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女友達と仲良くしたら、親友の男の娘が壊れた話  作者: 黒髪
第一章:日常が崩壊するまで
7/14

7 ターニングポイント②

 一番聞かれたくないことを訊ねられてしまった。

 正直に話したほうがいいのかもしれないが。

 ここは一旦適当に誤魔化したほうがいいな。


『ねぇー。話し聞いてる? やっぱり、やましいことがあるの?』


「何もねぇーよ。特にさやかが気にすることじゃないって」


『何があったのか知りたい。全部教えて』


「いや……今回のは昼匙さんのプライベートに関わる話で」


 ここまで言えば、見逃してくれるだろう。


『嘘だよね、それ? どうして見え見えなウソ吐いちゃうの?』


「え?」


 どうしてバレたんだ?

 どうして分かっちまったんだ?

 理由は定かではないが、さやかは全てを見抜いているみたいだ。


『ほら、教えてよ。何があったの? 昼匙さんと』


 咎めるような口調だ。

 さっさと白状しろと物語っている。

 正直に話すべきか……それともしらばっくれるか。

 悩んだ末にこのままもう言おうと決意した瞬間。


『…………うふふふ、ウソだよ。寄道、ごめんごめん』


 さやかが謝ってきたのだが、全く理解できなかった。


『ちょっとからかっただけ。でも、戸惑う寄道は可愛いよ』


「可愛いとか言うな。気色悪い」


『照れ屋さんなんだね。ほんとは嬉しいくせに』


「うるせー。てか、お前LIMEの連絡を入れすぎだっつの」


『心配だったんだもん、寄道が誰かに盗られるかもと思って』


「はぁ? 俺がとられる?」


『うん。寄道はモテるから。それに抜け駆けは禁止だよ?』


 抜け駆けは禁止。

 俺たち二人にとって、暗黙の了解だ。

 一部男子が行う童貞同盟みたいに薄っぺらいものだ。


「分かってるよ。てか、俺よりもさやかのほうがモテるだろ?」


 さやかは男女問わずモテている。と言っても、俺以外の奴等とは全く心を靡かせることもなく、淡々としているのだが。人見知りなのだろうと思っていたが、このままの状況が続くのは将来的にマズイかもしれないが。


『好きなひとにだけ振り向いてくれればいいんだよ、僕は』


 俺とさやかは、普段から恋愛に関する話は殆どしない。

 時折やるにしても、さやかからの質問に対して答えるのみだ。

 初めてのデートはどこに行きたいとか、手を繋ぐ前にキスするのはアリかナシかなどなど。

 詰まるところ、男子高校生ならば誰もが抱えているであろう、恋の悩みだ。


「へぇー。結構真面目なんだな」


『真面目だよ、大真面目だよ。ずっと前からこの気持ちは変わらない』


「ふぅーん。さやかにそう思われてる奴は幸せものだろうな」


 電話が切れたのかと思えるほどに、沈黙が続いた。

 おかしい。

 変なボタンを押しちまったか。ネット回線が悪いのか。

 などと考えていると、か細い声が聞こえてきた。


『…………ほんと?』


「当たり前だ。ずっと前から思ってくれてるわけだろ、嬉しいに決まってる」


 ましてや、さやかみたいな中性的なイケメンにだぜ。容姿は美少女っぽいし、力も殆どなくて、おっちょこちょいな部分が多々あるけど……。

 俺の幼馴染みは可愛い系男子に十分当てはまる。てか、可愛いを通り越して、可愛すぎて辛い系男の娘なのだが。まぁー細かいことはどうでもいいか。


『あのさ……寄道。僕、今からとっても変なことを言ってもいい?』


「あぁーいいけど」


 改まって何を言い出す気か。

 俺は到底理解できなかった。

 ていうか、大半の人間が思い付きもしないだろう。


『実はね……僕が好きなのは寄道なんだ』

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