どうやら1度目では無かった様です
話し合いの翌日、私達は引っ越しの準備をしていた。
「この家とも最後になるんですねぇ」
「王都に来る事も無いだろうしな、もう政務も関係無い隠居生活になるのだからな」
王家との話し合いの結果、我が家は多額の慰謝料ともぎ取る事が出来た。
そしてクダール王子は王位継承権を剥奪、再教育の為、国境沿いの砦に一般兵として歪んだ価値観や根性を叩き直されるらしい。
「王子はどうして最初から私に敵意を持っていたんでしょうか?」
「まぁ、育て方が悪かったんだろうな。周囲が甘やかし厳しく叱る人間がいなかったんだろう」
お父様はそう言って苦笑いをした。
「まぁあの親にしてあの息子あり、だな。 親子二代で婚約破棄騒動を巻き起こしたんだからな」
「えっ!? 国王様も婚約破棄したんですか?」
「あぁ、箝口令が出されて表沙汰にはなってないが国王にはかつて親が決めた婚約者がいた。だが国王はそれを勝手に破棄して別の令嬢、今の王妃と結婚したんだ」
「それは……、大騒動になったんじゃないですか?」
「だが、当時は王家の力は今よりも強く結局は『無かった事』にされその当時の婚約者1人だけが被害を被る事になった」
「ひどい話ですね」
「あぁ、しかし天罰は必ず下されるもんだ。その令嬢は他国の王族に嫁入りされて今よりも幸せな生活をしているんだ」
「あら、それは良かったですね」
「あぁ、彼女は頭が良くて美人だったからな。 それを捨てるなんて馬鹿な事をした、と思ったもんだ。まさか自分に降りかかるとは思っていなかったがな」
なるほど、だからお父様は王家に対してあんな強気な態度を取れたんですね。
そんな話をしつつ引っ越しの準備は速やかに進み、荷物を馬車に積み込み私達は王都の家を後にして領地へと向かったのだった。