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突然の告白だ。
昔からずっと一緒の幼馴染みからの。
と言えど、男だけどな。男ッ!!
生まれて初めての告白だってのに!!
全然嬉しかねぇーぞ、こんな展開!!
「んー? さやか、今変な名前が出たが?」
『むふふふ、ビックリしたよね?』
ドラえもんみたいな声を出すんじゃねぇ。
俺、ドラちゃん好きだけど……。
今、お前にやられるのはスゲェ腹立つ。
「ビックリするに決まってるだろ? 好きなひとの名前で、俺が出てきたんだからな」
『うん。僕も勇気が必要だったよ、言うの』
「あのさ、マジ?」
『僕がウソを吐くと思うの?』
ウソであってほしいと少なからず願ってるよ。唯一の親友だと思ってた奴から、好きだと告白されちまったわけだからな。
でも、待て待て。
まだ恋愛感情的な意味だと決まったわけじゃねぇーだろ。友情的な意味を含んでる。
そうだろ? なぁ、頼むからそうだろ?
少しでも淡い期待をした俺がバカだった。
『もちろん、恋愛的な意味だよ。大好き』
背筋がゾワァとした。
得体も知れない恐怖ってやつだ。
『でも良かった。寄道が受け入れてくれて』
はい??????
俺が受け入れた????
そんなわけないでしょ????
誰が受け入れますとか言ったの????
てか、受け入れるにしても、即刻、クーリングオフだ。クーリングオフ!!
「あーそうか。これは夢なんだな……あは」
現実逃避したかった。
親友の男から告られるなんて、マジでない。友情的な意味なら有り難く受け取るが。
それでも恋愛感情含んでたらダメだ。
『僕も夢みたいだよ。寄道がノリノリで!』
ノリノリじゃねえーよ!!
頭の中がパニクってんだよ、こっちは。
『僕から告白されて寄道も嬉しいんだよね』
誰が喜ぶかよ。
相手が女の子なら分かるけども。
男だぞ、男。普通にドン引きしてんだよ。
『今日はもう早く寝たほうがいいよ』
「あーそうさせてもらう。体調が悪い」
吐き気がしそうだ。
男から好きだと告られるなんて。
それも相手がさやかだぜ。
今まで仲の良い親友だったのに。
『おやすみ、寄道。愛してるよ、チュッ』
おいおい。
軽いキスを電話越しにするんじゃねぇー。
俺の頭が狂いそうだからさ。
『えへへへ……何だか、とってもスッキリしたかも。今までずっとこの感情抑えて——』
さやかがまだ喋っていたが、俺は電話を切った。その後、折り返しの電話がきたが、無視した。今日のさやかは様子がおかしい。とりあえず、面倒事は避ける。これ鉄則な。