家が何かやらかしたんだろうな。
この国の王家て必ず何か致命的な事をやらかす運命でも持っているんだろうか。
今更ながら行く末が不安になってきた。
「エレシアはどうする?」
「私は近くを散策して参ります」
「そうだな、時間はたっぷりあるんだ。 好きな様にしなさい」
朝食を終えて私はルイザと共に屋敷を出て散策に出かけた。
「変わらないわねぇ、この風景」
「そうですね、やはり王都より居心地が良いですね」
「全く同意見よ」
人には合う合わないがある。
私は王都の様な都会よりもこの自然豊かな田舎の方が落ち着く。