やられたらやり返すのが我が家のモットーです
新作です、よろしくお願いします。
「……それではこの内容でよろしいですね?」
此処はヴィンテリア城内にある会議室、神妙な顔つきの二組がいた。
「えぇ、構いません」
そう言ったのはクレディア公爵、私の父親である。
「……構わぬ」
歯切れの悪い返事をしたのはトコォール王、この国の王であり私の元婚約者の父親である。
「では法務大臣の名によりエレシア・クレディア公爵令嬢とクダール・ヴィンテリア王子の婚約を正式に解消致します」
会議室に法務大臣の感情が全く入っていない声が響き渡った。
「はぁ〜、漸く終わりましたわぁ」
城からの帰り道、馬車内で私は両腕をグーッと上げながら清々しい声で言った。
「ここまで道のりは長かったからな、よく頑張ったエレシア」
「お父様も一切妥協せずに交渉していただきありがとうございます」
「なぁに、公爵家としてのプライドもあるしあの舐めた態度を取り続けた王子や王族に一泡吹かせんと気が済まないからな」
お父様もやりきった感を出して良い笑顔をしている。
それもその筈で私が婚約破棄を言い渡されて1年が経過、その間我が家と王家の間では何度も話し合いが行われた。
婚約破棄を言い渡されたのは貴族学院の卒業記念パーティーの席でいきなり言われたのだ。
まぁ、元々私と王子の仲は良くは無かった、というか王子が一方的に私を嫌っていた。
理由は色々あるけれども1番は私が片親だから、というのが大きかった。
私の母親は私が幼い頃に他界しそれ以来お父様は私を男手ひとつで育ててくれた。
再婚の話もあったらしいのだが『エレシアが大きくなるまでは再婚はしない』と突っぱねていた。
そもそもお母様一筋だったので再婚するつもりはこれっぽっちも無かったらしい。
そんな訳で私はお父様の愛情を感じながらすくすくと育ったのだがクダール王子はそれが気に入らなかったみたいだ。
何かと私やお父様を馬鹿にするような発言をしたり態度をとったりして私もお父様も眉間にシワを寄せたりしていた。
お父様はその都度王家に抗議をしたのだがなあなあで済まされフラストレーションが高まっていた。
そして、婚約破棄である。
私はパーティーから帰って来てお父様に泣きながら報告した。
お父様は私を慰めながら『こうなった以上は徹底的にやってやる』と黒い笑顔で言った。
私だって泣き寝入りはしたくなかったのでこれまでの王子からの暴言を記録した日記帳や同級生の証言を入手した。
そして我が家は王家を訴えた。
請求したのは我が家の名誉を傷つけた賠償金と婚約破棄の慰謝料、そして王子の処分である。
当初王家は徹底抗戦したのだが段々と分が悪くなってきて話し合いのテーブルについたのは半年前の話。
その頃にはクダール王子は幽閉されており浮気相手の男爵令嬢は家ごと無くなっていた。
我が家が『泥沼上等!』という強い意志で戦った結果、王家は完全に白旗を上げたのだ。
まぁ、今後は求心力は無くなるだろうけど知りません。
そして我が家も無傷とは言えない状態で一部の貴族からは白い目で見られる事になり表舞台から姿を消す事になった。
田舎の領地に引っ込み親子水入らずで暮らす予定だ。